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落としたお詫びにもなりませんが。
昔書いたお話、ちと間が空いてしまいました。
どうもすみません😢⤵⤵。


 鏡の前にビニールに腕を通して座ると、スタイリストの真弓が再度、優紀の髪を括りながら確認した。
「本当にいいのね・・・。綺麗な髪だから、ちょっと勿体ない気もするんだけど」
「はい」
「じゃ、始めるわね」
軽く縛った髪の根元から一気に断髪された時。
胸の奥がチクリと傷んだ。
高校の時に切っただけで、それからは揃える程度にしか切らなかった。
鋏の音が室内に響き、その度にウェーブ掛かった自分の分身が足元に落ちていく。
胸の鼓動が段々と高鳴る。
過去の出来事から自分を断ち切るように。

暫くして鋏特有の音から、電気特有の音に変わる。
「もし痛かったら、言ってね」
再度優紀の頭にそれを当てられる。
その瞬間は目を開ける事が出来なくて。
ジョリジョリと、断髪は滞りなく終了した。
その時間はとても、長く感じていた。
数時間後にはカラーも変えて、明るめの茶髪に変わっていた。

「まさか、本当に坊主にするとはね。でも、顔がもともと美人だから似合うわねえ・・・ため息出るわ」
「そうですか?」
「ファッションショーに出てるモデルさんって、結構坊主にしてる人多いのよ」
言われてみれば、と優紀は相槌を打った。
(一時の加藤登紀子みたいな感じと想像してね)
床には、相当な量の髪が散乱している。
女性美容師が箒と塵取りでそれらを掃き清めると、優紀の顔は腫物が落ちたようにスッキリとしたようだ。
「ショートカットもベリーとかって、余程の美人さんか小顔とかでないと」
「伸びるのが早くなるから、マメに来なきゃ」
スタイリストの真弓が、優紀の私物を運んで来て手渡した。
「何があったかは、聞かないけど。前向きになってね、特に異性絡みはね」
会計を済ませて、近所のコンビニで有り合わせの夕食を購入する。
マンションに戻り、テレビを着けて明かりを灯す。
シャワーを浴びに、ユニットバスへ向かった。
着衣を落とすと、体の線が細くなったように感じる。
食は昔よりも、細くなった。
丸みがかる体型から、細身な体型に変化したと思うのは自分だけなのだろうか。
あの時に再会しなければ、全く変わらない日常を送っていたと優紀は思う。
「でも顔を見ただけで動揺するようでは、全然だったよね」
シャワーを浴び終えると、バスタオルを巻いて鏡を覗き込む。
慣れない新しい自分の顔に、苦笑いする。
「パンツや帽子とか、ピアスも出来るかな?」
化粧水と乳液を付けながら、優紀はどんな服装にしようかと考えている。
「失恋ではないけど、気分的には此れなのかも」
ふとたちあがり、冷蔵庫から冷えた缶のチュウハイを取り出してプルトップを開ける。
「新しい自分と会えた事に乾杯」と呟いて。
一気に喉に潤すと一息付いて、足元に置いてあったファッション雑誌を捲りだした。


朝を告げる鳥の鳴き声と目覚ましの音で、優紀は目を覚ました。
帰りが遅くなった為携帯の着信を確認すると、そこにはかつての先輩「サラ」の名前があった。



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あれから将太とは気まずくなり、結局は自然消滅になってしまったのだった。
顔を合わせると、此方は会釈をするのにも関わらず無視を決め込まれ。
将太経由だった友人とも、キレてしまった。
更に悪い事に、所属する茶道部のドアが壊され優紀の使用している茶碗が割られていたり。
更衣室のロッカーは、口紅で落書きだらけの状態になっていた。
「酷い・・・ていうか、陰湿よねえ」
部員は他人事のように、あちこちで呟いているのだがこの面子の中に居るかもしれないのだ。
「でも松岡さんて何も知らないような感じで、男を誑し込むのが上手いわよねえ・・・」
『F4の一人まで篭絡出来るんだから、大した玉だわ』
この部屋に居ることも居たたまれなくなり、彼女は資料編纂室と書かれた看板の方角に向かっていた。
ガチャリと・・・ドアが開き、静かに身を滑らして中に入った。
高校から始めた茶道は、4年目になるが更にのめり込むようになっていた。
きっかけは些細な事だったけど、サラ先輩と慕っていた女性を通じて。
その当時は同好会レベルで、部に昇進は出来なかったものの。
優紀達の後からは部として、かなりの予算が付くようになったと後輩から話は聞いていた。
薄暗い天井を眺めていると、不意に親友の牧野つくしの顔が浮かんできた。
「つくし・・・。仲良くやっているのかな」
気付けば小学校の頃から、つくしの後ろに隠れながら恐る恐る付いていく引っ込み思案だった当時。
隣の吉田君を好きになって、バレンタインチョコを渡しにいったほのかな思い出。
英徳に入ったつくしの愚痴を休みの日に何時も聞いた時、此の学校は魑魅魍魎の住処?と真剣に考えたりもした。
それでも立ち向かうつくしは、優紀にとっては自慢の大親友だったのだ。
そのつくしとも、暫く会っていない。
つくしと会う前に総二郎との再会だから、何ともやる瀬ないのだ。
『過去の話だし、今更会って昔語りするのも何かな』
優紀は結局その日、茶道部の活動に参加せず帰路に着いた。
日の沈む前に帰宅の道に着くのは、久々である。
優紀は通りすがりのショップの前に映る自分の顔を見つめた時に、髪が伸びている事に違和感を感じていた。
行きつけの美容室に予約のアポを取り付けると、軽やかにその方角へ向かって行った。
突然の来訪に驚きながらも、女性店員は笑みを浮かべながら応対に出る。
「優紀ちゃん、御無沙汰ねえ。随分、長くなったみたいね」
「肩より下位まで、伸びちゃったからもう切ろうかなって」
「そうなんだ、どの位?」
「バッサリと、ボウズの手前位まで」
「え??いいの、伸びるの遅いほうじゃなかった?」
優紀は首を振った。
「色々な事から断ち切りたいんです。新しい自分に会いたいし、覚悟が欲しいんです」
「出家でもするみたいだわね。ま、事情は分かるような気がした。どうぞ」
優紀はシャンプー台のある場所に案内されて、台に体を倒した。

鏡に映る自分に別れを告げ、新しい自分を探す優紀の旅がスタートした。

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 再会したときの総二郎は、高校生だった頃には知らなかった部分があった。
「久々やんなあ・・元気しとったん?」
最初優紀が聞いた時、鳩が豆鉄砲を喰らうような衝撃だった事を覚えている。
「は・・・お久しぶりで・・?標準語じゃ・・ないんですね」
その時にウンザリするようにいわれたものだった。
「なんで、東もんの言葉話さなアカン?」
「東もん?」
「東京の人って意味。知らんって・・・言うてへんかったわな。堪忍」
最初の印象も、軟派で苦手ではあったが再会しても印象は良くない・・・だが。
優紀は総二郎を見て、疚しい気分になってる事を否定しなかった。
「彼氏と一緒やったん?」
「あ・・・友達なんです。大学の」
にっこりと笑いながら、「初めまして」と言うも名乗る事はしなかった。
将太の方が、総二郎を見るなり恐縮する感じで引き攣らせている。
「優紀、知り合いだったんだ。凄いね」
将太はこの場を立ち去ろうと優紀の手を引っ張るが、肝心の彼女は下を俯くだけだ。
笑顔ではあったが、総二郎の目は笑っていなかった。
寧ろ見るのが、怖かった。
「失礼します」
そう告げて立ち去るのが、精一杯だった。
近くにあるファミレスで、食事を取る事になり窓際の席に陣取ったものの。
優紀はずっと窓の外を眺めたまま、暫く動こうとしない。
メニューだけでも・・・と将太に促されて、ようやく我に返ってケーキを注文しただけで。
ドリンクバイキングに行けば、ボーっと立つだけでドリンクを注いでもソーサーに零すわと定員に迷惑を掛けたり散々だった。
「で・・さっきの、年明けに籍入れるって話なんだけど」
将太は就職先も決まり、落ち着いて取り掛かりたいと話をするのだが。
肝心の優紀は将太の焦りに、ドン引きする自分を重ねていた。
「藤崎君、私は未だ其処までの気持ちになれなくて。学校卒業してからでも、遅くはないんじゃないかな」
「優紀・・・もしかして西門ってのに会って動揺してるんだ?」
「西門さんがどうして其処に出て来るの?」
「F4でしょ、お金持ちだし。茶道界の大物でしょう。オレは庶民だし、其処までの男じゃないし」
そもそも比較する時点で違うと・・・優紀は溜息の出る話だ。
「関係ないと思うけど。昔の知り合いだし、今は向こうにも事情があるでしょう」
「じゃあどうして、顔を背けてるんだよ。さっき、その場から離れようとした時に下向いてたじゃん?」
「・・・・・」
「ドリンクバーでも、突っ立ってたし。何か優紀、おかしいよな」
「そもそも、お付き合いの期間だって短いじゃない」
(そうか?)

「お付き合いって、優紀は何時からお嬢様気取りしてんだよ」
将太は総二郎の出現に、焦燥し始めていた。
優紀自身は知らないが、サークルや学部の仲間内の中には彼女に好意を持つ輩はかなり多い。
『将太には勿体ないよ』と冷やかす女友達も居た位に。
大学のキャンパスで、席が隣だった事をきっかけに些細な会話をするようになった。
最初はレポートの交換や、文学に関する談義等から始まって・・・。
野球観戦をして、差し入れをしたりとその辺りは普通の学生仲間としての距離を保ってきたのだ。
が、優紀は普通に挨拶を交わしたりと・・誰とも差し障りない程度に付き合う。
将太は優紀と話せる事に優越感を感じて、自分は彼氏のようなもんだ・・と勘違いする部分を持ち始めていた。
優紀は将太に対して、友達の中でも親しいウチの一人にしか考えてなかったのだ。
優紀が普通の女子大生なだけだったら、そう終わってたのかもしれない。
「俺たちずっと、付き合って来たんじゃないの?」
「エ?藤崎君。何か変だよ、普通に会って付き合うとかの域じゃない」
「違うんだよ。優紀は全然オレを一人の男として見てないじゃんか?」
「そんなこと、いきなり言われても・・・」
あの高校時代の出来事が、優紀の中では消化したようで燻り続けているようだった。
「一期一会・・・か」
その言葉が一生を左右するような一言とは、当時重たい言葉だったと優紀が分かるのは大分後の話だった。

当時つかつくが、書けなくて悩んだ時だったなあ。
懐かしいですわ、今となっては。
此方も進めたく、蔵から出して来ましたwww。
本日も読んで頂きまして、有り難うございます。




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月明かりに惑わされたのか、優紀は早急に求めようとする総二郎を拒み切れない。

水が欲しいとねだるように・・・総二郎は、優紀を貪り何度も求めては所有印を全身全霊に散らした。
全身がリンゴ病のように、赤い。
起き上がろうにも、痛さの余りに動きがノロノロと遅くなる。
「堪忍な優紀」
「明日・・行ける・・かな」
ベッドの下に落ちる、シャツを拾おうとした時だ。
総二郎のドレスシャツから、彼のトワレがほのかにそこはかとなく漂う。
頬を赤らめる優紀だが。
「どうしようもない位に愛しくなる」
総二郎の口元かららしくない台詞のオンパレードに、優紀はクスクス笑う。
「お口が上手ですこと」
均整の取れた裸身に、顔を埋められる優紀。
「優紀・・またアカンわ」
と、言うや優紀のたわわなお碗を口に頬張り出した。
「ア・・・ンッ、総・・・二郎さっ」



二人の密月は、夜が明けそうにない。

優紀と再会したのは、彼女が大学生だった頃の話である。
その頃の優紀には、当時付き合っていた男子大学生が居た。
総二郎と別れてから、暫しフリーの期間だった優紀。
総二郎とは普通の友達付き合いに戻り、頻繁に会う事もなくなった頃だ。

「松岡さん。暫く合わないうちに、美人になった

「いやあね、藤崎君も凄くモテるのに」
藤崎将太は、野球好きな普通の青年。
顔は見た目よりも大人っぽくも、偉ぶらない事から女子人気の高かった彼。
将太のごく普通の『付き合わない?』なる、告白を普通に受け入れた優紀。
その時は何も考えてなかった。
何を考えれば良かったのかは、定かじゃない。


それからの優紀は誠実で優しい将太と、楽しい日々を送っていた。
何処にでもある、普通のデートを重ねて初々しさがある甘酸っぱい恋。
高校時代にその出会いが無ければ、楽しかったと思えたかもしれないが。
流行りの出会い系サイトで知り合った中務なる、今風の男と付き合うも騙された事の黒歴史。
初恋の筈が行きずりのようになった、自分が憐れ過ぎる。

それから、何年の歳月が流れただろうか?
総二郎とは、知り合って一度きりの逢瀬で終わった・・・筈なのに。


しかし、運命の歯車は突如動き出す。
「松岡卒業したら、籍だけでも入れない?」
「ちょっと早くない?」
クリスマスイブも押し迫った師走の日。
何時もの、キャンパスからの帰り道のある日。
優紀の視界に入った、ラフな服装ながら傍目にも分かるブランドの一点物を着こなす西門総二郎。


優紀の時間は、因縁の高校時代に巻き戻されてしまっていた。


進まない、グダグダ過ぎる。
と、言うより今となっては、下手過ぎる・・・よくこんな話書いてたな。
丑三つ時に申し訳ございません。


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頑張りますので、宜しくお願い致します。
本日もお越し頂き、有り難うございます。



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