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つくしは武志の後ろ姿を、追う事にした。
その際にミキから、『此れを渡しといて』と差し出されたのは長めのアルコール缶。
「スーパー○ライ」と、ラベルの入った銀色の缶。
カラコロと幾分高めに作られた、高下駄を履く。
花緒にはつくしをイメージした、小さな花止めに目は映る。


武志は広大な庭から、勝手口を抜けて元来た道を引き返した。
目の前を流れる川の河川敷に、武志は胡座を掻きながら腰を下ろした。
つくしは武志の隣に腰を下ろそうとした時。
「つくし、一張羅だから立ってろや」
ハッとしながら、小さな声で『あっ』とする。
「此れをミキが渡してって」
「すまねえな、一々届けさしたみてーで」
「ううん、武志とも話せなかったしね」
つくしをミキの邸に連れて来たのは良かった。
が、武志は直ぐに村の長老衆に捕まってしまい。
翌日の盆踊りの櫓作りに、駆り出された。
櫓の他にも、的屋ブースやら本部テントを作らされたり。
電気系統の配線だの、若手が少ない為かひっきり無しだった。
「参っちまうよなあ、盆踊り迄は一ヶ月あんのに」
明日は三日間踊り明かす、祭りを迎えるのだ。
「あたしは熱出して寝込んでたからなあ」
祭りの二日前に、父の春男が夏風邪で寝込んだ。
母の千恵子は、祖母の見舞いへ小さかった進を連れて帰省していた。
春男はつくしや隣家の住人に、看病されて完治はしたのだが。
つくしは看病疲れで熱を出し、祭りどころではなかったからだ。
「つくしは祭りに行ってなかったよなあ。オレは櫓で太鼓叩いたの、あの日が初めてだったんだ」
「そうだったんだ。みたかったなあ」
「仕方ねーじゃん。熱で寝込んでたんじゃな」
祭りを見る事も叶わず、そのままつくし達は8月の下旬に慌ただしく転校してしまったのだ。
次の転校先で、和也や優紀と出会うのは又の話である。
「振り切って叩いたのに、つくしは居なかったんだからな。でも、元気そうで安心した」
武志はプルトップをとり、中身を喉に潤していく。
武志はつくしの記憶では、少し背丈が高い位だった。
声変わりもしてなくて、少し高めの声音であったが。
彼はつくしよりも、背が伸びて肩幅も広くなっていた。
「今、何してるの?」
「○○市の役所で、土木関係の仕事してる」
「武志、頼もしくなったもん。前よりもね」
「つくしは、美人になったな。あん時よりもな」
「やだな、恥ずかしい。でも武志やミキ達と一緒だったからさ。あたしは、強くなれたんだよ」
つくしは武志の顔を覗きながら、同じようにプルトップを引いて喉に流し始めた。
「アルコールじゃねえよなっ?」
と、武志が見上げた時にはつくしは、缶を落としてフラフラしながらしなだれかかってきた。
「あ・・ひゃ・・・っけし。きゃはは」
「お前何本飲んだんだよ」
「ミキが・・・おほしさま・・・きれ」
つくしは二言三言呟くと、そのまま夢の国の住人と化してしまった。
武志はしなだれ掛かったつくしを、背負って歩く事にした。

つくしは武志の肩に顎を乗せると、夢うつつなのか腕をバタバタ暴れながらボソボソ言い出した。

「あたし・・・あんたを幸せにして・・・やる」
武志はその言葉に、心地好さを感じた。
「幸せ・・・にか?」


武志がつくしを背負って、酔い醒ましを兼ねて歩き出した頃。
邸宅に農作業車が到着し、尚且つ一騒ぎになっていた。


今日も読んで頂きまして、有り難うございます。


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日が暮れて、辺りは蛍の光と鈴虫のコントラストに包まれ出した。
「そう言えば、武志は未だ櫓作り?」
「うん、明日が本番なんだけど。もうすぐ、戻って来るよ。村の男達が中々頼りにしとるし」
過疎が進み、土地の半分近くが高齢者でもある。
そんな中でも武志は、数少ない担い手で若い衆からも慕われている。
「頼もしくなったんだね。もう10年近く経つからそうなるか」
風が出て来たのか、軒先にぶら下げた風鈴から小気味の良い音を鳴らしている。
つくしは水を浴び、大島紬の浴衣に着替えていた。
「あ、姉ちゃんの浴衣ぴったしやん」
ミキの嫁いだ姉のお古ではあったが、ミキの母に勧められて着付けを施された。

丈も寸分もピッタリで、周囲からは溜め息ばかりだ。
「つくし。良かったら、それあげるわ」
「いやいや、そんなの・・・」
「海外生活長くなるんでしょ。日本の風習忘れない戒めにはね。姉ちゃんも着なくなったから」
ミキに進められ、つくしははにかむ。
「ありがとう。じゃ、毎年着れる様に痩せなきゃ」
「よく言うわ、ホンマ変わってないやんか」
「どうせ、洗濯板ですよー」
「そういう事言う人間は、何処がって思うわよ。つくしは昔からモテてたのにさ」
つくしがミキに向かって、拳を上げた時である。


「つくし。どうでもいいけどな、見えてんぜ」
先程迄話題になっていた、武志が肩に掛けたタオルで顔をガシガシと拭いているではないか。
「きゃっ、見ないでよっ」
「目に入ったんだよ。つくしも色気出て来てんのかと思ったら、もうちょい胸欲しいよな」
「武志のバカ」
つくしが武志の足元に、しなだれかかりポカポカと殴り出す。


そのつくしのふとした瞬間に、武志はどもって後ろにつんのめってしまった。
『つくし・・・』
「武志、大丈夫?ごめんね」
あたふたするつくしを横目に、武志はつくしの頭をぐしゃぐしゃする。
「つくしが知らない人間に見えた」
武志は立ち上がると、引き返す様にスタスタと歩いて行ってしまった。
「え、武志?」
ミキはつくしのグラスや取り皿を、片付け始めている。
「ゴメンね、つくしっ」

つくしはこの場所で、1人時間に取り残されていた。

軒先の庭では、近所の子供が持参した花火特有の音がパチパチと響いている。
『線香花火』の音だった。


今日も読みに来て頂きまして、有り難うございます。
今回のコンセプトは『夏の淡い初恋』で、書いています。
もうすぐ、2周年。頑張ります(笑)。




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ハイヤーの車は、鋪装がされていない砂利道。
水捌けが悪い場所なのか、タイヤがパンクする悪循環だった。
J○Fを呼んだものの、あいにくこの日に限り担当者が中々捕まらないらしく。
司と西田は、のどかな田舎の砂利道に放置されたままだ。
運転手は冷や汗をかいたままだ。
「司様、首になさいましたら・・・」
「分かってる、つくしが悲しむと言いたいんだろ」
ハイヤーの運転手は、偶然にもつくしの同郷と言う事もあり。
使用人室でタマやつくし付きの、使用人やSPともティータイムを楽しんだりもする。
つくしが悲しむ事は、極力したくはない司。
考えてみれば此処に司が来た事は、つくしを悲しませないのかと敏腕秘書は考えるのだが。
「あいつが行く場所には、どうにも男の影が見え隠れする」
それは大抵誤解なのだが、今回は結婚前の独身時代最後だからなのか。
英徳学園よりも、前の話だから穏やかではない。
高校時代は司の幼なじみ達と、親友同士だったから。
衝突しても誤解は収まっていたのに、どうにもこの二人の行く場所には地雷が埋まっているようだ。


三人が困り顔を浮かべて、突っ立っていると。
1台の農業車が三人の方向に向かって、道づたいに走って来る。
タオルを頭に巻き、煙草をくゆらせながら三人を見るなり胡散臭げに見ている。

「あんたら、どうしたね」
年にすれば、司の母よりも一回り近く上だろうか。
「申し訳ございません❗この近くで、車が故障して移動に困っているのですが」
運転手が困った表情で、陳情する。
「そうさな、こん辺りは待っても中々来はせんよ。ましてさ、今日は祭りだからな」
「お祭り?」
「それに、つくしちゃんも来たと。倅が騒いでたでな?」

つくしの一言に、青筋を立てる御曹司だ。
「つくしが此処に居るのか?」
静かに声を殺す司の神経を知らず、農業車の男はプカプカと煙草を吹かしている。
「確か、昼に来たつってたな。倅がメール、してたんだ」
おりゃあ、メール言うんをせんから分からんとの男。
「あんたら、新手の詐欺集団みたいなカッコしとんな」
道明寺の名前を聞いたら、益々詐欺集団と思いかねないだろう。
「此れが普段の服装なんだが」
オレ様は何処でも、オレ様なのである。
「牧野様をご存知なのですか?」
「つくしちゃんは、この辺りじゃ人気者だったからな」
「アイツはオレの女だ」
司の発言を敏腕秘書は無視している。
「もしあれなら、この後ろに乗ってくか?車は何時来るか分かんねぞ」
泥だらけの荷台であるが、車を待っていても時間はいたずらに過ぎて行くばかりだ。
「有り難うございます。車が来ない場所とは、想定外でした」
西田と司は、あちこちが泥だらけの荷台に鞄を下ろす。
中からレジャーシートを敷くと、二人はその場所に腰を下ろして農業車に腰を下ろしたのだった。
車はゆっくり走り出し、司は携帯している煙草に火を付けて吸い込んだ。

「西田」
「はい」
「空っつうんは、こんなに青いんだな」
NYでも世田谷の邸でも見えぬ青空に、司はずっと見上げていた。


本日も読んで頂きまして、有り難うございます。


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『武志があたしを好きだったって・・・』
当然ではあるが、今の今迄気付かなかった。
そもそもつくしが、この場所にいたのも短い月日だった。
しかし英徳のOBになる、司とつくしは高校時代に出会ってもいない。
司が英徳学園に在籍していたのは、ほんの一時で。
つくしと知り合う事なく、高校2年の初夏にはNYに行ったと最近知ったのだ。
高校からの一般入試組は、かなり珍しく狭き門なのだ。
つくしはその難関を突破し、女子生徒で初の首席卒業を果たして大学院から今の勤め先で役員秘書となり5年目を向かえようとしている。
「武志があたしを好きだったなんて、今知ったわよ」
「だろうね。つくしは昔から鈍かったもんねえ」
ミキの隣で貝柱のつまみで、焼酎を飲んでいた凛花も頷いている。
「私も宿題忘れて、つくしにノート借りた事思い出したの。放課後に隣のクラスの男子がさ、つくしに会いたいって取り次いだのに。つくしお腹空いたから、帰っちゃってたんだって」
ミキと凛花は、思い出すなり爆笑の渦に巻き込まれている。
「その日はママがケーキ作るんだったんだもの」
既につくしは、もはや何を言われても反撃する気力もなかった。
武志は当時もクラブや生徒会やらの、活動が多忙できっと何も言わなかったのだろうから。
「あたしも、みんなと仲良くなれた頃に、パパ転勤になっちゃったから」
「つくしは何時もそう言ってたよね」
春男は転勤族だった為、1年か2年で学校が変わり友人すら出来なかった事もあった。
この場所はそのつくしが、馴染む事の出来た奇跡の土地だった。
「あたし、近々結婚するの。お式挙げたら、海外生活になる予定なんだ」
「凄いねえ、つくし。頑張ったんだね」
頑張ったと言うかは、正直つくしには分からない。
只、司に会えた事は運命だと信じている。
「へぇ、そうなんだ。つくしの彼氏って、司って言うんだあ」
ミキがつくしの横で、エルボーをしながら小突く!
「え?又、あたしったら・・・」
「心の声駄々漏れしてるわよ。つくしは頑張ってたんだから、胸張っていいんだよ」
高校の時は、親友達からも駄々漏れをツッコまれて何度も恥をかいた。
今思い出すと、それも良い思い出となっている。


「武志も良い男になったね」
つくしの初恋の男を匂わせる雰囲気に、苦笑いが浮かんだのは内緒である。


つくしの初恋と言えば、普段から青筋を立てるかの男。
乗車して来たハイヤーが途中で故障した事に、舌打ちをするばかり。
「西田。なんでこんなクソ田舎で、故障しやがんだ?」
「そもそも、此処にハイヤーで行く事が無謀ではありませんか?」
こんな田舎の風景にも、無表情な秘書に司は違う意味で関心するばかりである。

つくしの事になると、気がやすまらない伴侶様であった。


昨日は下書きが間に合わず、アップが止まってしまい失礼しました。

何時も読んで頂き、有り難うございます。

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出鼻を挫かれた司が、ハイヤーの中で青筋を立てながらも決済書類に目を通している。
西田はPCでメールをチェックし、Skypeを使いながら本社の社員に支持を出す。
「この案件は、週明けからになるな」
「御披露目パーティーには、牧野様同伴て事・・・」
「それ以外なら、行きたくもないな。気色悪い女なんざ、ゴメンだな」

毎度のオレ様を発揮する頃。



「つくしちゃん、悪いわね。手伝わせてしもてな」
幼なじみの武志と、車でミキの邸宅に到着したつくし。
広間には沢山の大皿に、海の幸や山の幸が乗せられ陳列している。
「何か気を使わせちゃったよね」
「久しぶりに来たんだから、気にすんなって」

『F4や滋さんに桜子の家で慣れてるけど』
ミキは地元の名士クラスなので、こじんまりとは言ってもつくしの家からすれば豪邸には間違いない。
つくしも料理をセッティングしたり、簡単な盛り付けで手伝った。
武志や何人かの元クラスメイトを呼び、歓談タイムがスタートした。

「美味っしい〜」
鮎の塩焼きに舌を鼓み、流し素麺や山の幸を頬張るつくし。
「つくしちゃん、良い食べぷりやから。たんと、召し上がってな」
都心に居ると、中々お目には掛かれないご馳走の数々につくしの食欲は絶好調の様だ。
ミキはつくしの前に座ると、赤いスパークリングワインの入ったグラスを運んで来た。
『再会を祝して乾杯』と、音頭を取るミキ。
グラスやらお猪口やらで、更に時は更けて行く。
「今日は町の花火大会なんだよ」
と、グラスの中味を一気に飲み干すミキ。


広間に有る4K画面のテレビを、参加者の1人が
リモコンでスイッチを入れている。
間もなく画面が写し出すなり、飛び込んで来たのはつくしの婚約者である。

『ではこの契約者の交換を持ちまして、締結となります』
互いにサインを万年筆で、サラサラと記している。
立ち合って契約者を交換し、力強い握手。
カメラの前で、パフォーマンスする司。
明日あたりには、『○○エレクトロニクスと、道明寺HD○○部門で合意』なるニュースが世界中に発信されるのだろう。

一斉に焚かれるフラッシュには動じず、彼の劇場が開かれている。
誇らしく笑う画面の男は、名だたる経営者の顔であった。
『世界規模の男は、違うよなあ〜』
『こんな人に一度でいいから、お目に掛かりたいものだよね』

灯台元暗しとは、この為に有るのだろう。


それに呼応する様に、打ち上げ花火の一発目が夜空に炸裂した。

「武志、ずっとつくしの事好きだったの知ってた?」

ミキの突然の告白に、つくしは固まっていた。




ありがちな内容で、すみません😢⤵⤵。

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「オイ・・・西田」
「何か?」
「幾らなんでも、やり過ぎじゃねーか」
リムジンの室内では、人差し指をキツく巻いた包帯に司は青筋を立てている。
「やり過ぎとは心外でございます」
そもそもどちらが、とツッコミたいのは西田である。
執務室で書類の決済をしていた、のだが。
両親の住む土地からは、違う場所に向かっているとSPが知らせて来たのはほんの2時間前。
てっきり両親への挨拶だけで済むと思い、つくしを外出させた司。
甘い時間とつくしの上目遣いに、渋々承知したのだが。
実家から又戻るどころか、SPの把握してない場所は当然司も知らなかった。
「牧野様を信用なさらないと?」
「あ?それを信用して、何度知らねー男が出て来てんだか」
つくしの行く所で、自分以外の男の影が見えるのはどうにもならない。
司と過ごして居ない過去の出来事であり、ましてやほんの一昔なのだが。
「司様と知り合われたのも、未だ浅いではありませぬか・・・」
「分かってる・・」
司とてそれは分別が付かない・・・、が決済の手は傍目には普通に見えても。
長年側に仕える西田の眼には、誤魔化せないのも然りだ。
「準備は出来ております」


司と西田は、ヘリポートへ向かおうと・・した。
西田のスマホが、けたたましい音でバイブが鳴り出す。

『・・分かりました。ならば、仕方がありません』
「どうした?」
「ヘリでの移動は叶いませんので、ハイヤーを使います」
「何でそうなる?」
「つくし様が向かわれた場所は、天候が変わりやすい場所なのだとか。山間部よりの場所は、ヘリ泣かせとの事」
出鼻を挫かれた司は、舌打ちするしかなかったのだった。
『アイツ、夜んなったら覚えてろよ』
西田は敢えて聞かなかったフリをしたのだが。

つくしを追って、司と西田は邸に戻り手配したハイヤーに乗り込んだ。





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「つくしちゃん?そうだよね、つくしちゃん・・お兄ちゃん。来ておくれ・・つくしちゃんが」

たつえはドアの向こうに、大声で兄を呼ぶ。
暫くすると、バタバタと階段から下りて来る音が聞こえて来た。
姿を表したのは、色白の細身で眼鏡を掛けた好青年。
花沢類を田舎臭くした感じの、美男子だ。
「つくし?本当につくしか?」
白のパーカーに、縞ラインのシャツで短パンな姿は地元の青年さながらだ。
「あはは、変わってないね。武志君」
「つくしも、相変わらず胸は洗濯板だなっ」
「うるさいよ」
「お兄ちゃんは口ばっかりは、悪いんだから」
「どうみてもだろう?」
「確かに・・言われてみればだねえ」
つくしは餅の様に、プクッと頬を膨らます。
その頬を武志が、触れる。

つくしは赤くなり、武志は笑い出した。
「つくし・・・帰って来たんだな」
「ちょっと・・・違うけどね」
武志は充電器に差してある、スマホを手に取る。
「皆もすっげぇ、会いたがってたんだぜ」
「急に転校だったしね」
「泊まってくんだろ?」
「うん、そのつもりだよ」
「ミキんちなら、空いてんぜ。姉ちゃんが、去年嫁行ったからな」
「え?お姉ちゃん居ないんだ・・」
ミキとは、つくしの同級生だった少女。
優紀と知り合う迄は、そのポジションがミキだった。
この辺りでは代々続く、名主の娘でもあるミキ。
「離れの部屋結構空いてんだと」
「あー、ミキちゃんとも会いたくなって来た」
「だろ?LINEしといたから、後で来るんじゃね?」
「武志君は交遊関係広いよね」
「こんな田舎だし、仲間内の事ならな。ミキもつくしも仲間じゃねえか。潔や茉莉にもしといた」

暫くすると、たつえが氷の浮かんだドリンクを涼しげな切子グラスに入れて運んで来た。
カランと傾く氷の音。
「つくしちゃんの好きな、紅茶だよ」
「おばちゃん、ありがと」
つくしは一口すすりながら、ヒンヤリさを噛み締めた。

「つくし、ミキが邸で歓迎の宴すると」
「へ?いきなり来たのに?」
「ミキはつくしがいつ来ても、嬉しいんだよ」
つくしは田舎の温かさを、感じて泣きそうになっていた。
「車出すわ、待っててな」
武志はキーの付いた、合皮のケースを取り出すとサンダルを履き勝手口から出て行った。
「あたし来ても、良かったのかなあ」
「つくしちゃんなら、歓迎するよ」
たつえは店舗の入口に掛けた札を、『準備中』に変えて店内の灯りを消す。


「つくしちゃん、知らない間にえらい美人さんになったんだねえ」
つくしは飲んでいた紅茶に、喉を詰まらせ噎せるのであった。


「・・・チッ、切りやがったな」
「司様、イライラなさる事は宜しくありません」
案件のレポートを捲りながら、次の頁に目を通した時である。
細く長い指には、切り傷とそれに沿って血が滲んいた。


余りの暑さに、此処が日本なのかを忘れてしまう位ですよねえ。
しかし被災地は、それ以上に大変かと思います。
どうか1日も早く、元の生活に戻れる事を祈るばかりです。


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ツルツル・・・ズズズーッ。
「やっぱり、源太のラーメンガチ旨いよっ」
「おうよ、つくし。オレも腕上がっただろ?」
「うん、此処迄車走らせた甲斐有るよお」
「今度は友人も連れ立って来いよ!」
つい先日だが、楽しい時間。



愛車は軽自動車で、ス○キのライトブルーな車体。
つくしは免許を取り、今年で4年になる。
すっかり運転には慣れ、今やお手の物だ。
今日は滋と優紀を乗せ、BGMは流行りのニューミュージックだ。
二人とも高額な服だが(優紀は普段着代わりの小袖)カジュアルな服装である。


『ONE OK ROCK』等も、実は置いてあったりする。
「ラーメン食べに、車出すとかよく大丈夫だったわね?」
「うん、運転手さん乗せて邸内は走ってるんだ」
「そうじゃなくって、つくし。司は知ってるかって事?」
「あー、言ってないよ」
つくしはハンドルを握りながら、あっけらかんと言った。
優紀はつくしと連れ立って、ラーメン激戦区を足げに通っている。
当然ながらつくしと優紀は、毎回だが。
今回は滋も入っている。
と、言うのも滋のオフィスビル近くには、ミシュランガイドに掲載されているラーメン店が何軒も並んでいるからだ。
「あのさ、昔は抵抗あったんだよ。でもさ、ウチの若い男性社員もかなり行くんだよ」
その面子に紛れて通い出してからは、大河原商事の娘もラーメンを食べると専らの評判なのだ。
「桜子やあきらくんは、抵抗有るみたいだよね」
伊達眼鏡を掛けた滋は、優紀と『東京ウォーカー』をチェックしている。
「類も食べるようになったよ。双子ちゃんとも、この間行ったんだよ。あれで夢子さんも、ハマってるしね」

つくしの周りでも、ラーメンにハマるセレブが続出している。
「へぇ、類君は意外だねえ」
「何でも食べるし。最初だけだったよ、金さん待たせちゃってるかなあ」
「「金さん?」」
「そう、今日行く場所はね。金さんから、教えて貰ったんだ」
「つくし、道明寺さんが知らない事を祈るよ」
「あたしの時間を、潰す権利アイツには無いからさ」


BGMが軽快な音楽になったところで、つくしは車のスピードを落とし『○○お客様専用駐車場』に車を止める。
車庫入れも模範並みの運転テクに、二人は感心しきりだ。
駐車券が発行され、それを取るつくし。

滋と優紀はついて行くのだが。

つくし達と入れ替わりに、1台のRV車が近くをすり抜けて行く。

そんな事も知らず、つくし達はオフィスビルの表通りから裏に入った通りの片隅へ向かう。
こじんまりと出来る行列に、つくしも並ぶ。
「此処みた・・・あ、待った?」
其所にいたのは、金さんと連れ立った女性であった。


日常の片隅によくある風景を、書いてみたくなりアップしてみました。
『何処が二次?』と、思われそうですが。
良かったら、お付き合い下さいませ。


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今日は『メープル』のエグゼクティブ・スイートに、滞在している世界的企業の御曹司こと『つくしの彼氏様』の道明寺司。
ペントハウスと虎○○ヒルズに『自分名義の部屋』を所有するも、どちらへ戻ってもつくしは不在なのだ。
数日後はつくしと婚姻届を出したその足で、NYへ両親と入れ替わりで向かう。
司の両親は既に、新居代わりで『シニア向け高級マンション』へ入居する事となっている。
父親が病に倒れてから、雑炊じゃなかった・・総帥としての地位を継承して着々と準備も進めた。
世田谷の屋敷は、自分達が不在の場合は『道明寺財団』が委託管理をしている。
期間限定で観光等の資源の使用目的もある。
邸の一部を展示するも、入場料を徴収しそれを『建物の維持費』や『チャリティー』に宛てる予定だ。
どちらにしても、つくしと会えるのは明日以降だ。
何時もなら存分につくしを味わって、彼女と共に過ごす夜。
司にとっては幸せであり、日常だがそれは明日から不動となる。
結婚前、つくしは帰省している。
長期間の海外生活前の最後の帰省。
分かりきっていても、司の側に居ない事が物足りない。
部屋に戻れば手料理もつくしも、だが。
しかめ面には、敏腕秘書も咳払いをする。
「総帥ともあろうお人が・・・」
自分の知る司は、ビジネスに関してはクール以外無い。
『鉄の女』に負けぬ『冷酷無比な男』のイメージを持ち、何も動かされぬ感情の持ち主でビジネスを敢行して来たのだが。
とあるビジネスでの、社交パーティー会場。
あの日を境として司の中には、感情と言う物が芽生え出した。
永久凍土の何にも靡かぬ大地に、吹いた春風の様に暖かい感情。
つくしはそんな女性だった。
派手な化粧も衣装も身に纏わず、パーティー会場で重鎮の女性と普通の話をするだけで。
ビジネスの話には、全く触れた事はなかったのだ。
つくしの存在を紹介され、同じ学園に通いながらも縁が無かった事を悔やんだ司。
その時につくしが司に言った事、此れが司の想いを永久にしたきっかけとなる。
『縁は幾らでも今から、繋げば良いじゃないの』
『ビジネスだから、非情になるのも分かる。家庭に持ち込まなければ、関与はしない』
つくしの普通に過ごす時間を、自分が出て来た事で奪わないのかと悩んだりもした。
それでもつくしから離れて生活する事は、とてもではないが耐えられない。
『お前は違うんだろうなあ』
意識が覚醒すると、司はシャワールームに向かうだけだ。
何時もの日々の顔が、目覚めるだけの。

つくしが、分からない司の悲しい顔。
それでも経営者には、許されない感情だった。

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司は西田とSP達に囲まれ、ジェットの待機する離着陸場へ連行されて行く。

邸にポツリと残され、つくしはベッドに佇む。
嵐の去るが如く愛する者と離され、つくしは一人沈まぬ火を沈めようと息を吹き出す。
が、簡単には落ち着かぬのが自分の知らない、もう一人のつくし。
「落ち着・・・か・・・・な・・・あっ」
等身大の鏡に写る自分のはだけた部位からは、色鮮やかな所有物の印。
赤めらながら、期待しそうになる自分がいる。
細く長い指が辿りつくその先。
「あたしっ・・何考えてるのっ・・・」
パーティションでの、僅かな隙を付かれ首筋と項に散る花片。
拒んでしまうのは、自分の頑固さだ 。
真面目過ぎる位に堅物で、『ババアと西田を2ど割った位に、真面目な女』と揶揄される。
貞淑で謙遜な女と言われるが、それは表向きの顔。
つくしが一人で歩く事を、司は由としない。
必ずSPか桜子や滋等と、ランチ以外は許さない位なのだ。
『道明寺さんなら、黙っていても女性の方からやって来ます。追い返されるのが、席の山でしょうけれど』(桜子談)
『あたしは本当にされた様なもんだからさ。酷いよね、大河原の娘でも此れだからあ』(滋談)
(それを間近で聴いていた優紀が、雅に笑い出して滋が大抵ヒートアップするのだ)

小さな情炎の火玉が心を燻り続け、つくしは司を思い出してその跡に細く小さな指で触れてみる。
『つか・・・さ・・・ぁ、可愛い・・・く・・な・・いよね』

熱い言霊が司の形良い唇から囁かれる度、つくしは鏡の姿見の鏡で悩まし気に唇が半開きする。
何時もなら胸元を見られ、御椀型の形へ濡れた唇が触れるけれど。
唇どころか、司が居ない・・・。

鏡台近くのテーブルに、つくしはアッと驚きながらそれを手にする。
類の家でかき氷に掛けようと、準備していた練乳の入ったケースだ。
「あんだけ探したのにっ、何でこんなとこに」
無邪気な子供の様に、口を尖らせる。
無情な腹の急かす音に、苦笑いながらも。
つくしはかき氷が無性に、食べたくなって来た。


使用人の女性がワゴンで、かき氷の入ったサンデーを持参してくれた。
薄く色付く練乳を掛けて、つくしは氷山を崩しながらひっそり笑う。
「甘くて美味しい・・」
氷と苺の果実を凍らせたシャーベットを、再度口に含む。
ヒンヤリ感と酸っぱさに、悲鳴で舌をチラと出す。
「キャッ・・酸っぱいけど、夏らしくて良いか・・」
仄かに燻った炎が鳴りを潜め、何時ものつくしらしさが戻りつつある。
「シャワー浴びて、寝ようかな」
バスローブを羽織り、脱衣場へ向かう。
シンプルなユニットバスだが、隣はジェットバスも兼ね備えてある。
鼻歌を鳴らしながら、シャワーを浴びる。
なだらかで華奢な細い脚は、バランス良くも抜ける様に細い。
首筋を小さな手で覆いながら、浴びる姿はどんな美人でも嫉妬に駆られる妖艶さを醸し出している。
肝心のつくしは、全く気付いていないのだが。
魔の時間は刻一刻と、迫りつつあった。




エセエロ書く根性、無いんですがwww。
書かないとアカンでしょうか。
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おらんよね?





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