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以前掲載した、お話になります。
思えば、このお話から何か変わったかも。

オレはつくしにやっと、好きだっつーこと言ってやっとキスできたんだっ。
なのにつくしは、そんなオレを地獄に落とすような事をいいやがった。
「あたしはもうすぐ死んじゃうんだよ」

先週つくしは夕飯を、ウチの邸で一緒にしてたら突然倒れて病院に運ばれちまった。
オレは行きたいと駄々捏ねたが、子供は当然だが行けねー。
ババアと姉ちゃんやつくしの両親が付き添って、
帰ったのは何日間か後の話。
オレは会いたいから、毎度邸で暴れて物を壊しまくる。
突然ながら、西の部屋近くの物置に軟禁された。
「駄々こねて、暴れて軟禁て。我が弟ながら単純過ぎるわ」
姉ちゃん、オレはつくし以外に興味ねえだけだっ。
(それを単純と世間では言う)
「仕方ないでしょ。虫垂炎なんだから」
「チューインガム?」
「オマケにバカだもんねえ」

ため息のまんま、姉ちゃんはその日に戻らなかった。
が、妖怪婆さんもといタマが出してくれたんだな。
「坊っちゃんが暴れたら、つくしが悲しみますからね」
何だよオレじゃねーのかよ、と思ったけどな。
その日、つくしに会いたくて病院に向かった。

「つくしっ、大丈夫かよ」
「司は大袈裟だよっ。虫垂炎だってねぇ。
でも、お腹切るから死んじゃうんだよ」

オイ、今サラリと縁起でもねー事言ってねー?
「お腹切るって、手術かよ」
「うん、でも昨日パパとドラマ見てたんだ。そしたら腹切るシーンがあって、その人死んじゃったんだよ」
「それは何のドラマだよっ。」
「ちゅーしんぐらっつう有名なお話だよ」
「チューして死ぬ話か?」
「つかさって、バカだよねえ・・・」
そもそも、特別室に入院してるから何とも言われねー話。
普通の部屋なら、確実に近藤だよな。
(それはコントです、つーか誰やん)
「それでお腹切るって、変な話じゃね」
「あたしもよく知らない。でもさ、死んじゃうんだよっ」
「オレはつくしが死んじまったら、生きていけねー」
「へ?」
「つくしが死ぬなら、オレも死ぬぞ」
当然だよなっ、つくしが居ないなら生きていけねーし。
つくしが大好きで、大きくなったらケッコンすると決めてるオレ様。
未だ初体験もしてねーのに、死んじまうんならよお。
「でも、死んだら王子様のキスで目覚めるんだよね」
オイ、それはしらたま姫っつー奴じゃねーか?
「だからね、類君に頼んで有るんだよ」
「何でそれはオレじゃねーんだよ」
「司は王子様じゃないよお、オレ様だもん」
オレ様のキスじゃ、イヤとかあり得ねーだろ。
その前にそもそも何で類が、出て来るんだよっ。
「類君はアタシにとっての王子様なんだよ」
「オレがつくしの王子様になってやるっ」
「司じゃあ、オレ様だもん。それか王様、裸の王様だよ」
何だか話ばかりが、朝イチの方向じゃねーか?
「とにかく、司じゃないんだよ」

オレはつくしに会いたくて仕方ないのに、何でつくしは地獄に突き落とすんだっ。
「オメーは、何でキョトキョトすんだっ」
「つかさはつかさだもん」
「オレは彼氏だろう。彼氏以外の男とはすんじゃねー」
「やっぱりオレ様だもん」
「つくしは嫌いなのかよっ」

大口開けて笑ったら、つくしは急に脇腹痛み出して直ぐナースコールをして。
そのまんま、運ばれたきりだった。






「つ・・・く・・し。キ・・スは、オレが・・・する・・・ンッ」
司は連日の激務と、気候の変動で熱に魘されている。
もう、アタシはずっと付き添って居るのに。
小さい頃の手術した時、未だ覚えてたんだね。
あたしは類じゃなくて、ずっとあんたの側に居るのに。

余程だよね、結婚しても未だ此れだもんね。
でもねー、あの後にキスしたのはアンタなんだけどさっ。

暫く言わないでおこうかな。
アンタはいっつも、嫉妬で迷惑ばっか掛けるし。
アタシを不安にさせるアンタだもん。
でも、司が大好きだよっ。
此れからもずっとね。


何か懐かしいなあ。今となっては。




悠香拝

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エセエロに付き、アウトな方はそのまま退散をお願い致します。





今日は聖なる誕生日、年に一度の特別な日。
この日だけは、執務室の奥に有る『簡易宿泊部屋』がラブホ・・・ではなく吉原に変貌した。
吉原とは言っても、あくまでも昔のではない。
雰囲気が吉原に近い・・・物と、言う表現だ。

小さく華奢な女の身体が、ベッドに横たえられ仰向けにされている。
色とりどり果実と、生クリームがその身体に乗せられている。
誕生日だからと、その一言でつくしは腹を括ったものの・・普段からその手の類いはカマトト並みにウブなのだ。
目を固く閉じて、歯をガタガタ鳴らしながらヘッドボードに固定された腕。
「女体盛り」で食べてみたい・・只でさえ、食事をしない彼氏様である。
その一言が、まさかの・・・である。
「誕生日を祝ってくれんだよな?」
とは言え、誕生日にこのような如何わしい格好につくしは辟易している。
『あたしに、恨みつらみでもあんの?』
鈍チンでキョロキョロするし、男友達と誤解させる行動をする・・・。
恨みと言うよりは、嫉妬で巻き込まれて大変な目に会わされる・・愉快な仲間達談だ。
それは、仕方がないとは言え。
誕生日にこのパターンは、よもやである。
蕾には苺とクリームのトッピング。
苺を取り上げてみれば、汁が蕾の周りをヌラヌラ輝く。
「食べ残しは、良くねーな・・」
果実を蕾にコロコロと転がし、口に含めては舐め始める。
「あぁ・・・あ・・・いゃあ・・・」
果実を咀嚼した後に、蕾を含み片一方の生クリーム蕾に塗りたぐる。
「あぁ・・・ふぅ・・・あん・・・ああ・・・」
形の良い膨らみは、サイズアップを促す様に大きな手で手繰り寄せる。
つくしはそれだけの行為にも関わらず、理性を手離して良い声で鳴き声を上げ始めた。

「んだよ。未だ始まったばかりだろうよ」
しとどに蜜が溢れ出し、蜜の入口にはクリームを乗せた長い指を差し込んだ。
「いゃあ・・・だ・・・め・・ンッ」
暴れようと、足元をバタバタ動かすも。
長い指を差し込みつつ、足を折り曲げれば蜜とクリームが入り交じり甘い匂いを放つ。
「甘えし熟れてっからな。此れは残さず頂く」
馬乗りし長い舌と唇を巧みに使い、卑猥な音を立ててつくしの蜜が溢れ出す割れ目に近づく。
「あぅ・・・ンッ・・・あぁ・・・いや」
つくしは口から露を滴らせ、目を潤ませながら司を退かそうとするも。
足の力が入るどころか、割れ目を攻められて何度も達している。
腕は解放されていたが、頭を剥がすどころか抱える形となりつくしの身体を再度起こす。
片一方の手は、胸の蕾をこねくりまわす。
もう一方は首筋にワイン入りのグラスを傾ける。
液体を流しては、舌で這いずり舐める。
それだけで、既につくしは限界を向かえた。
つくしの息は上がっても、司は未だ足りないとばかりに身体中を甘咬みしながら味わう。
「あンン・・はぁ・・つ・・か・・あっ・・も

ベッドはつくしの蜜でベトベトに、汚れている。
司はつくしをベッドの淵に手を掴ませると、クリトリスにローションを塗り付ける。
「あん・・・つ・・・か・・もぉ・・・入れ・・」
「我慢出来ねーのな。たっぷり、入れてやっから、強欲だなつくしは」
天にそびえる自身をつくしの口に含む。
地ならしをしてから、差し込むのだ。
「たっぷり慣らさねーと、痛いよなあ」
クチュクチュと、飴玉をシャブりつつ悦に入るつくし。
つくしの手を淵へ持たせ、獣の体制で取らせる。
司自身を、つくしの下の口へ腰を打ち付ける。
パンパンと鳴らしながら、角度を変えて挿入する。
「あん・・・いい・・いいのぉ・・もっと・・・欲し・・い・・」
つくしは只の獣と化し、司自身を離さない。
「つ・・・か・・さ・・・あぁ・・・あい」
「つくし・・俺から離れんじゃねーぞ。何処迄も、追いかけっからな」

誕生日のパターンは、毎度の司の主導権によって今宵も夜のお通しに変わる。
つくしが意識を失っても、司は所有印を表す白濁液をつくしに注ぎ込んだ。


つくしが起き上がると、下の方からジメとした濁り液が溢れる。
等身大の鏡には、白い肌を覆い尽くす所有印。
腰痛持ちの老人ではないが、痛みに顔をしかめる。
女体盛りの筈が、何時もの行為と何も変わらない。
「お嫁に行けない・・・」
今更何を言わんかやと、司がつくしの顔を見下ろす。
「オレと結婚すんだから、良いじゃねーか?何言ってんだ?」
「あんたの誕生日・・・っつうから・・」
「誕生日はつくしとベッドで過ごすだろ?」
「そんなの関係無いでしょ。このケダモノ」
「そのケダモノに足開いてよがって・・・」
つくしが小さな手で口を塞ぐも、その手を舐め始める司。
「なんだ。未だ足んねーか?良し、第2ラウンド・・・」


今度こそ、つくしは司に鉄拳制裁を敢行した。
「マジ、死んでくれないかな?」
「世の女どもが、暴動起こすぞ。」
司の美貌に向けて、つくしはクッションを投げ当てる。
猛獣は第2ラウンドを、開始したのだった。



司のBDが、毎度のエセエロで申し訳ございません。
警察小説読んでたら、降りて来たのがエセエロってwww。
どうもすみません😢⤵⤵。
『真面目に書かんかい』と、司ファンからお叱りの山ですね←。
12時に以前書いた、再録をアップさせて頂きます。
で、明日の0時になりますが。
第2段のお話をアップします。
今日の朝、思い付いた『よくあるある』な二人ではあります←。
が、今日は間に合わないんで。
明日もお祝いの話で、一足遅くてすみません😣💦⤵。
去年アップ出来なかったんで、今年はその分になります。
それでは、又12時にお会いしましょう。


お誕生日おめでとう🎂。な、筈がエセエロ。
今日はケーキで、お祝いしまあす。


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2018.01.30 この後の予定
寒い日々が続いてますが、如何お過ごしですか?
いよいよ、告知があちこちのサイトマスターさんでされてますね。
去年は失態やって、書けなくて終わってしまったんで。
今年は再録と、連載をアップします。
去年書けなかったから、今年は何とか頑張りたいです(笑)。
Twitterで神尾先生が、司のイラストをアップされてましたよね。
この司は現在、スマホの待ち受けになりました←。
『ウチも一緒や←』と、何人の方が・・してないって?
更に連載で、ブリザード状態なサイトですが。
去年のつくしのBDは燃え尽きたんで、今年は司のBDはお話をアップしたいと思います。
最近の読者様も多いので、知名度を上げなきゃと意気込んどります。
へ?早く消えてくれ?
誹謗中傷は今の所は大丈夫っす。
が、何処で見てるかは油断大敵なんで。

読書もしたいし、色々バタバタしてますが。
取り敢えずはBDの更新、お暇有りましたら読んでやって下さい。
明日の更新にて、又宜しくお願い致します。
悠香拝

車内は絶対零度以下の、ブリザードが吹き荒れていた。
秘書よりも、運転手がとばっちりの迷惑に違いなかった。
料亭に入る迄は確かに、悪くはなかった。
娘は待っていなかったが、男装をした女が待っていた。
女嫌いで有るとは公言していたから、よもや普通の会食で終わると思いきや。
敵もそれを見越して、まさかのスーツ姿な女性を用意しているとは・・想定外でしかなかった。
挙げ句の果てには、本当に閨を仕込んでいたのだから呆れ果てるばかりだった。
会食する事・・の意味が、只の客寄せパンダ扱いに見た目は我慢している司であるが。
有村『まさか本当に閨を仕込んで来るとは・・』
西田『せめて、メープルを使っていれば・・こんな状態には』
司「おい、こんな低次元な会食企画したのは誰だ?」
分かりきってはいても、怒りが収まらず車の中で暴れかねない副社長。
二人「「申し訳ございません。社長と会長からのお達しとありましては、我々にはなすすべがありません」」
司「揃いに揃って、どいつもこいつも口を開けば結婚だ跡継ぎだ・・縁談?なら、牧野を連れて来れば済む話だ」
流石に一般人として生活している女性を、拐かす事を余りしたくはない。
(ついでに言えば、つくしは最近引っ越しをしていた)
有村「いえ、牧野様にも人権と・・」
司「会社の事を考えんなら、牧野がオレと結婚してくれんのが最重要事項だな」
西田「司様。流石にそれは犯罪紛いな事・・」
司「牧野と事に及んで、仕込めば済む話だ」
有村『いやいや、それは倫理観に反する話・・』
西田「御言葉を返すようですが・・・、世界に君臨する・・」
ダックスフントの車内は、既に低次元な会話に包まれている。
司「牧野と一緒以外なら、金輪際こんな下らねー会食はしたかねーな」
駄々を捏ねる子供か?・・と、激しくツッコミをしたくなる秘書二人であったが。
が、此処でめげる訳には、行かなかった。
有村は心を鬼にして、心中でつくしに謝った。
有村「副社長。実は自分の実家に、牧野様達を招待する事になってまして」
司「あ?牧野達とは、何だ?まさか、アイツらも呼んでやがんのか?」
有村「大河原様と三条様、松岡様にございます」
司「女子会か?」
有村はポーカーフェイスで、司に告げた。
有村「我が家の旅館を、大河原関連の旅行会社でモニター代わりに扱う予定となっております」
西田がその先を代弁しだした。
西田「有村君の旅館は老舗旅館でありまして。然しながら最近は安いビジネスホテルや、チェーンホテルに客足を奪われております。ラブホテルも如何わしさを抑えめであり、益々客足が鈍くなりがちにございます」
司「んなら、メープルでやれば」
有村「メープルですと、牧野様の事です。何やら仕込みが有るのではないかと、警戒される可能性が高いであります」
西田「メープルですと、スキャンダルに使われかねません。又、楓様が縁談話・・」
間髪入れずに、司の鉄拳が西田スレスレに通過する。
有村「では、近日中に案内つかまつります」

つくしの知らないところで、秘書&T3連合軍の野望は虎視眈々と罠仕掛ける気満々であった。

早き事風の如く
静かなる事林の如く
侵略する事火の如く
動かざる事山の如し






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未だ高校生だった頃。
事件が段々と明るみになり、つくしは家族とアパートから友人達が所有するマンションを転々としていた。
マンションには何処から情報を嗅ぎ付けるのか、毎日プロ市民が押し寄せる。
後に分かったのだが、これは金を貰いわざとらしく騒ぐ『サクラ』達であった。
学校の正門にも報道陣や、過激な思想家による『プラカード』やシュプレヒコール等で活動家が『被害者』を装って追い掛けて来る。
つくしの制服がペンキやら、吐瀉物等で汚され校内にすら入る事も叶わず。
校内では過激な『F4』ファンに、狙われる。
ある時は非常階段で友人達に匿われて来た。
違う時はカフェテリアの奥に有る厨房、移動教室の机の下。
制服を何着も用意しては、冷たい蛇口の水のみ場で洗濯もした。
クリーニングに、何回も出したか分からない。
自分がした事ならば、例え未成年と言え責任は覆うつもりだった。
しかし受験生の進も居た上に、母を一人にする訳にも行かなかった。
事件前。つくしは『道明寺司』との激しくも熱い恋に身を焦がしていた。
最初は戸惑いもあったが、司の純粋な想いにつくしがやっと応え出した。
出会いは最悪だったが、互いを知るうちに最悪から最愛に変貌する想い。
元々が身分も価値観も違う二人だったが、離されてもめげずに惹かれ合って行く。
それは段々と言葉から、肉体を求める関係へ。
初めての体験は、何も知らない無垢な少女から愛される喜びを知る女性に変化を遂げた。
つくしに対しては虐めの対象でしか無かったのに。
司はつくしの存在に溺れて、離せなくなる。
一人の人間として自分を愛してくれたつくし。
自分のバックやら容姿や金の有無、自分に近づく女は天文学以上の数だった。
最初はつくしに対してもそんな一人と多可を括り、蔑む目線で散々馬鹿にしてきた。
その嫌らしい見方に『可哀想な男』と、寧ろ自分の価値を高めたつくしだった。
『あんたが御曹司なら、あたしは無印良品の女』と反旗を翻した位だ。
そのつくしに最初の恋心を抱かせたのは、自分の親友。
眩しい笑顔を親友へ向けるつくしに、陥落したのは蔑んだ筈の司だった。
『黒い大きな瞳を曇らせたくない。その笑顔を自分に向けて欲しい』と。
紆余曲折もあったが、二人が結ばれて間もなく。
つくしの父親が『詐欺罪』で逮捕された。
司は自分がつくしを守ると、誓っていた。
非常にも運命の神と言うのは、二人を容赦なく地獄へ突き落とした。
道明寺の方では、総帥の父が病に倒れた事で株価の暴落を引き起こしかねなかった。
ホテル事業でも『耐震偽装騒動』等で、企業の屋台骨が揺れに揺れた。
『鉄の女』と呼ばれた司の母も、気丈に対応はして来たが、彼女一人でも既に限界だった。
つくしは父親の事件等が、更なる企業の仇となる事を恐れた。
『別れよう』と切り出したのは、つくしからだった。
司は拒んだが、裁判が始まり出してからは『道明寺HD』の本社に迄マスゴミが押し掛ける騒ぎとなった。
ライバル企業も追い落としへ躍起となり、マスゴミと組んで痛くもない腹を探り始める。
司の暴力事件揉み消し騒動も、一部のネット投稿から火を付けた形だ。
『道明寺HD』叩きを皮切りに、『花沢物産』『美作商事』挙げ句『大河原財閥』に迄広がってしまう。
一時は『国会』の『証人喚問要求』に迄、発展した。

つくしは心を鬼にして、『別れ』を司に懇願したのだった。
司は断固拒否をしたものの、つくしには『楓』『タマ』を通じて謝罪するしか術を持て無かった。
企業を守る事に、非力で未熟だった。
事件こそ小さい事だったが、英徳での厄介者扱いを受けて来たつくしだ。
特に『浅井』『鮎川』からは、憎悪の対象にされ『SNS』で有る事無い事を、更に拡散されていった。


『道明寺HD』や友人達は火消しに躍起となるが、世論や評論家にマスゴミは『富裕層』を叩く事に快感を覚える。
『正義の刃』を振りかざし、年中その話題で持ちきりとなった事も有る。
つくしは英徳の通信教育制度を利用する事で、通学を取り止めた。
進に迄被害が及ばない様、花沢類の親類に後見を頼み『牧野姓』の戸籍からも外した。
『何でオレを頼らないんだ』と、当時の司は激怒したが。
自分の事件で、これ以上『道明寺HD』に迷惑を掛けたくはない。
身内の恥で、経済界の混乱を引き起こす事は耐えられなかったつくし。
『道明寺・・経営者として立派な人間を目指して。あんたには相応しい家柄の女性と幸せになって欲しいから』

司の心中では、つくしが制服姿のまま笑っていた。
『オレはどうして、手を離してしまったのだろう』
幼くて淡雪のはかない恋に、司の心は今も後悔の念を抱いていた。


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12時30分。
非常ベルを潰した鈍い音が、館内中に響く。
つくしは、上体を反らしながら「お昼だぁーっ」とゆっくり椅子から立ち上がった。
ミニ休憩室へ、ランチボックスを抱えて移動する。
朝は大抵、コンビニで調達が専らだ。
昼休憩はサンドイッチとミニラーメンにデザートと、スーパーで見切り品のシェアのお菓子を持参する。
バイトもしているが、定時迄は大原則だ。
「あ~あ、午後も憂鬱だなあ」
4人掛けのテーブルに荷物を置いて、椅子に腰掛ける。
午前中は客からの、返品苦情の電話とクレーム対応で殆ど潰れていた。
『そもそも、買ったら気に入らないって。だったら、しっかり事前チェックしろっつーの』
美甘子「クレーマーも居るから、恐いよねぇ」
順也「ダダ漏れしてんぜ牧野」
つくしを嗜めたのは、スーツ姿の男性と花柄のニットワンピースな女性。
前田順也と沢松美甘子である。
つくしとは同じ部署仲間だ。
順也は外回りから戻るも、午後からはメーカーへの挨拶回りが待っている。
つ「美甘子、コンビニ混んでたでしょ?」
美甘子「うん、昨日からさあ。ホテルメープルのコラボ弁当出たの。即買いに走ったら、レジ混んでるし」
つ「ウゲッ・・・又?」
小声で文句を付ける、つくしだ。
美甘子「そんな事言ったってねえ。庶民には、メープルなんて高嶺のホテルだわ」
順「平日宿泊で、10万だぜ。どんな宿泊客だ?」
つ「でしょー。殆どは海外からだよ、中国人の富裕層が多いし」
美甘子「何でつくしが知ってるの?」
つ「エッ?あ・・・先輩が、ホテルの厨房で働いてんの。珠に、お料理も頂くし」
美甘子「いやだ彼氏?羨ましいわねえ」
つ「いや、友人・・・」
美甘子「F4も来てるみたいでしょ。やっぱり、ステイタスだし憧れよね」
順也「オレもなぁ、裕美(妻)が行きたがってっけど」
順也は去年、籍を入れたばかりの新婚である。
メープルの系列で結婚式を挙げたが、所詮は片田舎に有るシティホテルだ。
本店や都心部に立つメープルホテルは、庶民が利用出来る事は先ず難しい。
「ハイステイタスなホテル」であり、国旗が掲揚してあるだけでも引いてしまう。
そんなホテルに、かなりの割合で入り浸っている率が高いとは、口が裂けても言えなかったつくしだ。
昨日も親友の優紀と、メープルの日本食レストランで食事をしている。
美甘子「つくしは付き合いが悪いからね。最近は特によ」
つ「いや、副業も有るし。珠に空いても、用事が立て込んで・・・」
美甘子「デートが忙しいのよね」
順也「昨日は良い男だったとか?」
つ「それは、友人の旦那ですから。あたしの回りは・・・」
美甘子「花沢専務は?随分親しそうだったじゃない?」
それは、先週の話。
美甘子とつくしは、有給で『スイーツバイキング』に参加する為メープルにやって来た。
月に2回開催されているが、そのうち一度は『レディースデイ』で毎回抽選が行われる位だ。
美甘子はクジ運が強く、既に3回目。
その回は、『T2』(優紀・桜子)に遭遇して冷や汗を書いたつくしだ。
旦那二人に掴まらないうちに、つくしは美甘子と会場を抜け出して事無きだったが。
あの後にバーへ呼び出されて、誘導尋問三昧だったのだ。
F3に言われたのは、当然の事ながら『猛獣の世話はしてるのか?』であった。
つ「先輩だし、顔見知りなだけだからっ」
美甘子「ま、そういう事にしときましょ」
つくしは昼御飯のサンドイッチを、食べ残して休憩室を後にした。
美甘子と順也からの興味津々な視線には、ヒヤヒヤするつくしであった。

此方は食べ残しどころか、食べる事すらせずに車へ戻った面々である。
それは副社長の機嫌が、絶対零度以下の凍り付きが全てを物語っている。
『道明寺HDの将来』が、気になって仕方ない師弟秘書二人であった。




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「つくし。・・・洗い物を終えたら、上がって頂戴」
時刻は23時近くに、なろうとしている。
冬の寒さが今年はきつく、雪こそ降っては居ないが手はかじかんで来る。
フロアーは16席で、カウンターとの間は狭い。
時代遅れのレーザーカラオケと、簡単なツマミを作って出す。
昔で言う『小料理屋』と『スナック』を兼ねた、店舗である。
過疎化が進み、漁師と近所の知り合いが憩い代わりに利用する。
昔ながらであるから、客層も高齢者や中年男性が多い。
皆女将の知り合いや、地元民に慕われている。
都心部では、つくしの父親の事件等の爪痕が未だ消えない。
実際につくしは、成績優秀でありながら大企業の採用は殆ど断られている。
金融機関や公務員は、全てが玉砕した。
友人達はこぞって、支援を申し出たが。
それらも全て辞退している。
「つくし・・・。ごめんなさいね、私が体壊してなかったら・・・」
清原貴子は、皿やグラスを洗いながらビニールナイロンの乾燥台に乗せる。
水の音は出が悪いのか、鈍くヒューヒューと音がする。
「おばちゃん。あたしは、気にしてないんだから。葬式やらお墓も、用だててくれただけで有り難いよ。未だ費用残ってるし、必ず返すから」
貴子は還暦にもならないが、最近は気が弱くなりがちなのか体調も芳しくない。
息子の勝は、小料理屋ではなくカジュアルレストランで働いている。
小料理屋につくしを送り届けると、直ぐに職場へ戻る。
貴子は何れ店舗の閉店も考えていた。
それを留まらせてるのが、つくしだ。
進と自分が大人だったらと、この時だけは考えるも。
父が何故、友人の誘いに乗ってしまったのかと。
「兄さんは、人が良すぎたんだよね。後は焦りもあったんじゃないかな」
「リストラに怯えてましたから。あたしを玉の輿とかで、頑張らなくても」
つくしは、高校と大学を『通信』と言う特例で卒業出来た。
「英徳だから、何とか就職出来たもんだぜ」
勝の職場は休みで、母の体調が芳しくない事も有りカウンターに入る事も増えている。
事件が終息してからも、つくしは就職に苦労をした。
就職以上に大変だった事、それは当時付き合っていた男との別れの切り出しだった。
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有村の最初は、秘書課で不埒な事を企む牝豚の撃退から毎朝は始まる。
車通勤では有るが、別のルートで司よりは少し早目に到着が大前提である。

早朝会議前には、コーヒーを出そうと企む彼女達に『副社長には、必要以外の接触や接見は一切禁止』と固く通達を出して有る。
執務室や給湯室等を見回る。
弁当やスイーツは、全て拒否をする。
菓子折りは、秘書課以外に差し入れをする。
稀に清掃員に変装し、怪しい物を仕込んでないか等細かくチェックする。
最近は女性SPと事細かにするのも、大事な仕事である。
西田や有村に言わせれば、牧野つくしが居ればこんな雑務はしないで済むと思っている。
上司の西田や他の先輩秘書が、仕事をスムーズにこなせるかも新入で、女性の有村が気配りをする。(秘書は男尊女卑が副社長付きのみ鉄則)
はっきり言えば、秘書達の中でも更に雑務をする事も求められるのだ。
秘書=副社長の法則しか持てない、秘書は不要なのだ。
一般の女性社員とは、同じでは無い。
他の役員秘書や、社長秘書にましてや社長や、会長等にも迅速に対応する能力を求められる。
道明寺楓や威会長は、天皇並みの大人物でもある。
役職有る社員との、コミュニケーション等多岐に渡るのだ。
副社長付きとは言え、それはパーティーに同行する時か女性社長等が取引先に出る可能性、その際に駆り出される事も多い現状である。


広いダックスフントでは、既に司が青筋を立てている・・・みたいだ。
有村「今日は博覧堂の坂本様との、会合がこの2時間後になります。会食が○○亭で入っております」
西田は会食でも、女性同伴をする可能性がある場合に有村を連れて行く・・・のだ。
西田「人○町に有る、あの料亭になりますね」
この料亭は、よく政治家や文豪達が使用したとされる由緒正しき料亭だ。
有村「昭和初期迄は、由緒正しくは通じますが。今は・・・スキャンダルの宝庫・・」
西田「左様な事にも使われておりますね」
司「又、ババアの差し金か?」
御曹司は、本日も気分が斜めってる様だ。
有村「お気持ちは分かりますが、仕事の一環で有ります」
司「だから女連れで会食の、意味なんかねーだろー」
西田「閨入り迄仕組んでると?」
司「女つうのはどいつもこいつも・・・」
有村「考える事は容姿・金・地位・・。武家の時代から、進歩すらございません」
司「又、得意の歴史なんとかってのか」
有村「副社長は牧野様が基準ですか?」
司「んなのは、朝飯前だ」
西田「朝からですか・・・」
つくしの閨姿を想像する副社長、を有村は放置した。
車内は怪しい方向に、話が脱線の上に司の表情は既に変質者を装っている。
表面上は何も変わっていない・・らしい。
有村のプライベート携帯が、バイブを発している。
スワロフスキーのキーホルダー付きで、家紋の蒔絵が施されている。
チラと見れば、YNの着信が有る。
彼女は頷きながら、本日の戦場に向けて試行錯誤を始めていた。


昼間からカフェを占拠し、ティータイムを楽しんでいるのはセレブ夫人と令嬢である。
美作商事の専務夫人、西門流次期家元夫人、大河原財閥の令嬢。
今日も優雅なハイティータイムに、スイーツを食べる者等各々それなりに楽しんでいる。
滋「有村君が宿を抑えてくれたみたい」
桜子「どうやって先輩を呼びましょうね」
優紀「尤もらしい理由で、モニターを募ってるから行きましょうねとか?」
桜子「其処に道明寺さんを呼ぶとか?旅館て場所は色々考えると面白いですよ」
滋「どうでもいいけど、優紀ちゃん。かなり、策略家になれそうじゃん」
優紀「大奥みたいな場所ですから、嫌が応でもそうなりますよ。ましてや・・・」
桜子「西門さんが相手では、大変ですよね」
滋「総ちゃんは、その位強い女性じゃないと無理だよね。隙あらば、女性を放り込む世界だよね」
優紀「そうですね。この間も、茶会で香水臭い梨原宮様の奥方が総二郎さん目当てで来てたんです」
茶会の雰囲気は悪くなり、総二郎の機嫌は下がりまくりであった。
桜子「お色気茶会と、勘違いなさってますよね」
優紀「おかげで翌朝迄、クタクタですよ。寝不足で会館の免状書きは、欠伸が止まりませんでした」
滋「ヘェー、愛されてんなあ。あたしも、今度こそ金髪ダンディーを捕まえるぞ」
桜子「それはお諦め下さいませ。あたくしは、先輩への罠を考えるのが楽しみですわ」

次回はつくしを入れて、温泉に向けて引っ張りたいです。


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つくしが夕食の買い出しに勤しんでる頃、ニュースやら紙面では『道明寺HD御曹司・資産家令嬢と結婚』と騒ぎになっていた。
肝心の御曹司はSPと秘書に周囲を囲まれ、何も発言はしていない。
海外ブランドのスーツを纏い、濃い目のサングラスを掛けていてその奥の表情は伺い知れない。
「専務・・・マリアさんとの婚約に一言、お願いします」
「アヴァンテック社の社長令嬢との、婚約に付いて・・・」
マスゴミ各社や、パパラッチからのフラッシュを浴びるも完全にスルーで秘書達をチラと眺めながら止めてあった車に乗車した。
先頭にSPの車を発信し、ゆったりからいきなり爆風を巻き上げて急発進した。


「相も変わらず、下らねー事の繰り返しだな。いい加減成長つうんが・・・無理と言うもんだな」
世界経済の中心で、名前を1日足りとも聞かない事の無い巨大企業『道明寺HD』の次期雑炊・・・もとい総帥の『道明寺司』は、タブレットを取り出すと細く長い指を動かし始めた。
インドの巨大インフラプロジェクトに、日本の企業として初の条約締結に漕ぎ着けた。
その前には、パリ万博開催のインフラ整備を手掛ける事等。
パーティー等では、『アフロディーテにも愛されし男』だ、女性のハートを虜にしたら離さない等賛美は司の為に用意されてる、と言っても過言ではない。
が、肝心の司はタブレットを睨み付けている。
「明日はジャンセン会長との、会食が予定されてますが」
「・・・・。今度は娘に孫に姪で来るのか?」
会食を頼む折には、余計な小細工をするなと申し付けるも大抵は女性同伴を繰り返されるこの頃。
『チッ、舐められたもんだなこのオレが』
司はタブレットに目を戻すと、刻々と送信されるメールのチェックに没頭していた。


つくしは夜のバイトに精を出している。
漁師町にある、小料理屋の運びを手伝っている。
仕事を16時に終えて、女将の弟が運転する車に乗車していた。
女将はつくし姉弟の大恩人であり、小さい頃から娘の様につくしを可愛いがってくれたのである。
それは父の春男が未だ存命で、つくしが高校生の頃。
有る事業を友人に唆され、出資金を募ったのだ。
(10万を出せば、6.3倍の利子が付くねずみ講の類いだ)
人の良かった父は、知人に騙されて勧誘を繰り返してきた。
その一人が警察に、被害届を提出した。
被害届は受理され、数日後にはその友人共々詐欺罪で逮捕された。
当然つくしのアパートには、マスゴミが毎日押し掛ける騒ぎになった。
後に父は懲役3年、執行猶予4年の実刑となる。
裁判等で弁護士を頼むも、多額の費用が嵩んだ。
母親の千恵子はパートと、つくしは毎日学校を終えてからバイトに精を出していた。
千恵子は無理が祟り、入退院を繰り返した果てに腎不全で病死。
父は独房の電灯で、首吊り自殺を計って重体となるも後に死亡してしまう。
両親の死去は、つくしを愕然とさせた。
つくしと進は、葬式の費用すらも出せなかった。
只でさえ生活費にも事欠く有り様で、学費だけは友人の花沢類が手助けしてくれたのだが。
葬式を取り仕切ったのは、今つくしが夜の仕事を手伝っている女将だった。
父春男の妹であり、父とは違い事業家として当時成功を収めていたのである。

つくしは客に御酌をしながら、デュエットを一曲披露したりと独楽鼠の様に働いていた。
『銀座のこーいーのー、もーのーがーたーりぃ』
ヤンヤヤンヤと喝采されながら、つくしは割烹着の襟口に紙幣を挟まれ御礼を述べていた。

高級ホテルのコンパニオンよりは、低いながらも酒のツマミを運び愛想を振り撒く姿。
学生時代の友人には、見せられない現実だった。





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『来ぬ人を 松帆の浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の
身も来がれつつ』
(いくら待っても来ない人を待つ私は、松帆の浦で夕凪の頃に焼かれて焦げる藻塩のように、切なさで身も焦がれる想いです)

(藤原定家)

今日もつくしは、職場の休憩所で友人達と昼休みを過ごしている。
1日PCを打ち込み、珠に電話の取り次ぎ。
同じ事の繰り返し、刺激も無く穏やかに過ぎる日々。
朝起きると、朝食と弁当作り。
テレビを付けながら、洗濯機も回して朝のバタバタな一時。
就職して6年目、毎日のルーティンで慣れた事。
「はぁー、時間なくなっちゃうよ」
鏡で髪をアップして、お団子に纏める。
切る暇無いから、伸び気味だよなあ・・・と呟きながら。
ファンデーションとアイメイクを、簡単に済ませる。
つくしは小さいながらも、今はセキュリティの付いたマンションで一人暮らしをしている。
弟の進は三年前に結婚し、小さい姪を連れて度々来る事もあった。
就職を決める時、友人達の会社や大学を通じて試験も受けたのだが。
とにかく『F4』や学生時代の仲間達と、離れて仕事をしたいと望んだつくしだ。
そんな時。
親友であった優紀の後釜で、推挙された。
都心に有る健康食品の会社で、データ入力の仕事。
ハローワークも通ったが、バイトか派遣の求人ばかり。
流石にそれは副業でしかないから。
優紀が寿退社をするのと同時に、つくしは渡りに船で就職を決めたのだ。
履歴書を見るなり、社長から顔パスで採用されてから6年。
最初は契約社員だったが、晴れて今年から正社員となれて毎日を安心感に包まれて過ごしている。
とにかく、苦労ばかりが続いて安定性が欲しかったのだ。


風間章太は、つくしの同僚として同時期に中途採用された。
見た感じはイケメンな青年だが、仕事が丁寧ながら敏速にこなす事が評価された。
風間はつくしと組みながら、毎日他愛も無い会話をしたりとランチでも一緒に席を囲んでいる。
職場の仲間からはニコニコ笑いながら、二人の成り行きを見て楽しんでいる。
「つくし・・・風間から、告白されなかった?」
「付き合っちゃう予定無いの?」
囃し立ててはいるのだが、つくしは要らない事を言って来る仲間を適当にあしらうばかりだ。
「いやあね。只の同期だし、風間さんとは何も無いわよ」
「結構、いい線言ってるし。付き合うには、悪いとは思わないよぉ」
「あははは・・・なら、美子(みこ)が付き合えば?あたしは、良いや」
ちどり千鳥格子模様のスカートに、黒のタートルネックセーターと。
地味な印象ながら、髪をお団子にアップして社員証を首からぶら下げている。
ナチュラルメイクで、大きく丸い瞳に見つめられて男性社員は大抵告白するも。
つくしは毎回小さく笑いながら、素っ気なく話を別に振ってしまうのだ。
榊美子はつくしの一年先輩に当たるが、何故つくしは男性社員から告白されても受け付けないのか。
不思議な視線で見ていた。
華奢で小柄ながら、誰にも分け隔てなく態度を変えない。
困っている上司や仲間を助け、明るくハキハキと喋る。
なのに、全く男性の影が見えない事。
社内の摩可不思議な1つに、上がっている位だ。
「あれだけの良い子だし、上司がお見合いを持って来ても断るし。不思議なんだよね」
美子はつくしの親友である、優紀にアポを取ってみたのである。


その頃紙面と市場では、『道明寺HD専務、今春にも結婚か?』なる話題で持ちきりとなっていた。
つくしは未だ知らない。
それでも、会いたいと待っている自分に燻る気持ち。
『あんたとの過去から、早く忘れて進まなきゃね』
つくしは、夕食の買い出しで頭が一杯だった。


「栄転、おめでとうございます」
「ああ、やっと日本に戻れる」
長くも辛い日々から、解放される事を喜ぶ者が此処にも居た。
無表情ながら、ビル街からの満点の星空に思いを馳せながらも。
時が止まったあの日から、動き出した針は彼らの想いを紡ぎ始める。


連載の話が又しても、消えてしまいました。
急遽ですが、短編を投稿しました。
宜しくお願い致します。



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