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彼女はこの店に到着するなり、身体をよろけてしまった。
「優紀ちゃん」
優紀と店の人に呼ばれた女性は、気を失ってしまっていた。
「優紀さんて言うんですか?」
オレは袈裟を纏うこの女性を、凝視していた。
「お兄さんは?」
「オレは成宮一茶と言います。この近くを通り掛かって、彼女が倒れそうになってたんで」
「そうだったんだ。アイツが帰って来るの明日だから、一人でこんな暑い場所歩くか。相変わらず無茶するなあ」
飄々とした男性とオレは優紀さんと呼ばれた女性を、奥の部屋に横たわらせていた。
「悪かったね。オレは優紀ちゃんの東京での親代わりだから」
「親代わり?」
「優紀ちゃん・・身内居ないみたいなもんだから。家族とは音信不通」
「はあ?音信不通って、だから尼さんなんですか?」
「尼さんは違うんだけど・・確かに尼さんは余り見ないよなあ」
煙草に火を灯すと、彼は口に含みながら息を吐き出した。
「あ?もしや苦手かな?」
「いや、大丈夫です」
「優紀ちゃんは3年前から、京都の寺に住み込んでるんだよ」
あんな華奢な女性で、寺の住み込みとかと聞いてオレはビックリした。
この理容室が尼さんと知り合いなんて、それもビックリだった。
しかしオーナーのオッサン、カッコいいよなあ。
煙草を吸う仕草が、絵になってる。
「もしや、成宮君って華道の成宮流?」
「知ってるんですか?」
「優紀ちゃんも、華道もやってるし。ウチのも池○で、師範代だから」
見た目は普通の理容室で、オーナーの身内が池○師範代と聞いてオレは逆にビックリだった。
彼らは何者なんだろうか?

優紀さんて、どんな人なんだ?オレもドキドキが、止まらなかった。
「どうも親切にすみません」
「オレは当たり前の事ですから。こんな都心で尼さんにお会いするとは珍しいです」
「そうですよね。若い尼さんは少なめですから」
尼さんて事だから、何処かの寺を継いでるのだろうか?
「この辺りの寺でも?」
彼女は小顔で小さく首を振る。
「ウチ・・・私は、この辺りの寺ではありません」
「では何か出張でも?」
「みたいなものですね」
薄い浅黄の頭巾を汗に濡らしながら、彼女は小声で呟いた。
「貴方はこの辺りに住まわれてるのですか?」
「はい・・・」
不味いなあ・・・よく見ると、この尼さん結構美人さんだよな。
こんな美人なのに、尼さんて何か曰く付きなのだろうか。
汗に貼り付く顔を斜め下から見ると、ドキドキする。
オレは女の子にモテるし、不自由してないのにな。
クリッとした目が、何つうか吸い込まれそうだ。
しかしながら、この尼さんはオレの意に介しても居ない。
結構有名人なオレだけど、オレつうより僕扱いしてる?みたいな。
そんなこんなで、目的の場所には到着してしまっていた。
「有り難うございます・・此処迄来れば、大丈夫です」
あれ?此処の店って、何処かで聞いた事あったな?
こういう時に、オレは思い出せない。
が、彼女の不安な足取りに、オレはもう少し付き合う事を選択していた。


今日は念願の川下りを体験できる。
あたしは退職金を使って、プチ贅沢旅行を満喫している。
とは言っても、セレブ旅行ではなくて。
何にも縛られない、時間を自由に使える旅行。
昨日から都に上洛して、あたしは市内にある日扇旅館へ滞在してる。
此の旅館は、普段ならば10万近い宿泊代で。
ましてや紹介でないと、泊まれない格式高い宿。
が、其処は次期家元夫人の親友から口利きで滞在させて貰える事になった。
大抵は洋館を紹介されるけど、あたしは旅館やら歴史を感じる場所に行きたかった。
親友の優紀は、あたしの友人だった一人と大恋愛の末に結婚して京都に移住した。
あたしが京都に行く時には、案内人をかってくれたけど。
残念ながら、去年子供が生まれたばかりで。
一人旅を満喫している。
一人はそれなりに悪くないし、気を使わない旅を楽しみたかった。
7年勤めた企業から転職し、小さい会社で業務主任を任されて奮闘していた。
仕事が楽しくて、直ぐに会社の仲間達とも仲良くなれたのに。
あたしの仕事先は、吸収合併された。
会社を離れて、京都で傷心を癒そうとやって来た。
川下りは今風の船に、10人前後が乗船して古い街並みを川伝いに進んで行く。
川の風が気持ち良くて、船頭さんの民謡が往時に誘って心地良さを感じる。
櫓を漕ぎながら、民謡を歌い上げる。
『体力有るなあ』
以外の事しか、思い付かない。
夏草や強者どもが夢の跡・・・あたしの学生時代も、そうだった。
世界的に有名なモデル男?と別れ、当時を偲ぶ。
夢の跡・・・幸せだった、あの頃。
就職してからは、会わなくなってたけど。


あたしはもうあの頃には、戻れない。
心から愛したのは、あの男だけ。
あれ程の恋愛は要らないから、安らげる場所が欲しいと思う。
川下りをしながら、酒蔵や昔の街並みを見て癒される心。

自分を信じて、生きて行くだけ。
もうあたしを縛る物は、無いから。

祇園の優雅な気分に酔いしれたまま。
鴨川ぞいの道づたいを、あたしはゆっくりと
歩きながら川涼みをしていた。
「楽しめたか?」
「道明寺・・・」
ラフなジャケットに、ビンテージジーンズを着こなしてあたしを見下ろす男。
「アンタが居ないから、楽しめた」
「悪かったな」
あたしが関西旅行に行く事を、きっとお義母様から聞いたのかもしれない。
「お前が居なくなって、仕事が上の空だった」
世界中のビジネスマンがアンタの動向を気にするのに、道明寺はあたしを心配してくれるなんて。
「だって、アンタの会社が吸収合併とか言ったら。あたしは居場所が無いよ」
「お前は此処が居場所じゃねーか」
道明寺はあたしの腕を引っ張って隣に寄せる。
「あたしは只の女扱いされたくない」
「可愛いくねーな」
「あんたって、何処迄もオレ様だよね」
道明寺はあたしの顔を包み込みながら、頬にキスをした。
「恥ってのが無いの?」
「自分の女には、関係なくね?」
全ての女性を魅了する情熱的な笑み。
「もう・・・オレ様なんだから」
そんなアタシは、道明寺の魔力に惹かれた一人。
でもそれは絶対に言えないから。

緋色に包まれた満月の下で、アタシは道明寺に抱えられている。
「逃げんじゃねーよ」
「分からない・・・あたしは自由だから」
「夜は未だ長いからな」
「何言っちゃってくれてんの」
道明寺は鴨川であたしを捕獲した・・・と思ったら、あたしの身体を鴨川の中に沈めて洗い出した。
「何す・・・っ」
化粧が落ちて、スッピンは恥ずかしい。
「神に捧げる物を浄める・・・ならば、浄めてんだろ」
そもそも、神様を間違って・・ああ、神に愛された様な自分の事ね。
あり得ない・・・と思いたいけど、殆どの女性がこの男に愛されたいと願うのね。
あたしは水びたしにされるまま、道明寺の車に乗せられて貴船神社の方角へ乗せられて行く。
魔除けどころか、魔物が乗り込む様なもんだ。
満月が血に塗れた、部分的に朱が交じり合いあたしは生娘状態で車に押し込められたまま。
「あたし山中で埋められるのね」
「んな訳ねーだろ」
車中とは言え、かなり広いから。
「此処なら誰とか、関係ねーよな」
「回りくどいオレ様ね」
魔物に魅入られたあたしと、タチの悪い女に囚われた道明寺。

神宿るこの山中で、あたしの運命は山中で命を落とすのか・・・それは誰も知らない。


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