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此方もバレンタインやら、何やらで放置してました。
少しずつ、話を動かして行きます。

ザクッザクッ・・・。
白く柔らかい雪の絨毯を、重い足跡が刻印として刻まれて行く。
吐き出す息は、白く蒸気と変わり消え行く。
運動をしている筈だが、息が上がり始めている事に司は苦笑いを覚えた。
煙草の吸い過ぎかもしんねぇな・・・。
重役会議やら、つまらぬ会食が続いたせいなのか喫煙ブースに足を運ぶ機会が増えたとは思っている。
その度々に西田から、小言を漏らされていた。
『確かに若くはないな・・西田が言うのは尤もだな』
「司様?如何なさいましたか?」
「いや・・大した事ではないな」
SPの神部が、後ろから司の顔色を伺う。
「この辺りか?」
「もう少し先になりますね」

司は何か思案したかと思うと、再度速度を上げて歩き始める。
窓の中を眺めると、髪を無造作に縛った小柄な女性が台所で食器を洗って居るらしい。
明るめの室内でニコニコしながら、何やら楽しそうである。
司は建物の無造作に置かれたオブジェ等を、避ける様にアメ車のプレートが貼られた入口を開けた。
「すみません、今日は終了・・・」
「此処は吉松のお店か?」
「吉松はウチの主人ですが、どちら様で?」
「道明寺司が来たと、伝えてくれないか」
小柄な女性は、慌てふためきながら・・・『主人を呼んで・・・来ます』
と、奥に引っ込んでしまった。
「司様?吉松様とは?」
「未だオレがやさぐれていた頃に知り合いった」
司が高校生だった頃は、手が付けられない位の暴れん坊で問題児として紙面を賑わしていた頃。
つくしが吉松と『海の家』で、アルバイトをしていた頃を思い出したのだ。
漁師町に居を構えたとは、最近になって知ったのだ。
つくしと会わなかった頃を知りたいと、司は吉松の店を訪ねて行ったのである。

吉松は10年近く会ってない、大物有名人の来店に驚きを隠せなかった。
吹雪は幾分、落ち着きつつも凍える寒さには手がかじかんでいた。



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つくしと進は、英徳の編入試験を受ける当日。
二人はシェフお手製の『カツサンド』を頂いていた。
つくし「おいしいねー。こんなの滅多に食べられないよ」
進「オレこんなに良くして貰っていいんかなあ」
カツサンドとオニオンスープに、デザート付きで。
オニオンスープは、ホテル『メープル』でも販売されている看板メニューであるが。
手作りの食事に、ひたすら感激するばかりだ。
色々話をしながら、幼い二人はサンドイッチにかじり付く。
つくし「はいれるかなあ」
進「姉ちゃんは、余裕じゃん」
つくし「あたし・・・ふあんだよ」

使用人の一人が、不安そうにつくしの方へ向かって歩いて来る。
使用人「つくし様、お願いがございます」
つくし「なあに?」
嬉しそうに食事タイムを楽しんでいた、つくしであるが。
タマ「つくしは未だ食事の最中だろうよ」
使用人「それは重々承知しておりますが・・・」
タマ「又、坊っちゃんかい?」
使用人「左様でございます」
タマはゲンナリしている。
タマ「困ったもんだねえ」
使用人によるとつかさは中々起きて来ない上に、無理に起こすと殴る蹴るで暴れるのだという。
酷く機嫌が悪い時には、部屋に飾ってある国宝クラスの骨董品を破壊したりもするのだとか、
使用人達の中には怪我をして、余りの怖さに近寄りたくないとタマに泣き付いて来るのだ。
学校は社長出勤並みに、遅刻の日々である。
タマ「つくしは大事な試験の日なんだよ」
つくし「どうしたの?つかさおきないの?」
進とカツサンドを美味しそうに頬張るつくしだが、つかさが中々起きないと聞いてカツサンドを白磁の皿に置く。
つくしは大きな瞳を、キョロキョロする。
つくし「つかさダメなんだねえ」
タマ「何処迄手の掛かる坊っちゃんだかね」

使用人「申し訳ございません。坊っちゃんは、寝起きが宜しくないのでございます」
つくし「おきるかなあ?」
使用人「お食事中のところ、申し訳ございません。ご足労願えませんか」
つくし「いいよお。つかさ起こすの?」
つくしの一言に、狂喜する使用人達。
タマか睨みを聞かすと、静かになる彼らだ。
つかさの寝室に案内されて行くつくしに、使用人達も固唾を呑んで見送った。

ガチッと、古めかしそうな扉が開く。
使用人の一人が鍵を開け、つくしが付いていく。
大きな天盖付きのベッドに丸まって眠るつかさ。
つくし「ダンゴムシみたいだねえ」
つくしは小柄な体で、ゆさゆさと揺り動かすも・・・起きない。

使用人に持参させた、小さい中華鍋をつかさの耳元で派手に鳴らし始める。
ラジカセを置き、大音響でパンクミュージックを流し始める。


つかさ 「うっせーっ、ひっこん・・・で・・・」
意識が覚醒するなり、目の前に居るのは大好きなつくしが鍋を持つ姿。
つくし「おはよー、おきたねえ」
つかさ「う・・・ん、なあ・・キスはして・・くんねーの?」
つくし「なあにそれ?」
日本式しか知らないつくしには、真っ暗になる位に驚いた。
つかさ「NYなら、すんのになっ」
繰り返すが此処は日本である。
つくしとて、知らなくはないのだが。
抵抗が有るのだ。
つくし「起きないと、あたし試験おくれちゃうよ」
つかさ「受かったらいっしょだっ」
つかさはつくしに抱き付くと、朝の挨拶?を額に受け入れさせられてしまった。
つくしは真っ白のまま、試験に望む羽目となった。

「姉ちゃん大丈夫?」
進が言っても、ボーッとしているつくし。
そのつくしを待ち受ける、運命的な出会いが刻一刻と近づいている事を今は知る由の無いつくしだった。

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この世の中に、全てを兼ね備えている人間がいたらお目に掛かりたいものである。
が、それは案外近くにいた。

「お前迄帰すとは、言ってねーな」
昼間からバスローブで、何時ものクルクルではなくストレートにしたたり落ちる雫。
つくしはため息を付きつつも、内心密かにギクッとした。
『さっきのあの状況で、まんまならばお笑いになりかねないわよね』
「当たり前だ、あれは見せられたもんじゃねーな」
道明寺財閥の次期総帥、『道明寺司』はつくしのみを此処に残して残りは即返品している。
司は幸いにも惨事には至らなかったが、一品仕立てのスーツは既に処分の運命になった。

残骸を被ったのは、クリーニングと言う手もある。
が、流石にそれは司の頭ん中には無い。
重役会議は既に名前ばかりと化しているので、自分は体調不良と称してメープルの執務室に居る。
その手のケースは度々生じるのか、秘書の西田が仕切っていた。
「やっぱりお前が絡むと、何かしらあるって事だな。お前はオレのもんだし、素直に甘えりゃちったあ可愛い気・・・」
「はあ?次期総帥よりも、あたしは時期雑炊の方が全然良いわ」
世界的御曹司で絶大な権力と美貌を持つ、この男を目の前にしてもつくしは一睨みするだけだ。
司はつくしの小顔を片手で掴む、その仕草。
大抵の女性は此れだけでKOだが、其処はつくしである。
完全にウンザリした表情で、目線すら会わせようともしない。
「最愛の旦那様にそんな表情すんじゃねーよ」
「誰が旦那様?厄介な障害物に当たって、アタシの人生お先真っ暗以外何もないわよ」
「可愛いくねー、少しは労るとかって想・・・」
「オレ様なアンタにそれこそ、鬼の攪乱とかアタシが言われるの」
つくしとて司に会えるのは、嬉しいのだが。
このようなケースは、絶対に社会人のプライドが許さないのだ。
「そりゃあね、岡田君のやった事は許せないかもしれないけど。わざとじゃないんだし」
「事務所と交渉すれば済む話・・・」
とつくしが言い掛けた時だった。
「オメーは、何で他の男に直ぐキョトキョトしやがんだ」
「は?」
「オレ様っつー、伴侶が居るのに」
何だか雲行きが怪しくなりつつある。
「弁当の件は悪いと思ってるよ。でも岡田君やカズさに・・・」
つくしは司の導火線に、火を付けてしまったようである。





早くも17話にやって参りました。

つくしの学力測定にやって来たのは、当然ながら楓である。
つかさがお熱を上げ始めた子供、とは言え貧乏生活の習慣付いた少女である。
『どうみても、普通の何処にでもいそうな子供じゃないの?つかさは、正気かしら?』
唯一の評価はすれてなさそうながらも、ちとどんくさい雰囲気である。
が、下手に美人であっても困るのだ。
「始めて頂戴」
つくしは普通に問題を、解き始めた。
進と違うのは、ペースはゆっくりだが的確に解いている。
ぶつぶつ読みながら、カリカリとペンを動かすつくし。
春男「この子達は何処で勉強していたんだろうか」
千恵子「私達の知らないとこ・・・」
タマ「つくしは本と文房具を、欲しがってたんだよ。本はあたしが邸の本を、貸したりしてたからさ」
楓「どうりで、邸の蔵書が消えてる筈ね」
道明寺の邸宅には、図書室が有る。
が、普段は使われている気配すらない。
タマ「宝の持ち腐れさ。つくしは、本を読む事が大好きなんだよ」
つくしの地元に遊びに行くと、タマの『鳥小屋』(つかさ命名のタマの実家)には英語で書かれた童話や絵本を持参した。
つくしと知り合って連れて来た時に、退屈しのぎで読ませていたのだ。
英語で書かれた『赤○のアン』等は、タマが質問ぜめにされたので英語の話せる使用人を同行した事もある。
つくしは英語を習い始めてから、今では簡単な会話も出来る。
椿が使用していた、お古の辞書と本を読んでいる。
『ハリー○○ター』と『指○物語』も、英文で読み映画は字幕で見ない位だ。
タマ「つくしが居ると、坊っちゃんは生き返るんですよ。あの子は坊っちゃんを救ってくれるかもしれない」
楓『此れは大変な逸材だわ。弟は天才肌だけど、あの娘も学力高いみたいだし。寧ろつかさの方が不味いわね』
そのつかさは度々教室で暴れそうになる為、つくしを連れて来て欲しいと家庭教師から泣き寝入りが入った。
「あの子はNYに送り返した方が良いわね」
「何かある度に、つくしちゃんでは堪ったもんじゃないわよ」
母娘の策略につかさの運命は、風前の灯火であった?らしい。



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派遣シリーズは、明日の0時更新になります。
楽しみにされていた数少ない読者様には、申し訳ございません。
つくしは波の中に漂っている。
夢見なのか、それは仰向けになりながら穏やかな波に包まれて。
今迄の生活で格闘しながら、付いて来た痣や傷が癒えて包まれる穏やかな波。
『あたし、生まれ変わるのかなあ・・・』
目を開けて見れば、伴侶となった男の逞しい胸の中。
あられもない姿で抱えられているではないか。
「気が付いたか?涎垂らして駄々漏れしてんのな」
「な・・・ちょっ。なんなのよ、あたしの服」
「服は無いぞ、下着以外は持って帰らせたしな」
「あたしはシャワー浴びたいだけ」
二人はバスタブの中抱き合う形で、泡風呂に包まれている。
「シャワーなら、後で幾らでも浴びさせてやっから」
『何なら隅々迄洗ってやるから』と悪魔の囁きにも聞こえるバリトンボイスの誘惑。
「あんたはそれだけじゃ、終わらないわよ」
「何年待たせやがんだ・・」
目の前に自分の顔を大きな手で固定され、つくしは俯く。
「あれは嘘なのか?」

駅の階段から落下して、重傷になりながらも司の元へやって来た。
会う事は無いと司ですら諦め掛けたあの時。
つくしの決死の行動力は、小さい身体の何処にそんな秘めたる力があったのか。
司はつくしのパワフルさに、全面降伏だった。
自分が仕事でどれだけの事をやって除けても、今迄は虚しさしか感じなかったのだ。
つくしを得た事で、達成感と言う物を得られた。
『自分は生きている』と初めて感情として捉える事が出来る様になった。
と、同時に『貪欲な位につくしを愛し愛されたい』と新たな源から沸き上がる欲情。
「あん時のつくしの発言は、全くの嘘なのか?」
「そ・・・んな事は、・・な・・・い」
つくしは何年経っても、素直になる事が出来ない。
それは分かり過ぎる位に、分かっているのだ。
「あたし・・・、大斗と一度だけ・・デートした」
「お前は・・・相変わらず・・浮気」
「違うの・・・あんたの姿を探してたんだ。あたしの心には、ずっとあんたがいた。忘れる事は出来なかった。」
「つくし」
「あんたが居るから、あたしは彼と同じ場所にいても彼を通じて・・あんたになってるのよっ」
名前を出された大斗は迷惑だったに違いないが、存在は全く見えてないのだ。
『何処にでも司と居る』と知らないうちにつくしの細胞は、司以外は拒絶していたと言うのだから。
それが何よりの告白である事に、司は至上の喜びを感じていた。

書いてるウチがイヤんなって来ました←。

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椿は芝生の絨毯に腰を下ろすと、つくしも隣にちょこんと足を崩した。
「つくしちゃん、私自身も恋はしていたの。でもね。家が此処で有る限りは、難しいのよ」
「どおして?すきなひとと、いっしょダメなの?」
「つかさがね、反抗するのは分かるわ。会った事も無い人と縁組みさせられて、好きでも無い人とは一緒に居るのは苦痛だもの」
つくしは、上目遣いに椿を覗く。
両手で椿の体を挟む姿は、猫の様である。
『つかさが居なくて、正解だわ。あの子が見たら、大変・・・』
「可愛いわね、つくしちゃん。私が男の子だったら、付き合ってた」
「あたし・・・はだか・・・」
椿はつくしの顔を両手で挟んだ。
「裸は許せないけどね。つくしちゃんは、キレイよ。可愛いし、あのバカ(つかさ)が惚れるなんて信じらんなかったわよ。でもね・・・」
「でも?」
「つかさと一緒にいてやって。あの子は今
のまんまでは、そのうち荒んでしまうわ。つくしちゃんが、側で一緒にいてくれたら。」
「たんじょうびのみせもの?って、なあに?」
つくしは、つかさが誕生日に対する嫌悪が気に掛かっていた。
「毎回、誕生日会になるとね。派手なパーティーを、開くのよ。今年はつかさの、婚約者も発表される事になるかも」
「はやいんだねえ」
暢気なのか、実感が無いのかつくしの反応は鈍い。
「私達の世界は政略結婚、分かるかな?日本史とかで、習ったでしょ?」
「きいたことはあるよ。つかさはかわいそうだね」
「跡継ぎだし、此の家だからね。でも、つくしちゃん。英徳の編入試験、受かってよ。あの子を一人にしないであげて。ね?私からのお願い」
「ひとりぼっちなつかさは、かわいそうだから。あたしがそばにいてもいいの?」
「つくしちゃん。写真の事を気にするなら、綺麗な写真を私が撮るわ」
「ネットにたくさん出てたし」
「言わないで・・・私が世界一素敵な写真を撮るから。同じヌードでもね、美しく印象に残る写真を取るわ」
「はだかにきれいとかあるの?」
「あるのよ。もう少し大きくなったら、つくしちゃんにも分かるわよ」
「あたし、きれいになれるのかな?」
「つくしちゃんは、今のまんまで十分よ。それよりもつかさの事を守ってあげて」
「つかさ?」
「あの子はあれで繊細なの」
姉は強く、弟は繊細な道明寺兄弟のインパクト。
つくしはセレブの中心で、大変な事を知ってしまったのだった。

室内では、楓が沢山の参考書を執事達に運ばせて来た。
進の学力をチェックしておきたいのだ。
楓「進さん。この辺りから、解いて頂けるかしら?」
小学生に対して、高校クラスの微積分である。
春男「今の子は此のくらいに難しい問題を、解いてるんです・・・か?」
春男は余りのカルチャーショックに、昏倒寸前である。
千恵子は参考書の厚さを見るなり、頭を抱え込んでいる。
楓「進○○ミや、○会やらは朝飯前と思うわよ」
進は小学校の2年に、編入試験を定めた。
千恵子「未だ早く・・・な」
千恵子がボヤこうとした同時に、進はテキストを楓に手渡した。
進「おばさん、・・・終わったよ」

つかさの専属家庭教師と思われる若い男性が、採点をしてみたところ。
最初の点数にして、90点だった。
繰り返すが小学2年生で、塾に行ってる位だ。
家庭教師「何処で勉強してたんですか?」
進「友達のお兄さん。東○大学院生から、本借りてやってました」
進の学力レベルに、両親は昏倒寸前であった。
因みに隠れて大学の公開授業に、参加していた事も発覚して。
違う意味で春男に、怒られた進である。
春男「何故学校に行かなかったんだい」
進「オレが行くと、先生の立場無くなるって。その日休みで良いって言われた」
春男「何の公開授業だい」
進「デカルトとパスカルの話。面白かった」
牧野夫婦は進の末恐ろしさに、へなへなとその場に座り込んでしまっていた。

楓は己の先見性に、笑みが止まりそうになかった。
流石は世界の経済女帝の異名と『鉄の女』の名前は、伊達では無いのであった。

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今の子供さんは、知ってると思うんはウチだけやろか?

話は1年後である。
リトアニアでのインフラ案件を、『道明寺HD』と政府関係者を通じて成立させ記者会見が行われた。
『世界経済の象徴』として、司の名前は不動の物となり『道明寺HD』の躍進は株価等に繁栄されて行ったこの頃。

道明寺系列の病院では、つくしが看護士と懸命のリハビリを行っていた。
欧州での案件に同行したつくしは、高熱に魘されながらも司の側で戦っていたものの。
日本に戻るや病院に運び込んだ時には、医師から大目玉を喰らったのだ。
全治5ヶ月の重傷で、複雑骨折だったからだ。
『オレの心臓止めんのは、つくしだけだな』
と、デコピンをされながら、つくしは大きな瞳からは涙を溢すばかりだった。
「ゴメンね、道明寺・・・」
「つかさだろうが、籍入れたのも忘れてたか」
つくしは舌をチラっと出しながら、ベッドの上で微笑した。
ジェット機が日本に到着するや、つくしは署名するなり意識を失ったのだ。
1週間後。
熱が下がるや否や、つくしはリハビリを開始した。
寝転がりながら足が上がる様に、療法士を相手にひたすら繰り返すつくし。
腕力も落ちていた為に、何度もリハビリを行ってひたすら鍛える日々。
毎日みっちりこなす為に、何度も着替えては日々を費やした。


病院では退屈過ぎて、タマや使用人達から雑誌や文庫を持参して貰った。


コンコン。
ドアが開き、顔馴染みの看護士(女性)が声を掛ける。
「道明寺さん、入っても良いかしら?」
つくしは窓の方から、ドアに向き直る。
久々の再会に、直ぐ様笑みが零れる。
「はい、どうぞ・・来てくれたんだあ」
かつての職場仲間だった、由良夫婦と大斗が尋ねて来た。
歌穂「メープルのスイーツを、買ってきました」
歌穂が青のリボンを解いて、白い箱を開封した。
つくし「美味しそう~。態々、有り難うございます」
大斗「元気そうで安心した。あん時のだから、オレは気が気でなかったよ」
由良「僕もまさか、と思ったんですよ」
つくし「ゴメンね。迷惑かけちゃったよね」
由良「一番とばっちりは、山田さんですけどね」
つくしの元同僚美南は、本日も出勤となっている。
つくし「司からも散々愚痴られちゃったわ」
まさか世界的御曹司の『道明寺司』が、つくしの夫だったとは最初は信じられなかった彼ら。
学生時代からの先輩後輩とは、驚く以外に無かったからだ。
大斗「幸せそうで安心したよ。結婚式には、呼んでくれよな」
つくし「うん。大斗が居なかったら、私は駄目になってたかも」

大斗はつくしの頭を、ポンポンと撫でる。
が、最後の一言に固まってしまった。
つくし「今晩から、やっとシャワーを浴びれるのよ。不潔でどうにかなりそうだったわ」
大斗「勘弁してくれよ。最後の最後迄、オレは貧乏くじかあ」
4人の声で部屋中が明るい雰囲気に包まれる。

見舞いの楽しい一時は、あっという間に過ぎて行った。
つくしはベッドの上で、眠り始めていた。

隣のシャワールームへは、使用人の二人が介助しながら運ぼうとした時だ。
タイミング良くやって来た男に、使用人達は驚きつつも恭しく頭を下げる。
運と言う言葉は、彼の為に有る様な物であった。

伴侶様「お前達は、つくしの服を持ち帰ってくれ」
使用人1「旦那様?奥様の服はお持ちに?」
伴侶様「明日の朝に持って来させろ」


司の『野暮な事は聞くんじゃねえ』な雰囲気に、彼女達は渋々退出して行った。
何も知らないつくしは、ベッドの上で惰眠するばかりだった。

次はエセエロに、しなければアカンでしょうか?

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「どーでもいいけれど、つかさっ。何時迄、つくしちゃんとラブシーンしてるのよ」
二人の目前では、腕を組みながら椿がドアに体を傾けて立ち尽くす。
「きゃあ・・・」
つくしは顔を真っ赤にしながら、つかさを突き飛ばしした。
「何しやがんだっ・・・って・・」
椿つかさの首ずくめをムンズと捕まえる。
つくしが呆けている間に、椿はつかさを放り投げる。
案の定複数のSPらしき屈強な男性と、家庭教師らしき男性がツカツカと歩いて来る。
つかさは彼らに囲まれて、部屋から追い出される形でしぶしぶ歩く。
「つかさっ。今日のドイツ語のレッスンサボったら、直ぐにジェットでNYへ送り返すわよ」
『チッ』と舌打ちするつかさに、椿は自分の履いているヒールの高い靴を投げる。
かろうじて避けたつかさに、ダメ出しする椿。
「つかさっ。お姉様に舌打ちとか、そんな悪い子に育てた覚えはなくってよ。ならばつくしちゃんに、ボーイフレンドでも紹介しようかしら」
「ねえちゃんっ。つくしは、オレんだっ。わぁーったよっ・・・」
つかさは悲痛な表情になりながら、彼らによってレッスン場所へ連行されていく。
その姿は『ドナドナ』の歌が流れる、仔牛の如くだった。

「ったく、手間の掛かる弟を持つと先が思いやられるわ」
頭を抱えながらも、楽しんでる様子の椿。
つくしはつかさが気の毒になってきた。
『なんか、つかさって・・』
淋しそうに立つつくしの頭を、椿がポンポンと叩く。
「つくしちゃん。つかさはサボるから、ダメなのよ。付け上がるし。一応ねあれでも、跡継ぎだから。あの子位で、私達の世界では珍しい事ではないのよ」
「お姉さん、ケッコンするの決まってるの?」
「いやあね。アイツは余計な事べらべらと、でも本当よ。16になったら、私は結婚する事決まってるの」
「えーっ、その・・・すきなひとは?」
椿は使用人の女性を呼ぶと、つくしの為に『スコーン』と紅茶を準備させた。
「つくしちゃん。此方のテーブルで、スコーンを準備したから。一緒に食べましょ」

つくしの手を取ると、椿は陽当たりの良い窓際にセッティングされたテーブルに連れて行く。
銀製の皿には、生クリームとスコーンが沢山供えられている。
「はい、どうぞ」
椿がつくしの為に、スコーンを取る。
バターナイフでたっぷりの生クリームを乗せ、スコーンを差し出した。

つくしは、一口頬ばるなり嬉しそうにはしゃいだ。
「つばきおねえちゃん。・・・おいしいーっ。」
「それは良かったわね。シェフが聞いたら泣いて喜ぶわよ」
椿やつかさは当たり前に食べ慣れてるのか、感情を露に食べる事が無い。
淡々と食事をするだけであるからだ。
椿も食事に関して、此れと言った感情表現をしたりはしない。
「つくしちゃん。私にも好きな人は居るのよ。私だって、恋はしたいわ・・・ううん、したかったの」
椿はティーカップを持ちながら、窓の外に広がる芝生の絨毯に足を踏み出した。
青く広がる空の海に、目を向けながら。
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ホテルメープル内のコンビニから、現場に戻る途中の大事件。
仲間の岡田が足を滑らせて転倒し、その弁当から中身が飛び出してしまう。
あろうことかその被害を、ほぼ被ったのは世界中の女性を虜にするこの男だった。
当然ではあるが、新たなるテロの脅威か周辺は大騒ぎになった・・・。
つくしは自分の身を呪いたかった。


三人は秘書らしき人間の前に、引っ立てられて来た。
銀縁眼鏡のビジネスマンスーツが、面子を見渡す。
流石につくしの顔を見つけた時には、一瞬だが顔つきが変わる。
「申し訳ございませんでした」
下手人の岡田とカズは場違いな場所に連れて来られ、口数が減ってしまっている。
男性二人は土下座をして、許しを乞う。
つくしは顔を下げたまま、上げようともしない。
『クリーニング代、バカにならないよなあ。治療費とかどうしよう』
「それは致し方ございません。が、重役会議に支障を来たす事になりましたので」
三人は顔色が土色に変色していた。
「取り敢えず事務所に連絡入れないと」
つくしは慌てるように、連絡を取ろうとするが。
「それは手配してありますので」
「汚してしまった物は弁償させて頂きますんで」
カズは駄目元で言うが、多分天文学的数字で派遣元が倒産しかねないだろうと。
「明日から失業の覚悟がありましたら」
男子二人はムンクの物真似状態である。
「西田さん、幾ら何でもそれはあんまりでは」
「エ?杉田さん知り合いなの?」
とても威厳のある秘書とつくしが知り合いとは、男子二人も驚く以外にない。
「仕事で・・・・ね」
西田はつくしに一瞥した。
「ではこう致します。此の件は派遣事務所と相談致しますので」
「オレら許して頂けるんですか?」
岡田は未だ学生であり、カズは20代後半の既婚者である。
大学生活がお先真っ暗どころではない。
「このような事で未来ある若者の人生を、潰す程度量の狭い当社でございませんので」
「有り難うございます」
岡田とカズは現場へ戻れる事になった。
「じゃアタシも帰ります」
つくしが踵を返して、帰ろうとした時である。
「お前は帰んじゃねー」
西田の立ち位置から奥にあるドアが開き、中からこの世の人とは思えぬ美貌の持ち主が姿を現す。
つくしは、立ち眩みを覚えた。

よ・・・ようやくかいww。

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つくしは驚愕の表情で、つかさをじっと見ている。
モデルの様に美しくて、ぶっ飛んでるつかさの姉。
椿は高等部に上がって間もないのに、もうケッコンの相手が決まっている事。
「んなに・・・おどろく事かよっ」
「つかさにもいるの?」
「オ・・レは、しらねーよっ。つくし・・いても、オレは・・イヤだっ」
つかさの支離滅裂な日本語に、つくしはつかさに顔を近づける。
「きれいな女の子かも、しれないよ」
つかさは子供の割には、パーツがとてもきれいでハッキリとした顔立ちをしている。
つくしはそれは思っていても、つかさの前では言えない・・言いたくはないのだ。
「つかさにも・・・いないほうがおかしいもん」
ポリポリと髪を弄りながら、つかさは目を背けた。
背が低いつくしは、つかさの顔を大きな瞳で不安そうに見るのだが。
その仕草すら、つかさはドキドキしている。
「つくし、はなれてくれっ」
「あたしがブスだから?」
「バカ・・ちげーよっ。つくし・・が、可愛いすぎんだよっ」
「はだか・・・とられたのに?・・・」
つかさは泣きそうになりながら、つくしを強くハグした。
「つかさっ。いたい・・・くる・・」
「オレは・・・んなの・・かんけーねえっ。」
つくしが消えてしまいそうで、つかさはつくしを抱きしめた。
「つくし、オレはねえちゃんみてーに。ケッコンしたくねえ、すんなら・・・つくしだっ」
「ビンボーなのに?あたし、・・お人形さんみたいにキレイじゃないよ」
「オレはつくし以外ならしねえ。バースデーの見世物は、もうイヤだっ」
「バースデーのみせものってなあに?」
「オレさ・・・来週、誕生日なんだ。そんで、デッかいパーティーすんだ」
「食べ物たくさんなのかなあ?ケーキもおっきいの?」
「つくしはそっちかよ。んなのは、出たくもねー」
「もったいないねえ」
「オレは顔も知らねえのから、んなの気持ち悪リィんだっ。」
つかさの誕生日パーティーとは、一体何をするのだろうか。
つくしはついこの間、細やかながら進と食卓を囲んで祝ったのだ。
両親は仕事で不在だったが、代わりにタマが来てお祝いをしてくれた。
タマはつくしに、本や文房具を沢山プレゼントした。
勉強好きなつくしの為に、問題集や辞書(椿のお下がり)等だ。
洋服はクリスマスプレゼントで頂いたから、誕生日は勉強道具を欲しがった。
本当は洋服を仕立てたいと、タマからの申し出があったが流石に両親の方から断って来た。
「あたしはタマさんと進が祝ってくれたよ」
「次はオレがやってやる」
「つかさがあ?」
「イヤかよっ」
「しょーがないからいいよっ、ごちそうたくさんだねえ」
「オレじゃなくて、くいものかよ」
つくしと話しをしている時だけが、つかさは幸せだった。
金持ちの子供の前に、普通の子供になれるからだ。
つくしの髪からは、石鹸の爽やかな匂いが漂っていた。
つかさのドキドキは、高まってしまうばかりだった。

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