FC2ブログ
あたしは司との付き合いは、婚約寸前迄行ってたのだけど。

成就する事は叶わなかった。

所謂、長い春みたいな現象でもあった。

色々あったんだけど、あたしも道明寺も互いが見えなくなっていったんだ。

道明寺はあたしを大切にしてくれるんだけど、あたしは分かっちゃったの。

あたしが幼なすぎたばかりに、道明寺を知らないうちに自分に縛り付けて傷付けていたんだ。

その現実に気付いて修正出来ないまま、あたしがズルズルと来てしまっていた。

傷付きたくなかったんだよね、あたしは本心を隠してしまう日々が続いて。
道明寺も多分分かっていたんだよね。
でも優しくて、何時もあたしを大事にしてくれる。
その気持ちに甘える自分が、いたのも事実だったから。

話し合った末、あたしと道明寺は互いの為に別れを選択したんだ。
あたしの気持ちを、彼は汲み取ってくれてたんだ。


あれだけ周りを巻き込みながらも、彼らは祝福されて結婚すると思ってたのはオレも一緒だった。

二人の幸せをずっと、見守っていたいと思ってた。
牧野は色々なトラブルに巻き込まれても、何時も踏ん張っていた。
人に恥じない生き方をしていた、どんな人とも分け隔てのなく接する姿。
どんな苦労も厭わずに、全速力で頑張ってたのに。
そんな牧野が泣いた時の、何時も防波堤だったオレだった。
静が泣いた時は、何とも感じなかった事が。
牧野の涙が余りに穢れのない涙で、流させたのが親友だと分かった時。
本気で怒る自分に何処かで驚いていた。

司は記憶を取り戻し、彼女と付き合っていたのだけれど。

経営者としての歯車と、牧野の存在。
長い春と言う名前が忍び寄り、牧野は大人に成長して行く過程で気付いてしまったのだろう。
『運命の恋は、必ずしも成就するとは限らない』と。


「あたしね、道明寺とはサッパリお別れして来たんだ」


非常階段で階段に座り込み、目を真っ赤に腫らしていた牧野。
牧野から手渡されたのは、あのカッターナイフ。

「絶ち切ってくれるかな?」
「カッターナイフ、未だ持ってたのか・・・」
錆びだらけで、もう使えないと思ってたんだけどな。

シャギーを入れながら、項近く迄のショートにした。
「やっと、あたしは前に踏み出せるんだ。ずっと前から近くにいたのにね」
「近い物程、よく見落としてるって言うだろ」
牧野とNYやら、あちこち一緒に行ってたのに。
近いようで遠く感じたこの、距離感。

今度は互いを離さずに、解れた糸をしっかり結んで繋いで行けるよ。


あたしはずっと近くで見守ってくれた、最大の恩人の手を繋いだ。
友人達からは凄く驚かれた。
特に滋さんからは、泣かれてしまった位なんだよね。
『あれだけ司を好きなのは、嘘だったの?』

嘘とかリアルとかではなくて、愛してるから結婚になるとは限らないって事。
友人に戻ったと言うのが、早いんだよね。

価値観なのか、すれ違いなのかは分からない。
只、友人に戻る選択を取る事になっただけだから。


その年のあたしのBDに、類と結婚式を挙げた。
家族だけの簡素化したお式。
未来の家族が宿っていたことが、あたし達にくれた神様からの祝福の証だった。


それから、数年後のパリ郊外のアパートメント。
「Quel genre d'endroit est maman maison japonaise(ママ、日本の家ってどんな所)」

お洒落な夏帆は、類に似た4歳の娘。
殆ど日本語が喋れないから、娘なのに英語であたしは話をしてる。
此れから日本へ戻るのに、先が思いやられる。
類は気になってないみたいだけど。
あたしのお腹には、次の子が居る。
二つの糸から生まれて来た形は、次に繋がって行く。


あたしも類も、あれから色々揉まれて成長出来た。
次の形はどんな糸と紡がれて、形を成すのだろう。
後悔はしない、此れからも手を取り合って長い道のりを穏やかに歩いて行くだけ。


あれだけ色々あったのに、つくしと一緒に居る事が不思議だな。

見守る選択もあった、今となってはそれが出来ない位につくしを愛しく思っている。
独占欲の強さに苦笑いするけど、執着する自分は新鮮だな我ながら。
娘が誰と糸を紡いで行くかは、分からないけど。
つくしとは来世も、ずっと手を離さないで生きて行くから。


全てが無くても、つくしだけはオレの強さだから。






にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村





人気ブログランキング





























スポンサーサイト



電車で向かう白樺並木の続く、見知らぬ世界。
あたしが此れから通う、異空間の学園に続く道。
受験場所が区立の講堂だったから、今日初めて見る『英徳学園』の建物。

世間には、『Googlemap』と言う便利な文明の利器が有るんだけど。
敢えて使わなかった。
通いたくなかったし、あたしは皆と公立の高校でワイワイと通いながら楽しい時を送るとばかり思っていた。
偏差値云々の柵を受けない学校に通いたかったな。

あたしの希望は親のエゴに、脆くも崩されちゃって。
勉強は出来たと言ったところで、此処から先は地獄への入口。

お金持ちでもないし、お金は欲しいと思うけど。
あたしの父が、毎日借金で悲鳴を上げるから。
でも大金で心変わりしかねない、あたしの親。

玉の輿を目指せ、イケメン御曹司を捕まえなさい。
世間の御曹司って、頭頂が寂しくて不細工で横に太いか足が短い人でしかない。



イケメンなんて、あたしの中では詐欺師かホストのイメージしかない・・・よ。
テレビの芸能人に興味も無いし、あたしの人生には全く関係ない・・・そう、思って今日から英徳学園前駅に降りたのは、つい最近だった。


『類・・・、どうしたの?』
何時も声を掛けてくれる、オレの大切な人。
眉目麗しくて、性格も明朗快活で何でも出来る『静』。


生まれながらの生粋の令嬢で、聖母の様な女性。
『類・・・大好きよ。あたしの可愛い類・・・』

彼女の中では、異性としてではなくて弟みたいな扱い。
オレと昔からつるんでいる、いつも一緒に居る幼なじみ達。

司や総二郎や、あきらとも一緒。
オレは静が好きで、モデルの仕事をしていた彼女の写真を郊外で看板の形で見ていた時。

静には夢があって、弁護士になりたいと決意して『誕生日パーティー』で断髪したのは有名なエピソード。
航空券を購入して、行ったのは良かったけど。

結局、扱いは前と変わらなかったんだよな。


『ウジウジ悩むんなら、本気でぶつかってみればいいじゃん。好きなんでしょ』

非常階段でふて寝していたオレに、華奢な身体でゆさゆさ揺らされてウンザリしていた。
「あんたに関係あんの?」
「花沢類が本気になって、もう一度静さんと向き合わなきゃ。何時か後悔するよ、大事な人なんでしょ」
「それは終わった話だよ」
「・・・。そう・・・だったね。でも・・・」

静を追っかけて、パリに向かった迄はさ。
関係が変わる事は、無かったから。
でもスッキリ出来て、オレは新しい自分に向き合う事が出来てんだよ。

かつて自分に向かって、掛かって来た女。
『牧野つくし』は、オレの親友と付き合い出していた。
最初話をしたのは、オレだったのに。

付き合ったのは、親友の司だった。
牧野の魅力を引き出したのは、よりによって親友の中でも何でか重なる事が有る。




オレはどうしても、肝心な時に大切な人が時の渦に溶けて行く。
何時も何時も、糸は経ち切れてしまう。

あたしは付き合い出して、それは数年の時を経て成就する・・そう信じていた。
その恋は運命的かな、と思っていた。

有る事件を機に、立ち位置が変わりそれから間もなくの事だった。



又しても、力尽きました・・・・。



本日もお越し頂きまして、有難うございます。

残念無念ながら、又しても長くなり過ぎてやむを得ず前編とさせて頂きました←。

後編は18時に、公開予定となります。
類誕は翌日に、なるべく跨ぎたくないんですよねえ。


ランキングに参加しています。
下記をポチって、して頂きましたら更新の糧になります。

宜しくお願い致します‼️












人気ブログランキング