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つくし「今日、ちょっと早目に上がりますね」
美子「もしかして、デートかな?」
つくし「美子、んな訳無いし」
ゴメンゴメン、とキーボードを叩きながら美子は見事なブラインドタッチで入力して行く。

月末で有るから、営業担当の成績アップを入力しなければ袋叩き間違い無しの美子だ。
つくし「違う!総務課の理佳ちゃんから、蜜柑のお裾分け貰ったの」
美子「理佳ちゃんって、実家が和歌山だったよね?」
総務課の理佳は、関西支店の出身。
夫の転勤に伴い、関西支店から異動となり東京本社の総務に配属となった。

先日の飲み会から、つくしとも仲良くなり実家のお裾分けを貴子にプレゼントした。
その蜜柑をとても気に入ってるらしく、入手すると持って行くのが日課となっている。
美子「分かった・・・よお。気を付けて」

「お先に失礼します」と、透明バッグを肩に掛けて退社しようとした矢先だ。


突然、プツンと首元からチェーンが切れる。
ペンダントヘッドの『土星』が、コロコロと転がって行く。
つくし「嘘っ、嫌だあっ」
突然の事に、つくしの顔色がどす黒く変わり慌ただしく付近を探し始める。
土星のネックレスは、司と自分を結ぶ唯一無二な宝物。
初めての二人で誕生日に、司から貰ったペンダント。
滅多に言わなくて、付き合い出してからもねだる事もしなかったのに。
土星の運命を信じ、初めての二人で向かえた誕生日の朝は行為ではなくて。
キスをしようとした時に、野次馬がお邪魔して未遂のままだったのだ。
司がつくしの為にイメージした、一点物。
失くすのは避けたかった、思い出を消失したくはないから。

章太「もしかして、此れか?」
章太の太めな手のひらには、ヘッドとヘッドに付属していたらしき宝石。
つくし「あ・・・、あったあ」
切れたチェーンを小さい片手に乗せて、途方に暮れて泣きそうになったつくし。
美子「もう、ビックリするじゃない?」
つくし「ゴメン、美子先生」
美子「羨ましいわね。送った彼氏様が」


彼氏様は言わずもがな、道明寺であったりするが。
章太「宝石拾ったの、経理課の瑞原さんだよ。モノホンか其所で騒いでたから」
つくし「良かった、ありがとう」
感慨に浸っていた所へ、美子から『早く上がれ』の催促でつくしは女性更衣室へ向かって行ったのだった。




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優紀「おば様、ウチちょっと売店に行って来ますけど。何か欲しいんありますか?」
今に限ってか日差しが急に強くなり出し、気温が上昇気味である。
貴子は午後イチに組み立て式の浴槽を運び、入浴サービスを受ける事になっている。
貴子「暑いから、ペットボトルのお水が欲しいわ。何か喉が渇くのよ」
優紀「勝さんも来て下さるんですよね」
貴子の息子である勝は、漁師町の居酒屋で仕込みを準備している。

仕込みは有る程度迄終えると、岩永夫婦も手伝ってくれている。
貴子「あの人はどうしたの?」
優紀「あ、つか・・・道明寺さんは事務所じゃないかしら」
貴子「事務所?」
司は先程迄、あきらと病院の中庭へ外出した迄は確認している。
その後は西田に呼ばれたのか、急ぎ姿を消したらしい。
優紀「えー、確か港湾のインフラプロジェクトの案件とか何かって」
貴子「それは私が死ねば、自ずと・・・なるかね」
優紀「縁起でもない」
貴子「皆、私の狙うんだよ」
優紀「ウチは仏門の人間であらしゃります。簡単に死とか、言うたらあきまへん。此処だって、生きたくてもな方々はおりますで」
優紀は貴子の骨が丸見えする、両手を強く握りしめる。
『つくしが聞いたら、どれだけ泣くのだろう』と思うと切なくなる。
優紀「つくしや進君、ましてや勝さんを心配させんであげて下さい」
貴子「優紀ちゃんも大人になったのね」
大人になった・・・と言われてみると、ちょっと違うと優紀は思っていた。
言い直せば、大人にならざろ得ないが本音である。
総二郎と結婚するには、余りにも『女性問題』やら『過去の汚点』が多かった。
茶道と言う共通点を通じて、書道なり陶芸なり仏教の共通点を見出だした事。
何より優紀は信心深く、ひたすらその道を極めた。
寺での修行はその一環だが、育児も楽ではない。
優紀「勝さんの方には連絡入れておきますね」
貴子を室内に残し、優紀は売店へと向かって行った。


貴子の部屋は『特別室』になっていて、本来は指紋認証が無ければ入室が叶わない仕組みになっている。
しかしながらこの日は、『院内の機械メンテナンス』が一斉に開かれていた。
道明寺系列の病院ではあったが、一瞬の油断を付いてやって来た。

それから、4時間後の15時に時計の針は指している。
時報代わりに「カッコウ」の模型が、飛び出す時計。
勝は店内の仕込みを、粗方は終わらせておいた。
食材は生の刺し身等を、冷蔵庫に詰めて営業時間に捌けるようにしておいた。
勝「・・・・っかしいな?」
色の褪せたガラケーから、流れる音は着信音の繰り返し。


勝が母の元に行く時は、電話で話してから行くのがルーティンだ。
岩永「貴子さん?」
勝「おう」


つくしや司はおろか、彼らの知らない場所で物事は動こうとしていた。







つかつくの出ないつかつくな話で、すみません。
ましてや去年の話だったりするんです。
優紀ちゃんが準主役になってますなあ✨。

この話のネタがそもそも、複数の『警察小説』『傭兵』ネタが元なんです。
結末は出ているんですが、薄い内容な話ですみません。










章太 「なぁつくし・・」
つくしはもつ煮込みを取りながら、フーフーと吹き掛けハフハフしながら食べている。
最近は京都在住の優紀に進められて、山椒のミニボトルを持ち歩くようになった。
つくし「どうしたの?改まって」
章太「オレの事・・どう思うよ」
つくし「章太の事は嫌いじゃないよ。あたしは普通に振る舞えるし、変に特別視しないもの」
章太の上司が、シミだらけの壁にしなだれてヒューヒューとからかう。
美子はカウンターに座り、凪子と女子会トークで恋バナをしていた。
が、章太の真剣な告白にお酒も入ってデカい声で激励する。
美子「そうだあ、つくしよ。F4だけが、男じゃないっ。レベルダウンでも、良い男達は世の中に沢山居るんだぞ」
凪子「そりゃあさ、私は西門総二郎はタイプだけど」
美子「私、美作あきらとお酒談義したいわ」
後輩A「あたしは花沢さんが、タイプですう」
三人「「「でも、道明寺司は郡抜いて良い男よねえ」」」
章太「美子先生、飲み過ぎなんじゃね?」
つくしは会社の仲間達が、自分の事を心配してくれる事に感謝している。
自分がちゃんとしていれば、こんなには悩まないのだが。
つくし「美作さんと、西門さんなんて既婚者だし。もう子供だって居るのよ」
桜子は未だ臨月だが、優紀は二児の母である。
子供は京都の家元夫婦が、面倒を見ているのだ。
優紀は臨済宗妙◯寺派の、副住職付きで都内に点在する末端の寺に頻繁に顔を出している。
美子「西門さんの奥様って、尼さんなのよねえ」
凪子「尼さんと結婚て、特定宗派えこ贔屓じゃない?」
つくし「ち、違いますよっ。西門さんは、尼さんから・・・えっと」
章太「還俗(げんぞく※出家させた者を俗世に戻す事)させようとした・・・んだろ?」
つくし「よく知ってるね」
章太「母ちゃんの実家が、建長寺の檀家なんだわ」
凪子「確か、過酷な千日修行しようとかって?」



優紀はミニキッチンで、塩水を張ったボールに剥いたばかりの林檎を浸けている。

貴子はリンゴをゆっくり咀嚼しながら、優紀の穏やかな顔をじっと見ている。

優紀「そないに見られたら、ふやけてまいます」
整った顔立ちではないのだ、貴子に咀嚼しながらずっと見られテレる優紀。


貴子「優紀ちゃんは、お髪を伸ばさないの?」
優紀「あ、修行終わったら。と、思うんですけど・・・」
貴子「昔、緩いウェーブ掛かってたわね」
優紀「懐かしい話ですねえ。でも今伸びないんですよ。最近は直ぐに剃る癖・・・なんですよ。面倒やし、脱毛剤付けるからなんか」
貴子「そう・・・なんだ。綺麗な顔なのにな」
優紀「よして下さいよ。もう子供産んでる、オバハンですわ。寧ろ、今は総二郎さんがやってくれるんですよ」
貴子「やる?」
優紀「総二郎さんが、率先してウチの剃髪してくれます。男には触らせんよって、自分がやるって」
貴子「素敵な夫婦なのね」
優紀「どないやろ?ウチはよう分からしません」
貴子「優紀ちゃん・・ちょっと散歩したいの」
優紀「誰か呼びますか?」
貴子「優紀ちゃんだけで頼むわ」

一抹の不安を覚えつつも、優紀は手元に有るスマホのGPSを起動させたのだった。


本日もお越しくださいまして、有難うございます。

連載がスランプに付き、未だ完成に繋がりません。

此方は以前の連載のストックになります。









「おう、久しぶりだな」
敏腕秘書の隣に立つ男は、かつて司と並び称された『F4』の一人『美作あきら』である。
美作商事の専務取締役であり、次期副社長とも言われる見た目はチャラっとした柔らかい風貌の持ち主。
隣の西田に並ぶと、対局の世界に生きる人を象徴するかの如くである。
「まさかのって、奴だな」
「漁師町の件は、オレもちっと気になってたんだわ」
西田は調査書と印字された冊子を片手に、司とあきらをダックスフンドへ誘導した。
「カリフォルニア商事と亀井佑・・亀井つったら、環境活動家で有名じゃね?」
司の眼光は更に凄味を増す。
「そうだ。亀井は表向きは環境保護活動家。只、その裏にはリゾート推進派と結託したりしてる」
道明寺HDは、漁師町の港湾の護岸工事を請け負う予定である。
地元や県知事とも、既に話し合いを始めていた矢先。
当事者側の貴子から、拒絶される事態になり現在も宙ぶらりんのままだ。
その貴子をそそのかしたのが、左翼運動家や環境保護団体らしい。
『シー○○○ード』の日本版みたいな環境団体が絡み、話がこじれたりと正直旗色は良いとは言えない。
西田「活動家らが関わってるとなると、厄介この上無いですね」
あきら「だな。羊の顔をした狼みたいなもんだ。そもそも活動家が、絡むとか政治もセットみたいなもんだしな」
司「利害云々の前に、護岸工事は進めねえと。災害に弱くては、街の過疎化ばかり進むってもんだ」
あきら「活動家絡みは、下手すりゃあ。マスゴミの格好なターゲットになりかねねえな」
西田「貴子様の身辺警護は、万全でございますが」
入院先が道明寺系列病院であり、完全看護体制に綻びは全く無い。
司「しっかし環境保護活動と、平和運動程面倒な存在はねえな」
あきら「全くだ。清濁併せ持ってなければ、経営も政治もやってけねえのは今更なんだがな」
西田「何時の時代にも、綺麗事だけで世の中を渡る事程危険な事等無いものでは有りますが」
あきら「いや、そうでないのが一人だけ身近に居るな」
司「ああ・・・そうだったな」
西田「作用でございました。あの方だけは、違いました」

小さい華奢な身体で、天下の『F4』に歯向かって来た逞しい女。
どれだけ世間体に潰され様とも、懸命に健気に生きる愛しい存在。
『あいつだから、オレは叶わねーんだわ』
だからこそ、司の中には新たな想いが沸き上がって来る。
「あいつはオレだけの女なんだ」
「司のそれも健在だな」
「牧野に比べりゃ、オレはちっぽけな存在だ」
「んなこたあ、オレら皆じゃね?」
「おう」
「逞しくおなりでございますね。美作様も」
「守るべき者が出来ると、変わるな人間は」
あきらは薬指に填めたプラチナリングを、眺めていた。
「三条は息災なのか?」
「あぁ、もうすぐだ」
あきらの妻となった、『三条桜子』は臨月を向かえ今は外出する事を控えている。
あきらの背中から、逞しさを感じた司であった。

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因みに前は此処で、終わってました。




「今日もお疲れ様でしたあ〜」
美子のありきたりながら、乾杯音頭に仲間達もジョッキやグラスを上げては思い思いに、交わしあう。
場所は先日のお詫びもかねて、同じ居酒屋に決めた。
つくしと章太は座敷の奥で、美子も交えてミーティングを始める。
他の仲間達は煙草を吹かしたり、スマホの対戦ゲームに興じたりとまったりだ。
章太「伯母さん、大丈夫だったか?」
つくし「未だ会ってないけどね。面会謝絶だし」
司が居るから会いにくい、とは言えないのが本音である。
美子「何はともあれ、音信不通はダメよ。つくしは仕事終わると、携帯オフとかしょっちゅうだから」
つくし「今度は大丈夫よっ。勝さんから連絡も有るだろうから」
章太「けどな牧野の友人て、迫力有るなあ。オレさ、睨まれたもんな」
美子「そんなに怖かったの?」
章太「牧野をビンタするわ、怒鳴るわ。男でも顔負けだし、オレは京都の女性つうのあれは苦手だな」
つくし「優紀はそんな子じゃないんだよ。只、あたしがダメ過ぎるからね」
美子「うん。確かに、つくしなら分かるわ」
美子が頷くと、他の仲間や果てはカウンターの凪子迄『そだねー』と口々に伝染して行く。
つくし「なんで?あたし、そんなにダメ過ぎるの?」
章太「だから、オレが守ってやるって」
凪子「章太君なら、優しいし。悪くはないんじゃない?」
美子「どうかなあ。つくしは鈍いからねえ」
痛いところを、美子に突かれるつくし。
章太「オレはお買い得だぜい。変に気を使わないだろ」
軽くつくしにウインクする章太の存在。
美子達はヒューヒューと、囃し立てる。
美子「いやあ、お二人さんに当てられっぱなし。ウーロンハイ、柚子割りでね」
凪子も目を反らしながら、頷く。
つくしもグラスを傾けながら、取り皿に盛られた辛子蓮根を一つ摘まむ。
つくし「きゃあ~辛いっ」
凪子「此れでも何時もよりは、少なめだから」
つくしは半泣きになっている。
章太のさりげない告白は、つくしも分からなくはない。
牧野つくしの名前を捨てなければ、ならない就職したてだった頃。
括りを関係なく接してくれたのは、貴子等の身内や馴染みの友人以外では章太のみだった。
初めて赤の他人で、普通に話をした章太。
一番最初に章太と出会い、付き合っていたなら。
間違いなく章太と結婚を、意識した付き合いに違いなかっただろう。
英徳に通わないで、普通の高校生活を送っていたならば。


つくしの胸中で燻り続ける、存在感と想い。
『あんたの事を忘れられたらね・・・』
それは永遠に叶わぬ、つくしの願い。
優紀や仲間達は、つくしを影から見守って来たからこそ。
つくしには、幸せを掴んで欲しかった。
それこそが、苦しんで悩む者達を解放する事になるのだから。


「すまないが、外の空気を吸いに行って来る」
優紀が真名板の上で、林檎の皮を剥き始めていた時。
貴子は空気を吸いに、車椅子で院内を散策していた。
SPが二人付き、看護士と対話をしながらである。
司は肩を鳴らしながら、優紀の側で言った。
「はい、外は冷えてきはりましたから。お気をつけ下さいね」
「あぁ、迫田を待たせてるからな。何かあれば、頼む」
優紀は頭巾を、後ろに下げると慣れた手付きで再開した。


司は特別室を離れると、西田が恭しく会釈をした。
其れまで穏やだった司の表情は、一変して冷酷な表情を浮かべていた。
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