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「つくし、塾帰りにしては・・・少し遅くない?」
帰宅するなり、母の千恵子がブツブツ小言タイムに巻き込まれる。
ダックスフンドがゆっくりと、公道を走る姿に目を奪われたとは恥ずかしくて言えない。
「英徳学園に受かる迄は、大変なのよ。ママも受かって貰わないと、隣の棟の萩原さんちが受かってるんだから」

隣の棟に誰が住んでいるかは興味もないが、萩原さんの息子が英徳のスーツ姿で通っているのは何度か目撃済み。
萩原さんは大学病院の医師で、息子を医師にしたいからと千恵子がピーチクパーチク話すのだ。

おかげでつくしの耳には、タコが出来ているものなのだ。
進「母さん、姉ちゃんこの後にバイトなんだぜ」
千恵子「あら、そうだったわね。風呂敷包み、準備してあるから」
千恵子は赤紫に包まれた、風呂敷包みをつくしに向けて投げて来た。
包みには『エプロン、Yシャツ、黒のチノパン』やらが、包まれている。
『ホテル・メープル』で、パーティー会場で皿洗いと会場のウェイター補助のバイト。

賄いではなく、つくしは翌日の弁当持参で役に立つから。
同じバイト先には、永林学園に通う『天草』から勉強も見て貰っている。
『天草』はつくしが『金さん』とあだ名を付け、パーティー会場のウェイター達をまとめるベテランなのだ。

今日は和也もパーティーに参加すると聞いていて、優紀をパートナーに頼んでるとかで。

優紀は和服の着付けも出来るし、今日の主催者が『着物を着る女性同伴』と和也が言ったのを思い出したのだ。

千恵子「和也君も、お父さんが土地転がして儲けたのねえ。それに比べたら、パパはねえ」
和也の実家、『青池興産』は東京五輪でのバブル景気に沸いている。
複数の企業と、工場を請け負ってもいる。
しかし肝心の和也は、腰が低くてそれで全く変わらない。
そんな和也だが、勉強では到底つくしには勝てないのだ。
和也は理科が苦手で、つくしから毎日ノートを借りているのだ。
居残り授業等で残される事もあって、その際にはつくしの世話になるばかりだった。
つくし「ママ、パパは良いとこあるの。和也君ちの車、迎えに来るから行くね」
ホテル・メープルには、和也の家の車に乗って行く事になっている。
つくしのみ、『従業員専用入口』で下車する。
間もなくLINEの着信音で、つくしは荷物を抱えて再びパタパタと足を鳴らして出て行ったのだった。
父の春男は、正直人が良すぎるのがキズだった。

知り合いから上手い話に乗せられ、数百万の借金を背負った事は数知れず。
千恵子やつくしが、バイトやパートを掛け持ちしたりで苦労の連続だった。

警察沙汰にも及び、派出所の駐在員が飛んで来て仲介されたのも多々ある。
『つくしちゃんも、大変だねえ』
大変と思って相手は言って来たに過ぎないが、つくしは内心この言葉を言われる事に抵抗があった。
しかし現実は、どうにもならなかった。
中学生のバイトは、当然ながら禁止の筈だが。
つくしの実家では、そんな事を言ってる余裕もなかった。
塾通いも、バイトも必要不可欠だった。

つくしに恋愛する余裕は、全くなかった。

和也の想いには全く気付かず、参考書への思いで頭がいっぱいいっぱいのつくしだった。




今日もお越しに頂きまして、有難うございます。

3周年の記念日の、構想が出来上がって来ました。

F様。コメントを頂きましたのに、レスが遅くなりまして申し訳ございませんでした。










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息遣いが苦しくなり、つくしは華奢な細い腕で何かを掴もうとする。
「も・・・無理・・・だッてば」
所有権が全身に、斑点模様に点在し河口からは蜜が断続的にしとどに垂れ流される。
何度の求愛行為に、目の焦点が定まらない。
感じる事に麻痺して、其所から逃げたいと思うのだが。

胸元と花弁を愛撫され、理性が崩落する事に歯止めが聞かない。
夫が長期の出張から帰国するなり、バスルームへ拉致されたつくし。
薄いシルクのペチコートを剥がされ、狂わんばかりに喘がされる。
どんだけ求めれば、終わりが見えるのかと思った己を過信していたつくし。
普通の家族なら、当たり前に受け入れられただろうか。
サラリーマンで、決められた時間に出社して帰宅する夫だったら。

『4年後に迎えに・・・』なる、伝説のプロポーズは美しく儚い伝説として語り継がれたのは何時だろうか。

『道明寺HD』の御曹司と、結婚する想定外な出来事につくしは今も何処かで夢物語に捉えていた。

うつらうつらに、意識を失いそうになった時。
執拗な行為は、つくしが逝こうとする瞬間を塞き止める。
「つくし、何考えてんだ。疎かにすんな、片手間に考えてんじゃねー」
夫はウェーブの波打つ髪を掻き上げ、フェロモンを駄々漏れに妻の項を甘咬みする。
舌打ちしながら、プルプルと震える御椀に頬被りする。

数年前迄は、考えられない関係だった。
関係どころか、夫の事は全く知らなかった。


ひと息付くなり、つくしは辺りを見回した。
天蓋付きのベッドはフカフカで、恥ずかしさに顔を埋めたくなる。
普段は明るく真面目な自分が、一人の人間に狂わされ何度も鳴き喘ぐ。
今迄なら賎しい浅ましい、はしたないと思った女によもや自分がそうなるとは。

想像出来なかったし、何処か他人事にも見える今のつくしの立場。
「つくし?」
何か隠し事してるのでは、と勘繰る夫。
つくしを誰よりも愛してくれる、必要としてくれるのは世間並どころか世界有数の御曹司。
素顔は嫉妬心ばかりが、強いのが珠に傷。
頭脳明晰で容姿極上な、『道明寺HD』の次期当主。
「なに?」
「つくしは珠に、どっか浮いたまんま戻って来ねえからな」
つくしの顔を起こし、両手で囲みながら再度行為を開始した。











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歌詞の一部を使って、書いてみました。

中学最後の夏休み、つくしは幼なじみの和也に誘われて避暑地の海岸へ泳ぎに来ていた。

プールへ行こうと決めていたが、近所の公営プールが『道明寺HD』の用地買収で取り壊しとなってしまった。
プールへ行く事を楽しみにしていたつくしは、水着を購入して楽しみにしていた。
受験の息抜きとは言え、仕方なくも勉強に取り組んでいた。

「つくしちゃん、パパの会社の避暑地に行こうよ」
「て、熱海の海岸だっけ?」
放課後の生徒会を終え、塾へ行くつくしを誘う和也はつくしに想いを寄せていた。

『牧野つくし』『松岡優紀』とは、中学時代ずっと一緒で仲良しだった和也。
二人を避暑地に誘って、ひと夏の大人のステップアップを和也は目指していた。

つくしは実力テストで、都内でもトップクラスの優等生。
優紀は大和撫子を絵に書いた、『茶道部』の部長。
昨日も告白されてるのを目撃した、和也だ。

つくしと優紀に、避暑地へ誘って海に入ってスイカ割りや流れるプールでウォータースライダーをするのだ。

つくしはお泊まりセットを準備すると、和也の家で用意したワゴン車に乗り込んだ。

後部座席に寝転がりながら、つくしは参考書を広げて勉強する。
実力テストは終わったが、夏期講習の予習と学校の課題は死ぬ程沢山有る。
『昨日はたまげたよなあ』

つくしは塾へ通って居るのだが、塾帰りにコンビニで『ローソ◯チキン』を買って食べるのだが。
その帰りにスレ違った、ダックスフンドな車。
アメリカの大統領が乗る様な車に、つくしはびっくりしていた。

日本の公道に、こんな大きな車が走行している。
つくしに縁はないし、和也に乗せて貰う車よりも大きくて。

ママチャリの籠に塾の鞄を放り込み、つくしは急いでペダルを漕いだ。
寄り道していたら、変質者も居るから母に怒られてしまう。
急ぎつくしは、イヤホンを耳に掛けながら漕ぐ足に力を入れたのだった。

どんな有名人が乗ってるか、大統領か芸能人かセレブなのか。
関心はないが、明日の避暑地は暑いのだろうか。
汗だくな日々を送るのか。
向こうでは何を食べれるのか。


夏は直ぐ近く迄迫っていた。



つくしが恋に遭遇するきっかけを、歌詞を元に書いてみました。
難しいなあ『スローモーション』、中森明菜のデビュー曲ですがwww。

この頃の曲は、名曲ですよねえ。
昭和テイストですが、大好きなんです。

此方は短編ですが、大抵長くなるケースも有りますので。

お付き合い頂きましたら、幸いです。













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某、Z◯◯Dの歌は関係ありません。


此れは数年前の、牧野家の団欒の1コマ。
所謂、お茶の間なる言葉が通用していた頃の話。


春男「どうした?つくし。さっきから余り箸が進んでないみたいだね」
つくし「ごめんなさい、パパ。今日余り食欲ないんだ」
進「姉ちゃん、明後日さあ試験だから。ナーバスなんだよな?」
普通の家の家族で、辺り前の会話。
つくしはフワフワと、考え事をしながら夕食に臨んでいた。
狭い社宅の今にも足が崩れそうな、使い古した小さな円卓。

『◯◯産業・仙台工場』の、ライン◯◯班長『牧野春男』。
妻と娘と息子の、四人家族。
何ら世間の家族と、此れと言って珍しい事はない。
地方企業の小さな工場で、毎日コツコツと部品を組み立ててラインに流す。
勿論事務所で電話を取る事も、PCを打つ事もない。
スーツではなく、スウェット姿で自転車通勤の父。

月給は15万ちょいで、母の千恵子はスーパーで青果の品だしと内職でCDケースに歌詞カードを詰める仕事。

つくしも珠に手伝い、進も宿題の合間にやっていた。

牧野家の生活は楽ではない、他のクラスメイトが市内のデパートの食堂でランチに勤しむ間。

つくしの家は、何らかの内職に追われながら勉強するばかりだ。

いつか貧乏から抜け出せる、そう信じて止まないが。
つくしは勉強よりも、家族が仲良く暮らせれば良いと思っていた。

お受験に熱中の果てに家計が破綻し、社宅を出た家族もある。
見栄を張り家族が、バラバラになったりしたクラスメイトもいる。



その春男達がリストラになり、都内に住む親戚を頼って『ときわ台団地』に引っ越したのは去年の話。

勉強する時だけ、学校に居る時が自分の時間。
区立の中学二年に編入したつくしは、幼稚園が一緒だった『優紀』と再会を果たしていた。

仙台に転勤してきた優紀の家族と、幼稚園と小学校迄は一緒だったつくし。
仲良しではあったが、転勤族の父に伴われ優紀は小学校卒業と同時に東京へ越して行った。

つくしは優紀との再会に驚くも、中学は同じクラスで仲良く日々を過ごし今に至るのだ。

牧野家では、食卓を囲みながらテレビから流れる『BS』の旅番組に目を奪われている。


大きな河川敷を、タレントが自転車で横切り爽快に流れる景色。
つくしが気付いてない、自分の景色。
大河が横たわり、やがてそれは運命となり渦となり変わって行く事。
運命のルーレットは、必ずしもルーティングにならない。
同じ賽の目は存在しない事、一緒であって一緒ではない。

『あたしはこのテレビの画像みたいな、人生で普通に終わってパパや進みたいな人と結婚するんだろうな』


つくしは信じていた。普通の家族として、変化を好まない生活をそのまま受け入れて行きる事。
変わらない日々を、夢見ていた過去に決別するとは思わなかった。



不定期ですが、映画の受け売りやらを見ていたら思い付きました。

他の連載とバランスを考えながら、此方も書いて行きたいと思います。






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あたしは生まれ変わったみたいに、後ろを振り向かなくなった。
マグロな女になってからは、泰山の如く受け止められる事で殻を捨てられた。
柳田さんの顔を思い出したら、がむしゃらに生きていたあの頃の闘争本能丸出しにしてた自分。
何か酔ってた部分があったのかも、初心に戻ってスキルアップをしようと決めた。
非常階段の甘い初恋を思い出して、あたしは類と久々に会いたいと思った・・のは束の間で打ちのめされた。


初恋で憧れていた類がブラウン管を通じて、イタリアのトスカーナで知り合った『桐原祐子』さんとデキ婚をしてた事。
セレブの由緒正しき男性は、そんな事・・・しないんじゃなかったの?

センセーショナル過ぎて、あたしはショック受けた。
『んなの!ボディートークで、どうにかなんだろ』と、司が真顔のしたり顔で言うんだもの。

類は初恋の王子様、であって欲しかったあたしの幻想は崩れた。

あたしも言えないけど、女の人って知らないうちに妄想の区別が付かなくなるんだね。
司に言わせれば、似たり寄ったりなんだって。
「ヤることに身分なんかねえだろうが。だったら、酒池肉林や大奥はなんなんだ」
『寧ろ金は持ってるし、世界の中心に居る奴は身辺整理も怪しい』らしい。
そうだよねえ、物事の中心に立つ人間程周りを沢山の群れが出来るんだ。

あたしは静かに暮らしたい。
好きな人と土鍋釜で、炊きたての御飯を食べたい。


(司はつくしを、中に引き摺りアンアンさせたいんだがな←)

あたしは司と、食卓を囲みたかっただけなんだよ。
シェフさんの死活問題に繋がる、とか苦情になりかねないのかな。
「類は関係ねえだろ。其所に名前出される、祐子や類の子供の心情位察してやれ」

え?類って、子供産まれるの?
「おめえは、変わんねーのな」
「ふぇ?」
司があたしの顔面に、類い稀な美貌を近づけて来る。
「駄々漏れしてんだよ、すんなら此方だろうが」
と、言うなりあたしの下の口への攻撃を再開して。


今度こそ、あたしは失神して起き上がれずじまいだった。


おまけ
〜優紀side〜
滋「で、結局バカップル復活な訳?」
滋さんと桜子ちゃんと私、先日オープンした和のカフェで『女子会トーク』を繰り広げてる。
私(わたくし)は、寺の庵で写経の最中だったのに。
LINEで近く迄来てるの、この一文に困惑していたら。
滋さんから『ちょっと付き合って』と言われて、送迎車
に放り込まれてから2時間ちょっと。
何時まで、付き合わなならしまへんのと思いつつ。
私、今日から予約のお客様に『限定朱印』を準備しないと不味いんけど。

つくしからは、散々恋愛相談を受けて。
先日ネットを通じて、『道明寺HDの御曹司、極秘結婚』とかで。
観光客の女性達から、悲鳴が上がってはった。
宜しいけどホンマに、静粛な場所で騒がしゅうて。
桜子「今に始まった事では、ありませんよ」
優紀「ホンマに厄介この上なかったですわあ」
滋「司もデレデレ鼻の下伸ばしてさ、みっともないわ」
桜子「滋さん、その様子ですと又合コンは玉砕でございますね」
優紀「お次は華道の家元さん・・・」
滋「イケメンなの?」
優紀「かつてん・・・て、事どすけれど(かつての・・・って事ですけど)」
滋「どの辺り40?50」
優紀「御年87歳」

滋さんの和スイーツの底無しタイムに、私達はお付き合いさせられる羽目になった。


つくしには後日、西門の家を通じて賠償を請求しようかしら?
痴話喧嘩の損害賠償、悪く思わんといてよ。



ホテルメープルに、『茶室』を兼ね備えた別邸が増築され『茶道教室』やらのイベントで年間半分のスケジュールが優先開催されたのは間もなく。

〜つくし〜

あたしのお腹には、二人目が宿っている。
司は誕生を今か今かと待ってる。
司とのわだかまりは消えて、今は前より素直になったあたし。

何を悩んでいたのだろうと、今は考えても分からない。


素直になれないあたしを、ずっと好きと言ってくれる司へ。
あたしも大好きだ。

司があたしのお腹の蟠りも、心も溶かしてくれるの。
今日は炊きたての白米・・ではなくて、お赤飯だよ。

ずっと待っているから、あんたの帰る家で。


Fin











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このお話は、此れにてお仕舞いです。
グダグダながら、此処迄来れたんは読者様のおかげです。
有難うございました。
皆様からの、応援有難うございます。
毎日励みになります。
昨日に引き続きまして、『Rondo room』のrondo様からの続きになります。
さて、つくしの運命や如何に?

「お迎えにあがりました」

迎えの車が、約束の時間にマンション前の道路に横付けされた。
つくしでも一度は見た時のある有名なエンブレムに、高級な車だとわかる。
黒いスーツの男性は、礼儀正しく丁寧な挨拶をし、つくしを車まで誘導してくれた。

たかがパンケーキの試食をするだけなのに、気分はまるでどこかのパーティーへ行くようだ。
普段着じゃあんまりだと、沢山食べてもお腹がきつくならない様に、この前バーゲンで買ったばかりのワンピースを着たが、それでもこの車には不釣り合いだ。

「今から行く場所は都合上秘密ですので、携帯電話はお預かりします。ご心配なさらなくてもお帰りの際はお返ししますので。目的地へ到着するまでの間、外の様子は見れませんが、全ては製作上の都合ですのでご心配なさらず、ごゆるりとお過ごし下さいませ」

車に乗るなり、唯一の連絡手段は無くなり、ガチャと音がしドアがロックされ、あっという間に運転席との間に壁が現われた。
窓はスモークガラスなのか、話の通り外の景色が見えず、あっという間に個室になってしまった。


新製品の試作だから、同業者に知られちゃいけないから、ここまで用意周到にしてるんだ。
大変だねぇ、試作品作りは。もし、ライバル社にばれたら大変な事になるもんね。
こんな時でもお気楽なつくしは、様子がおかしいとはまだ気付いていない。
頭の中は、パンケーキが一杯で、危ない、怪しいは、甘い話に追いやられた。


つくしを招待した主は、用意周到だった。
追いかけて来たSPの乗った車は、他の車の妨害に遭い見失う羽目に遭った。
該当の車はナンバーを調べられても、架空の番号で所在者を調べる事は不可能だった。つくしのスマホは電源は落とされGPS機能は働かない。

すぐに報告をされたが、この日からつくしの行方はわからずじまいになってしまった。
部屋にあの封筒が残されていれば解決の糸口になっただろうが、その封筒持参と書かれていた為、つくしのバックに大事に入っている。
まるで神隠しにあったような、今の時代に信じられない出来事が起きてしまった。





車が目的の場所に到着したようだ。

運転手によってドアが開かれると、お疲れ様でございましたと恭しく外へと導かれた。
どこかの世界に紛れ込んだような、見た時のない荘厳な建築物が目の前に建っている。周囲は木々に囲まれ、辺りの様子はわからない。

「どうぞ、こちらでございます」
導かれるままに、エントランスへと足を進めた。

ゆっくりと重そうなドアが背中越しに閉まる音が聞こえた。
建物の中は荘厳な雰囲気で、粛然とした空気が流れ、別世界に迷い込んだよう。
まるで、今までいた世界と遮断されたような、そんな感覚を覚えた。
その場に立ちどまり、辺りを見回していると、いきなり声をかけられた。


「ようこそ魔王城へ」
目の前に現れた人は、茶色の瞳をした妖しい笑みを浮かべた黒い服を纏った若い男性だった。

「あなたは...」
つくしが驚くのも無理はない。
なぜなら、迎い入れた男性は、あの時の彼だったから。

「くすっ。また会いましたね、つくしさん」
「なんであなたが....」
「私がお誘いしたんですよ。貴方を美味しく食べたくてね」
「....はっ?」

つくしは、一瞬、何を言われたのか理解出来なかった。
口をポカンと開けて、静止したようなつくしに、彼はくくっと笑い出した。

「凄く美味しそうですね。苺みたいな唇に、クリームのような白い肌」
「.....あの...パンケーキの試食会ですよね」
「ええ、そうですよ。くすっ。きめ細やかな肌のパンケーキを美味しく頂きますよ」
「そ、そうなんですか」

何か変だ、この人。
さすがのつくしでも、おかしいと思った。
(何か一足ずれてますやん)

聞き間違えじゃなければ、貴方を美味しく食べたいとかなんとか。
まさかね、試食会にはあたし以外にも招待されてるんだし。
やっぱりあたしの聞き間違いで、ただの試食会だと思いたい。

「申し訳ない、お客様を何時までもこのような場所に立たせたままで。どうぞ、こちらの部屋へお入りください」
「は、はい」

優雅な振る舞いで腰に腕を回され、紳士的なエスコートをされたつくしは、場の雰囲気に呑まれたせいで胸がどきどきしてきた。
たかが試食会だと気軽にきてしまったけど、場違いな気がする。
本当にこの場所で、パンケーキの試食会をするんだろうか。

通された部屋は、ロココ調に統一され、彫刻が施された白いセンターテーブル、座り心地が良さそうなゆったりしたカウチとサイドテーブル。
続き部屋があるらしく、開け離れたドアの間から天蓋付きのベットの一部がちらりと見えた。

「あの...他の皆さんはどちらにいらっしゃるんですか?」
「今日は、つくしさんだけですよ」
「えっ?だって、試食会ですよね?」
「えぇ、そうです。それが何か?」
「この前のパンケーキフェスタに、参加した人を招待したんじゃないんですか?」
「しましたよ。だからつくしさんがいらしてるんですよね」
「まさか、あたしひとり?」
「選ばれたのは、ひとりだけ。そのほうが、ゆっくりと味わうことが出来るでしょう」
「でも、テーブルの上には何もありませんけど」
「今から準備を始めます。出来たてを召し上がって貰いたいですからね。その間、自慢のローズのお風呂はいかがですか。余計に美味しく頂けると思いますが」
「けっこうです」

断ったのに押し問答の末、相手の口には勝てなかった。
あたしは薔薇の花が浮かぶ、猫足のバスタブに浸かっていた。
初めて入る憧れの猫足のバスタブに、真鍮のシャワーヘッド、アンティークな蛇口に興奮し、ローズの香りがリラックスさせる。
肌がほんのりピンク色に染まり、身体の奥の方からじわりと熱が帯びて来た。少し頭がぼーっとする。

いけない、調子に乗り過ぎて長風呂をしちゃった。
服を着ようとワンピースを捜すが、どこにも見当たらない。なぜか下着まで消えていた。代わりにシルクのローブと、レースのショーツが置かれていた。
さすがに裸では出れないとそれを纏い、恐る恐る部屋に戻ると、丁度いいタイミングでワゴンを押しながら彼が部屋には行ってきた。

「グッドタイミングだね」
「あの...あたしのワンピースは...」
「あれ、もう着ないでしょ。せっかく身体を綺麗にしたのに」
「えっ...でも、これじゃ落ち着かないし」
「大丈夫、すぐにそれも必要なくなるよ」
「どういうこと...ですか」
「だって、これから試食会だよ」

つくしを見る男の瞳は、獲物を捕まえようとするライオンのようにきらりと光った。
お預けを食らいすぎたライオンはもう我慢出来ないのか、口角をあげて今にも食らいつきそうにじわりじわりとつくしを追い詰めていく。

「なにを...するき..えっ...ちからが..」
つくしの身体の力が少しずつ抜け、立っているのも辛くなってきた。
薔薇のオイルには、速攻性の媚薬が混じっていた。

「思ったより早い効き目」
「なにを..したの?」
ぼっとする頭のつくしは、自分に危険が迫っているのを初めて気づいたが、もう遅かった。
(いよいよ、その時間が迫って来ましたwww)

「くすっ。そんな顔をしなくて大丈夫。丁寧に優しく仕上げてあげるよ。つくしは、全てを任せてされるがままになっていればいいよ」

そう言うと、つくしを抱き上げると、テーブルの上に横たえた。
「魅惑のパンケーキのレシピを教えてあげる」
麻痺した身体は、抵抗など出来るはずもなく、怪しく笑う男に見下ろされ恐怖を感じる事しか出来ない。

「まずはパンケーキにクリームを塗らなきゃね。
フルーツは何が好き?勿論、チョコレートシロップは仕上げにたらしてあげるよ」
「やめてっ。お願い」

つくしが願っても、もう試食会は始まってしまった。

だって、スイーツは地獄の味だから。
君はそれを願って、ここに来たんだろう。

今宵、魔王城では、地獄のパンケーキが美味しく頂かれた。
それは、明日も明後日も、トッピングを変え続いていくだろう。

Fin


(トッピングから、食する人間はお怒りの坊っちゃんwww)

近日公開予定?出来るかな?

素敵なお話を、有難うございました。



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『Rondo room』のrondo様からの頂き物になります。


魔王様(類)シリーズで、まさかの駄作が名作に生まれ変わりました。
毎回のお約束ですが、CPが駄目な方は退散をお願い致します❗



つくしの住むマンションの郵便受けに、1通の白い封筒が入っていた。
宛名は、牧野つくし様
差出人の名前は書いていないが、黒い羽根のようなモノが刻印されている。

「何だろう、これ」

誰から届いたかわからない。
でも、自分の名前が書いてあるから、間違いなくあたし宛。
黒い羽根のような刻印に、なぜか得体のしれない恐怖を感じる。

こんな時、あいつに相談したほうがいいんだよね。
でも、手紙が届いただけで大騒ぎをするのもなんだし。だって、あいつは世界中を飛び回ってる。
こんな話をしたら、無理言って仕事を放り投げて帰って来る。
あいつの我儘で周囲に迷惑をかけたくない。
でも、後で知られたら絶対に怒られる。
なんでそんな怪しい手紙が届いたのを、教えなかったんだって。
(今更、何言ってるんやら)
いや、ダメだ。
あいつと大喧嘩中だった。
こんな状態で相談できるはずもなく、あいつだってあたしの話を聞きたくないと思う。
だって、あの日以来、一度も連絡がないもの。

あたし達、やっぱりダメなのかなあ。
顔を合せれば喧嘩ばっかり。
やっぱり相性が悪いのかもしれない。
(身体の相性は悪ないのにねえwww)

よくよく考えれば、2人の共通するものが見つからない。
超セレブと庶民、超お金持ちとド貧乏、超美形と普通顔。
これだけでも、正反対かって言う程合いもしない。
せめて、食だけでも合えばいいのに、あいつは甘いものが大嫌いで、スイーツ大好きのあたしとは話が合わない。

この前も、ホテルの特別企画、パンケーキフェスタの招待券をゲットしたから誘ったら、速攻断られた。
「そんな甘いのは食いたかねぇ、おまえもわかってるだろうが。第一、そんな場所にほいほい行く男がいるかよ」

わかってたけど、少しは期待したんだよ。
一番人気は、クリームチーズと生ハムが添えられた塩味のパンケーキ。
これなら、同じパンケーキを食べれると思ったから。

この日、優紀を誘ったけど用事があって無理で、桜子も忙しくて、仕方ないからひとりで食べに行った。
最初は寂しかったけど、一人で来てる人もいるんだね。
いたよ、目の前にほいほい来た男が。

向かいのテーブルの若い男性は、美味しそうに食べている。
時々目が合って、にこりと笑顔を向けられたから、あたしも微笑み返した。
だって、幸せのパンケーキは、どんな人をも笑顔にするでしょう。
あの人も、美味しくて幸せになれたんだろうね。



喧嘩のきっかけは、毎回同じ。
あいつは、あたしがここに住むのが気に入らない。
心配なのはわかってる。でもね、こんな部屋でもあたしにとってはお城なの。

「だから言っただろうが。俺んちへ引越ししろって。こんなボロ家に住んでるから危ない目に遭うんじゃねえか」
「ボロ家じゃないわよ。マンションよ」
「マンションだと?オートロックもついてない2階建てのマンションがどこにある。マンションって言うのは、24時間コンシェルジュが常在して、エントランスから住人以外は入れねえもんだろうよ」
「コンシエルジュならいるわよ。24時間常駐してるし」
「何がコンシェルジュだ、お前の住むマンションは下の部屋に住むくたばりぞこないのババアがそうなのか」
「ババアって失礼じゃないの。大家さんでしょうよ。だって、今時こんな破格の値段の部屋はないの。それに、あんたんちはお邸じゃない。嫌よ、あんな豪華な部屋じゃ落ち着いて寝れないわよ」
「邸が嫌なら、部屋をすぐに用意してやる。世間の知るマンションってのを」
(それを言うなら、億やんな。タワマン最上階)
「それもいやっ。あんたの選ぶマンションはセレブだけが知ってる建物で、世間一般じゃ知らないわよ」
(いや、最近は一般人も知ってるわいな)

ついこの前も、引っ越せ!嫌だ!の大喧嘩をしたばかり。
喧嘩の理由は、些細な事だった。
何気なく、しつこい新聞の勧誘を撃退した話をしたら、おまえは隙がありすぎる、少しは危険を察しろ、最後にはお決まりのこんな危ない部屋に住んでるのが悪い!
分かっているよ、あいつがあたしを凄く心配してるのは。
でも、この日は、何時もの喧嘩で終わらなかった。

あたしの思うお付き合いは、あいつの住む世界では通用しない。
気軽にデートするなんて無理、だって仕事に翻弄されてるあいつにはそんな時間はないから。
あいつと付き合うのは、覚悟がいるのはわかってた。
でも、知れば知るほど、あいつの世界に足を踏み入れる自信が持てない。
1歩前に進むだけなのに、足が動かない。

まだあたしには、戦える武器も気力も覚悟さえないから、一緒にいたら足を引っ張ってしまう。
もう少しだけ、時間が欲しい。もっと自信をつけたい。
あんたに甘えたら、あたしは何も出来なくなる。

そう言ったら、あいつは呆れた顔をして、大きく溜息をついた。
(うん、確かに)
「おまえは、全然わかってないんだな。甘えりゃいいだろうが、なんで一人で頑張ろうとしやがる?武器がない?気力も覚悟もない?それが俺とどう関係があるんだ。俺が一緒に居たら、ダメなのか、おまえは何も出来なくなるのか?
甘えるってなんだ。別に俺はおまえを甘やかすつもりはねぇ。
いい加減、覚悟を決めろ。時間をやる、俺が戻ってくるまでに荷物を纏めておけ。本当は今すぐ邸へ連れて行きたいが、おまえは絶対に反抗して逃げ出す。
だから、ちゃんと自分で始末をつけろ。言っておくが、1週間後には即引越だからな」
「なにそれ。命令じゃない。要は何が何でも引っ越しをさせる気なのね」
「ぐちゃぐちゃ言ってんじゃねえ。あ~面倒くせぇ女だな。おまえの気が済むまで待っててやろうと思ったけどよ、気が変わった。戻って来たらすぐ婚約してやる」
「何言ってんの。いきなりそんな事を決めないで」
「おまえはそうでもしないと、俺の言う事をきかねぇだろ」
「なによ、そのしてやるって上から目線は。引越させる為に、無理矢理婚約してもらう必要はないわよ。ほんと、俺様なんだから」
「うるせえ、黙っていう事を聞け。ほんと、こんな我儘女見た時ねぇ」
「それならもっと大人しい従順な女性を見つけなさいよっ!」
「あぁ、見つけてやるよ。おまえとは違う素直な女を」
「これであんたとは終わりだからね。もう連絡してくるなっ」
「あぁ?ざけんじゃねー」

売り言葉に買い言葉。
その後は、あたしは無理矢理あいつを部屋から追い出して、ふて寝した。

これって別れた事になるのかな。
よくよく考えたら、あたしは悪くない。
従順な女を見つけたらいいじゃない、どうせあたしは素直じゃないし可愛げもない我儘女だよ。
(ベッドの中は素直なのにねえ)
なんだか疲れた。
こんな時は、甘いスイーツで癒されたい。




そんな時に、届いた手紙。
開封してみなきゃ、どんなのかわからない。
目の前に置いた封筒を暫し睨んでいたが、好奇心に勝てなくて封を開けると、中には1枚の手紙が入っていた。


パンケーキ試食会のお誘い

当城は、新しいスイーツ開発に、魅力あるパンケーキを試作中です。
フローラルホテルのパンケーキフェスタにご参加されましたお客様に、是非とも試作中のパンケーキを試食して頂き、感想とご意見をお伺いしたく案内を出させて頂きました。
当日は、パティシエによる魅惑のパンケーキレシピを丁寧にお教えします。
甚だ勝手ではございますが、是非お力をお貸頂ければ幸いです。
試食会後、それ相当のお礼をさせて頂きます。
当日、お部屋までお迎えに参りますので、宜しくお願い致します。
尚、この試食会は招待状を送らせて頂いた方のみのご参加になります。
くれぐれも口外なさらぬようお願い致します。


なにこれ?パンケーキ試食会?
当城って、新しいパンケーキ専門店でも出来るのかな。
試食会って言うくらいだから、何人ものパンケーキ通が誘われてるんだろうね。
だって、このあたしにもお誘いが来るくらいだから。

パンケーキは、最近のあたしの一番のお気に入り。
生クリームをこんもり乗せて、チョコレートシロップをかけて食べるのが好き。ベリージャム、ごろごろブルーベリージャムも美味しい。勿論、生クリームに添えられた沢山のフルーツは宝石箱をひっくり返したみたいにキラキラ輝いてる。
この前食べた塩味のパンケーキは絶品だった。
あ~、思い出したら、凄くパンケーキが食べたくなってきた。

行ってみようかな、別に危ない話じゃなさそうだし。
お礼にお土産にお菓子でもくれるのかな。
そう言えば、あの人もこの試食会に参加するのかなぁ。パンケーキフェスタの参加者が誘われたみたいだし。
あの彼、王子様みたいな素敵な人だったわよね。
同じパンケーキを食べてるのに、彼が食べてるのはとても高貴なものに見えた。
人を惑わすパンケーキの不思議なんだろうか。

元々、人を疑う事を知らないつくしは、誰にでも優しくて、困った人を見れば進んで人助けをするし、自分が出来る範囲の協力は惜しまない。
それが長所であり短所でもある。
それを心配した男は、何時かとんでもない目にあると危惧をしていた。
だから自分の側に置こうと、何度も引越を勧め、最後に切り札の婚約を出した。

そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、つくしは自ら危険な道へ進もうとしていた。
つくしは知らないが、常時SPが付けられていた。
だから、油断していた。
パンケーキがもたらした、甘い罠を。


後編は明日の土曜日になります。
もしかしたら、この話の後に『つかつくお仕置き編』・・・は有りませんようwww。


『お仕置き編』リクエストは、無いと思うんですが。
『読みたい』と言うお声、有りましたら⁉️是非ともポチでお声を聞かせて下さい。

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・・・何だろう。
額や目蓋辺りを、何かが伝う感触がくすぐったくもむず痒い。

そう言えぱ、あたしの目前に高級な黒塗りの車が停車してた・・・様な?
あ、ぶつかっちゃったのかなあ。

じゃあ、此処は天国に行く準備をしていて。
あたしはいよいよ、死化粧を施されてるんだなあ。

パレロワールのホテルで、スイーツバイキングを滋さんから誘われてたのも。
アフタヌーンティーの、絶品スコーンやトルコ風の『パン・シミット』のきんぴらサンドも食べたかったなあ。

優紀が寺修行から戻ったら、貝なめろうとボンゴレビアンコのガーリックソテーの美味しい店に類も誘って行こうって決めてたのになあ。

カルパッチョのカツオとか、楓さんの秘書さんから教えて貰ったのに。
祐子さんや桜子とも、行けなくなるのかあ。

ゴメンね・・・あたし、お先にあの世へ旅立ちます。

この期に及んでも、あたしは色気より食欲だけは落ちないんだよねえ。

パパの会社のお友達が、『2型の糖尿病』で食事制限受けて毎日注射してるって言ってたから。

そうならないうちに、あたしも今のうちには食欲・・・ムニャムニャ。

「牧野」
ん?誰かあたしを、呼び込みました?
閻魔様の前に引っ立てられて、あたしの過去が暴露されるのね。
類と非常階段でふて寝しちゃったから?
美作さんと西門さんと、ボーリング行ってたのを言わなかったからかな?

「何時までお前は、ふて寝をしてやがる?」
「あたし・・・舌を抜かれちゃう・・・」
あたしは目を開いて、急ぎガバッと起きたらまさかの頭突きを咬ましてしまって。

世界有数の美貌を持つ彼氏様が、額を抑え阿修羅の如くに怒りを露にしてる。
「痛あ〜い」
「てめえって奴は、散々人騒がせな事を抜かしやがった果てに頭突きか。」
あたしの身には危険が及び、後ろに下がろうにもベッドの中に潜る以外の防衛手段が無い。

あいつが何故此処に居るの?あたしは何があったのかも、分からないんですけど。
西田「牧野様、よもや此処にお越しの主旨は?」
つくし「あたし、意識失う迄しか分からなくて」
司「ウチの使えねえ柳田を、てめえは犯罪者にするとこだったんだぞ」
つくし「え?あ、あたしが。やだ、ゴメンなさい」
あたしは後ろで小さくなってる、運転手さんに頭を下げた。
柳田「牧野様、お久しぶりにございました」
つくし「確か、タマさんと一緒に並んで・・・」
柳田「私目を存じて下さいましたか?」
つくし「忘れてません。あの頃に親切にして下さった・・」
西田「牧野様、お話はこの辺りで結構にございますので。司様を宜しくお願い致しますw」

あたしは運転手さんに、御礼を言ってただけなのに。
司「お前は何時から、他の男に良い顔するようになった」
帰国してあたしが相手をしなかった?からなのか。
道明寺の不機嫌さが、エベレスト級のボルケーノで大炎上している。
西田さん・・・、こういう時ばかりは退散するって貴方って人はそれでも秘書課のヘッドなんですか?
そうこう言ってるうちに、飢えている猛獣様があたしの目前に迫って来る。
誰かあたしの貞操、鉄パンは脱いだんだけど。
あたしも命は惜しいんだってばあ。





その後あたしが、数日もの間部屋に監禁されたまま姿を見た人間は存在してない。

何か言おうものなら、口封じされかねない。
世界経済の女帝様に、逆らう程の愚か者は居ないんだって。


熱く激しい数日間に、あたしは翻弄されて。
それ迄の『牧野つくし』から、新たなる人間に生まれ・・・変わった?



本日もお越し頂きまして、有難うございます。

甘い二人ではありませんが、全てはつかつくを中心に回っている世の中でございます。

この二人を描く為に、日々読書であります。
倒幕は1日に成らず❗(ローマちゃうんかい)、全ては打倒徳川ならぬ哢落つくしで頑張りますwww。

と、毎度アホな文章ですが。
マニアックなお話に付き合い下さる、読者様に支えられております。


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運転手の柳田は、運転手としては『新入社員』並みのレベルだが。
『道明寺家』では古参の使用人である。
司と楓の二人に仕え、司が生まれた頃は一時期『世話役』として学園にも鞄持ちで通った時期もあるのだ。
西田と役を交代してからは、邸の使用人を管理し『メイド』達と楓の繋ぎ役を果たしている。

当然ながら、運転手は殆どした事はない。
車を珠に運転するレベルだが、今流行りの『ブレーキアクセル間違い』だけはしないゴールド免許なのだ。

その柳田は、学生時代の司とつくしの恋愛を見守っていた。
当然ながら、楓の妨害工作も知っている。

司がキレる事は、長年道明寺家に仕える使用人達は殆どが知り尽くしている。

つくし以外の女性ならば、道明寺家は後継者が跡絶えてしまう。
姉の養子を向かえる選択を、考えつつも。

柳田は車から下車し、倒れていた女性を発見した。
司は運転手でありながら、土地勘に明るくなく高齢の柳田に舌打ちする。

年寄りを労れと、世間は言うが。
いざ年寄りを見るなり、電車の席を譲ろうとすれば『年寄り扱いするでない』と怒るから腹が立つのだ。

柳田は道明寺家の将来を、憂慮している。
楓と司が、犬猿に近い位に仲が悪い。
何でもビジネスと『政略結婚』で済ませ、つくしの様な得体の知れない女は血縁に入れないと断固阻止の楓。
つくし以外との女は、結婚も付き合いも拒否な司。

姉の椿やタマはつくしの本質を、理解していてもだ。

司はつくしの本質と、自分を御曹司扱いしない事が嬉しかった。

人の顔を見れば、ブランドに媚びる女狐達はもうウンザリなのだ。

司と食卓を囲みたいと願うつくしに、司は小さな願いを叶えたくなった。

邸のシェフが作る、マニュアル形式な食事もつくしとなら旨そうに見える。

つくしはホテルだろうが、居酒屋のメニューでも『一緒に食べてみたい』と思った唯一無二の女。

そのつくしが路上で、行きずり状態で倒れていた事が柳田は不安に感じたのだ。

司が傍若無人な人間に、逆戻りするのではないかと。
二度と過ちは繰り返してはならない、楓が道明寺を守る事にご執心ならば。

古参の使用人は、主人を正しき道に戻すべく努力を怠らないのだ。
司は此れからの道明寺に、なくてはならない。
司を支えるのは、仕事面は西田であり。
プライベートは、牧野つくしなのだ。

つくし以外の欲まみれな女狐達は、道明寺に群がる化け物や災いを呼び込むだけだ。

全ての悪行から、司を守り浄化するにはつくしの真心と存在だけなのである。

つくしの料理は司のピンチと、スランプを救う唯一の道でもあった。

彼の願いは二人に、自分が亡き後の道明寺を盛り上げて欲しい。

楓の捩じ曲がった心も、洗脳から解いてくれる事。

つくしは道明寺の救世主、になりうると一人の運転手は信じて止まない。



本日は趣向を変えた目線で、アップしてみました。

何時も起こし頂きまして、有難うございます。








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自転車に乗って帰る事がとてもじゃないけど、あたしには体力的に無理そうだったから。

電車から下車して、駅の手摺りを伝いながらヨロヨロの状態。
スマホを見ながら、歩き始めて数分だった。

ながら歩きは良くない、それは分かっているの。

もしかして、と考えながら。

あたしが望む事は、皆が普通の日常で当たり前な出来事。

土鍋釜で白米炊いて、食卓を一緒に囲みたいの。

炊きたての白米と、焼き海苔と鯖を焼いて、仙台味噌の味噌汁、浅漬け、卵焼きは少し甘めで。

ちりめん入れた梅干しを、小皿に盛り付けて、ひじきを煮て、酢の物も入れるの。

彼は食べないんじゃないの。
食べる事に執着しないから、そのきっかけになるならあたしが最高の白米炊いて上げたいだけなの。


オカズもあたしが、最高級の食材で用意したら一口でも食べてくれるかな。

道明寺は嬉しそうな顔で食べてくれるのかな?

あたしは彼が美味しく食べる姿に、心が惹かれるのに。

意識を失って、そのままあたしはぷっつり切れた。


〜司Side〜

今日は運転手が何時もの、じゃなかった。
ギックリ腰で休職してしまったんだが、急遽の運転手は土地勘が乏しかった。

何時もの道を使わねえからか、イライラが募り車内で決裁書とにらみ合いを繰り返してた。
タブレットPCからも、メールチェックをしきりにこなす。

秘書は無表情を貫きながら、タブレットをしきりにタップする繰り返し。
ルーティンワークとは言え、帰国の途が最悪な出来事ばかりだったな。

女で抱き込むミエミエさも、反吐しかねぇもんだ。

其所へ来て、運転手は馴れない新入社員みてえなのだ。

急ブレーキ気味に、踏んだ運転手は顔をしかめてやがった。

「◯◯、何しやがる?」
オレがキレ気味に言ったせいか、運転手が小さくなってたな。
「も、申し訳ございません。」
コイツは直ぐに下車するなり、近くに行きずりの如く倒れている女に近づいた。


その辺の女ならば、無関心でシカトしてたが。


運転手が慌てる様な声を出しやがったから、舌打ちしちまった。
今頃、マンションで待っている筈だった愛しい女。

急ぎオレは女を保護する為に、下車して抱え上げた。



何時も有難うございます。
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