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都心の寺院境内にある一際目立つ墓地。

鉄扉の更に奥の扉の向こう側で、複数の僧侶が読経を唱える中を神妙な面持ちに立つソバージュヘアの小柄な女性。
隣に立つ、腰の曲がりぎみな老女を介助している。
女性の隣には、ボーイッシュなショートカットの女性を初め複数の若者が彼女達を見守っていた。
読経の合間に、卸輪が敷地に鳴り響く。
「来て頂きまして、有り難うございます」
主の三条桜子が、深くお辞儀を垂れた。
とは、言っても桜子の記憶から両親は既に離れている。
もう、30年近く前の話であった。
参列する親族の中には、ひそひそ話をする者も居た。
桜子の実家は、『五摂家』や天皇家にも繋がる名家である。
明治維新に功績のある、『三条実美』の分家筋であり世が世なら『公爵家の姫』としてかしずかれたものだ。
が、それは戦前迄の話である。
「かつての三条家もすっかり、落ちぶれたものだ」
「あまつさえ、整形とか。そんなにも、醜女なのね」
桜子は俯いて、ガタガタ震えている。
英徳の頃に経験しているとは言え、それ以上の屈辱的である。
余りの酷さに滋が顔を上げて周囲に睨みを利かせようとした時だ。
つくしが桜子を覆うように、抱き締めた。
「桜子、体調優れないみたいだから。先にホテル移動しよ」
つくしと滋が桜子の肩を抱いて、老女には寺院関係者が付き添った。
法事は後味の悪さしか、残らない最悪なものであった。
会場には、滋の手配した車が到着した。
女性陣と滋のSPが乗り込み、即発進した。
「んもう・・・分かってはいても、あそこ迄露骨だと滋ちゃんも一発お見舞いしたくなる」
「華族だの名家だの、私には邪魔なだけですよ」
桜子は実家に頼らず、エステや美容関連の事業を
手広く展開していた。
都心部に20店舗を出展し、最近はアパレル関連等も進出を考えていた。
「私の家で此れですから、西門さんや道明寺さんの家はこんなもんじゃないですよ」
「つくしは悔しくないの?」
「司の立場が分かる。財閥ならば、尚更」
つくしは車窓の景色を眺めている。
法事は滋とつくしのみが、参列していた。
司や類は、出張で欠席した。
あきらと総二郎は、別の車で会場に移動している。
優紀は産後間もない為、自宅で療養していた。
会場は毎度の『ホテル・メープル』である。
「桜子、今日は思いきり飲もう」
「滋さん、外す気マンマンですね」
「美作さんや、西門さんも到着するみたいだし。先輩迄まさか」
「桜子、酒は司と美作さんからだから」


やがて総二郎とあきらも到着し、狂宴はスタートした。


宴も闌になり始めると。
滋はスイーツ片手に、ワインをガブガブ飲んでいる。
「何がセレブだあ、ふざけんなあ」
顔が茹で蛸になりながら、既に管を撒くオヤジになっている。
ドンペリやら、純米大吟醸の空瓶が転がっている。
「・・・整形したから何よ、糞喰らえですわ」
桜子はお猪口を、片手に日本酒を飲み干した。
「ああいうのは、手の掌返しが常套。だからこそ、惑わされない。」
「流石道明寺次期総帥夫人」
「誉めても何もないわよ」
「つくし恐いよ」
つくしは目が据わり、うつらうつらながら酒を飲んでいる。
「未だ飲みたいのお」
つくしはグラスに、酒を注ぐように催促している。
「誰やん、つくしちゃんに飲ませたんは」
あきらは顔を覆っていて、滋を止めようと必死である。
総二郎もつくしの悪酔いに、辟易し出した。
「ま・・・未だ飲むよお」
果てには、総二郎にしなだれ掛かる。
つくしがグラスに注ごうとした時。
片手を掴まれて、未だ飲むと上目遣いに腕を掴んだ相手を睨んだ。
其処には居る筈がない、特徴ある髪型で高級な服を纏ったあの男が腕を組んだままつくしを見下ろして居るのだった。



ジェネラルの新連載掲載予定が、間に合わずカテゴリー整理も大変な事になってました。

遥か昔に書いたお話で、休載中の作品の番外編なんですが。
連載とは関係なく読めるお話になりますので。
間に合わなくて、申し訳ありません。




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ありゃ、続いちゃった。