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章太 「なぁつくし・・」
つくしはもつ煮込みを取りながら、フーフーと吹き掛けハフハフしながら食べている。
最近は京都在住の優紀に進められて、山椒のミニボトルを持ち歩くようになった。
つくし「どうしたの?改まって」
章太「オレの事・・どう思うよ」
つくし「章太の事は嫌いじゃないよ。あたしは普通に振る舞えるし、変に特別視しないもの」
章太の上司が、シミだらけの壁にしなだれてヒューヒューとからかう。
美子はカウンターに座り、凪子と女子会トークで恋バナをしていた。
が、章太の真剣な告白にお酒も入ってデカい声で激励する。
美子「そうだあ、つくしよ。F4だけが、男じゃないっ。レベルダウンでも、良い男達は世の中に沢山居るんだぞ」
凪子「そりゃあさ、私は西門総二郎はタイプだけど」
美子「私、美作あきらとお酒談義したいわ」
後輩A「あたしは花沢さんが、タイプですう」
三人「「「でも、道明寺司は郡抜いて良い男よねえ」」」
章太「美子先生、飲み過ぎなんじゃね?」
つくしは会社の仲間達が、自分の事を心配してくれる事に感謝している。
自分がちゃんとしていれば、こんなには悩まないのだが。
つくし「美作さんと、西門さんなんて既婚者だし。もう子供だって居るのよ」
桜子は未だ臨月だが、優紀は二児の母である。
子供は京都の家元夫婦が、面倒を見ているのだ。
優紀は臨済宗妙◯寺派の、副住職付きで都内に点在する末端の寺に頻繁に顔を出している。
美子「西門さんの奥様って、尼さんなのよねえ」
凪子「尼さんと結婚て、特定宗派えこ贔屓じゃない?」
つくし「ち、違いますよっ。西門さんは、尼さんから・・・えっと」
章太「還俗(げんぞく※出家させた者を俗世に戻す事)させようとした・・・んだろ?」
つくし「よく知ってるね」
章太「母ちゃんの実家が、建長寺の檀家なんだわ」
凪子「確か、過酷な千日修行しようとかって?」



優紀はミニキッチンで、塩水を張ったボールに剥いたばかりの林檎を浸けている。

貴子はリンゴをゆっくり咀嚼しながら、優紀の穏やかな顔をじっと見ている。

優紀「そないに見られたら、ふやけてまいます」
整った顔立ちではないのだ、貴子に咀嚼しながらずっと見られテレる優紀。


貴子「優紀ちゃんは、お髪を伸ばさないの?」
優紀「あ、修行終わったら。と、思うんですけど・・・」
貴子「昔、緩いウェーブ掛かってたわね」
優紀「懐かしい話ですねえ。でも今伸びないんですよ。最近は直ぐに剃る癖・・・なんですよ。面倒やし、脱毛剤付けるからなんか」
貴子「そう・・・なんだ。綺麗な顔なのにな」
優紀「よして下さいよ。もう子供産んでる、オバハンですわ。寧ろ、今は総二郎さんがやってくれるんですよ」
貴子「やる?」
優紀「総二郎さんが、率先してウチの剃髪してくれます。男には触らせんよって、自分がやるって」
貴子「素敵な夫婦なのね」
優紀「どないやろ?ウチはよう分からしません」
貴子「優紀ちゃん・・ちょっと散歩したいの」
優紀「誰か呼びますか?」
貴子「優紀ちゃんだけで頼むわ」

一抹の不安を覚えつつも、優紀は手元に有るスマホのGPSを起動させたのだった。


本日もお越しくださいまして、有難うございます。

連載がスランプに付き、未だ完成に繋がりません。

此方は以前の連載のストックになります。









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優紀が西門の家に嫁いでから、10年ばかりの歳月が経過していた。
学生時代の頃、受験の近くなった頃に悪阻を起こした。
総二郎の母親と相性の悪かった優紀を、総一郎の妻が不憫に思い友人の僧侶が営む寺の本山に匿って貰った。
本山の尼寺で会得する事を条件に、優紀は男児を産んだ。
総二郎父子は喜び勇み、寄進と寺院の勢力も後ろ立てにするべく彼女を修行に出す事を黙認した。
優紀は『別に髪はウィッグで良い』の一言で、髪を下ろした。
その肝っ玉に総二郎の母親も、渋々認めたのだ。
優紀は僧籍を取得し、総二郎との籍も入れてから2年後には立て続けに男児を出産し現在に至る。
4人の男児を育てつつ、尼寺を守り茶道を極めている。
パーティーでは『尼夫人』と呼ばれ、政財界と旦那衆相手に茶道交流に勤しむ日々。

優紀「この菓子をお願いしますよ」
弟子A「懐石はこのコースで、此のお軸を使いましょう」
弟子B「尼夫人、この水差しの壺は如何しますか?」
優紀は差配しながら、隣に付く女官の菊乃へ言伝して行く。

菊乃「お召し替えの時間でございます」
スーツを着用したSPらしき男性と女性から、前後を囲み優紀は室内へと戻って行った。
一時前に降った雨露が、苔むす枯山水に敷き詰めた玉砂利に滴を垂らしている。


総二郎「あのツルっとした感触は、オレだけの特権やんな」
あきら「何の話してるんだ、総二郎」
類「尼夫人の話しかないよ、全く司と変わらなくなった」
優紀の召し替えの着物を、総二郎が持参した薄桃色にスッキリとした唐草模様を施した友禅。
あきら「至れり尽くせりか。あの姉さん遊びは、確かにお怒りだろうしな」
華道の家元の娘御と、祇園で密会していた事がバレた果てに優紀に4人目の妊娠が分かった。
「産む人間のお立場になって下さりませ」
以来、総二郎は優紀に強くは言わない。

優紀は総二郎はおろか、西門の家を強固な迄に強くのし上げた。
総二郎の母親が高貴な身分で有る事を逆手に取り、宮中の茶会やら外交には積極的に参加する。
類「あの西門で女を捨てて、戦うのは凄いよ」
あきら「第2の◯聴さんて言われてるもんな。違うのは、結婚してる位か?」
総二郎「優紀も貫禄が出て来たから、堪らんわ。今やおふくろも家元も味方や」
類「司も付いてるみたいだな」

その優紀を訪ねて来たのは、話題となっているかの親友の想い人。
優紀は掛け軸の前で、静かに瞑想にふけっていた。



爆睡して気付いたら、11時過ぎ。
お越し下さいました皆様には、拍子抜けですみません😣💦⤵️。
ストックの中から、アップですみません。
つくしがようやく自覚した裏で、優紀も暗躍していた?と言う短編を書いてみたかったんです。
ホンマの自己満なお話ですが、良かったら読んでやって下さいませ。
ロスタイムの話は書いてるんですが、未だバタバタしていてすみません。














「おう、久しぶりだな」
敏腕秘書の隣に立つ男は、かつて司と並び称された『F4』の一人『美作あきら』である。
美作商事の専務取締役であり、次期副社長とも言われる見た目はチャラっとした柔らかい風貌の持ち主。
隣の西田に並ぶと、対局の世界に生きる人を象徴するかの如くである。
「まさかのって、奴だな」
「漁師町の件は、オレもちっと気になってたんだわ」
西田は調査書と印字された冊子を片手に、司とあきらをダックスフンドへ誘導した。
「カリフォルニア商事と亀井佑・・亀井つったら、環境活動家で有名じゃね?」
司の眼光は更に凄味を増す。
「そうだ。亀井は表向きは環境保護活動家。只、その裏にはリゾート推進派と結託したりしてる」
道明寺HDは、漁師町の港湾の護岸工事を請け負う予定である。
地元や県知事とも、既に話し合いを始めていた矢先。
当事者側の貴子から、拒絶される事態になり現在も宙ぶらりんのままだ。
その貴子をそそのかしたのが、左翼運動家や環境保護団体らしい。
『シー○○○ード』の日本版みたいな環境団体が絡み、話がこじれたりと正直旗色は良いとは言えない。
西田「活動家らが関わってるとなると、厄介この上無いですね」
あきら「だな。羊の顔をした狼みたいなもんだ。そもそも活動家が、絡むとか政治もセットみたいなもんだしな」
司「利害云々の前に、護岸工事は進めねえと。災害に弱くては、街の過疎化ばかり進むってもんだ」
あきら「活動家絡みは、下手すりゃあ。マスゴミの格好なターゲットになりかねねえな」
西田「貴子様の身辺警護は、万全でございますが」
入院先が道明寺系列病院であり、完全看護体制に綻びは全く無い。
司「しっかし環境保護活動と、平和運動程面倒な存在はねえな」
あきら「全くだ。清濁併せ持ってなければ、経営も政治もやってけねえのは今更なんだがな」
西田「何時の時代にも、綺麗事だけで世の中を渡る事程危険な事等無いものでは有りますが」
あきら「いや、そうでないのが一人だけ身近に居るな」
司「ああ・・・そうだったな」
西田「作用でございました。あの方だけは、違いました」

小さい華奢な身体で、天下の『F4』に歯向かって来た逞しい女。
どれだけ世間体に潰され様とも、懸命に健気に生きる愛しい存在。
『あいつだから、オレは叶わねーんだわ』
だからこそ、司の中には新たな想いが沸き上がって来る。
「あいつはオレだけの女なんだ」
「司のそれも健在だな」
「牧野に比べりゃ、オレはちっぽけな存在だ」
「んなこたあ、オレら皆じゃね?」
「おう」
「逞しくおなりでございますね。美作様も」
「守るべき者が出来ると、変わるな人間は」
あきらは薬指に填めたプラチナリングを、眺めていた。
「三条は息災なのか?」
「あぁ、もうすぐだ」
あきらの妻となった、『三条桜子』は臨月を向かえ今は外出する事を控えている。
あきらの背中から、逞しさを感じた司であった。

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因みに前は此処で、終わってました。




化粧のノリがイマイチ良くないな・・と、思いながらも鏡台の前で百面相をするつくし。
肌の乗りの前に、携帯のランプ点滅に慌てて道具を仕舞い込む。
グロスを塗り直しただけで、ファンデーションも手を付けられなかった事。
『あーあ、女捨ててるよなあ・・・』と、思ってみるも約束を破るのは性に合わないのだ。
駐輪場に停めておいたチャリは、何とか何時もの場所からズレていた位にホッとするつくし。
最近になって、電動自転車を購入した。
若い頃はママチャリで、颯爽と風を切って走る事にカッコいいと感じた頃もあった。
通っていた大学や、前の職場等は近場で自転車通勤をしていた程だ。
運動がてら、ダイエット等で鍛えて来た。

ママチャリでも、体力的には余裕綽々だ。
車も持っていたが、弟が免許を取ってからは車を譲った。
カーシェアリングで、つくしの用事も今は充分なのだ。
電動自転車は、母親の千恵子が乗っていた名残だ。
つくしは電話で、自転車を置いてから行くとLINEを入れた。
結局長年愛用していたママチャリは、同じ職場の後輩にタダで譲り渡した。
寂寥さを覚えるが、思い出は自分の心中に沁み渡れば良いのだ。
「パパの墓参りも行かなきゃ。又、仙台と往復かなあ」


「つくし、遅っせーよ」
引き戸をガラガラと、特有の音で鳴らしながら赤ちょうちんと暖簾の垂れ下がる先を潜るなり開口一番。
「今日は奢りだかんな」
「いらっしゃい・・お通し持って来るから」
昭和の雰囲気漂ったレトロな、居酒屋。
つくしの昔馴染みの友人夫婦が、経営している。

大学からの友人芽郁が、長年の夢だった小料理屋をオープンさせたのは3年前。
子供の独立を機に、自分の店を出したいと相談を持ち掛けて来た。
しかし都心は賃貸料が高くて、夢物語と諦めていた時。
つくしの友人の一人であった『花沢類』が、自分名義の所有ビルワンフロアを提供してくれたのである。
類は『日本に居る機会も少ないから』と、相変わらずな返答でつくしがズッコケそうになった記憶が有る。
「花沢さんて太っ腹よね~」と言いながらも、芽郁は手元に有る肉を沸騰させている鍋に放り込んでいる。
その手つきはすっかり、慣れたものである。
ノブ「つくし、こっち来て始めようぜ」
つくし「もう何杯、飲んでんの?」
芽郁「ハイボール、2杯よね」
ノブ「大人しいほうだろ?」
つくし「ノブにしちゃあね」
芽郁「もうすぐ、真美達も来るからさ」
つくし「うわ、マジ?嬉しいなあ」
芽郁「つくしが忙しかったから」
つくし「そうね。あたしも、真美達と会いたかったわ」
ノブ「気兼ねなく話出来んだろ?つくし」
つくし「ありがとう。ノブは優しいよね」

優しいだけでは、男としては物足りないのが世の常でも有る。
芽郁「小鉢、出しとくね」
差し出された、胡瓜と茄子の漬物につくしは舌鼓を始める。
片手には、『男梅のハイボール』。
女の前に、親父化してるつくし40歳であった。



本日もお越し頂きまして、有難うございます。
昨日はウチも飲み会に、行って来ました。

ひたすら、カシスオレンジでした←。
そんなこんなですが、新しいパターンにチャレンジして居ます。
良かったら、読んでやって下さいませ。



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『あなたの出番です』『監察医朝顔』が、今回は楽しみです。









楓「そちらへお座りなさい」
一分の隙も無い高級なワンピースとシルクのストールは、セレブな女性にして相手に探らせないベール。
世界経済の中心にして、経済界の女帝と名高い道明寺楓。
御曹司の実母にあって、実母の要素は0に等しい。
司「又、縁談か。てめえは小賢しい事しか考えてねえな」
楓「あたくしは株主を代表して、申し上げてるに過ぎなくてよ。役員の一人とし・・・」
言う隙を与えず、万年筆の鋭い先端が顔を通過しSPの女性の手に収まるなり握り潰される。
陳鈴「司様、お戯れが過ぎまする」
細身でありながら、男を相手に堂々とした態度はSPとしての要件を満たしたサイボーグの楊陳鈴。
『道明寺HD・香港支部』で、中国本社の要人を護衛した功績に拠り今年から楓のSPを勤めている。


自分の秘書以上に、クールビューティーなSPは司の顔面に拳を突き付ける。
楓「陳鈴(チェンリン)、今日は説明だけよ。貴方が使える駒である事に変わりはないわ。ならば、正規のパートナーでも用意なさい・・しかるべき女性で・・・なさい」
口元を歪ませ、上から目線で挑発する視線は親子の域を越えている。

楓「お話はそれだけ。退出なさって結構よ」
血の通った会話も無い実母の言葉は、今に始まった事ではない。
楓も会長と社長を兼務し、経済界での存在感は巨大な山だ。
『女エベレスト』とも呼ばれ、あらゆる会社から経済戦争を仕掛けられようも全て撃退して来た強者。
その血を引く御曹司の『道明寺司』は、名前だけで世界中の名だたる女性が群がる。
今日も関西の雄『鷹宮グループの孫娘』から、幼なじみを通じて打診されて来た。

司「どうせ鷹宮んとこだろ。女よりは男の方がマシだ」
鷹宮財団は関西の政財界を牛耳る、巨大財閥グループだ。
先日のパーティーでも、司の幼なじみの『西門総二郎』から『要注意』と聞いている。
総二郎は関西の茶道界では、有名人である。
西田「次期家元の御言葉は、無視する訳には参りません」
司「メープルに向かう」
西田「は?突然何が?」
司「プライベートだ、今日はこのまま直で向かう」
西田「承知しました。本日は終了になります。明日の正午にお迎えに上がります」
司を乗せた車は、日本有数の外資系ホテルへ向けて発進した。
秘書はため息を付くも暇ないまま、社中に戻って行った。
親子の対立は、長年の問題でも有る。
西田は秘書で有ると同時に、司のお守り役も担っている。
楓に対しては、上司と部下で長年の戦友に近い関係でもある。
陳鈴「西田さん?」
たどたどしい日本語ながら、ヒールを鳴らして近づいて来たのはSPの女。
楓に対してもだが、西田に対しても忠誠心は厚い。
西田「司様の警護を頼みます」
陳鈴「西田さん・・」
西田「ハニトラ対策を」
陳鈴「分かりました‼️」
表向きは険悪であるが、裏は会社を存続させる為の苦肉でもあった。

つくし「ノブ、待ってるよねえ」
地下鉄を下車し、化粧室へ向かったつくし。

軽く化粧直しをする為に、洗面台に立つ。
リップグロスを塗り、コンパクトとスポンジで叩き始める。
仕事人間から、一人の女に戻る。

携帯の画面からは、赤の着信サインが点滅していた。
『ノブ』と表示付きで。






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地下鉄◯◯線の、椅子が座り心地の良い車両が到着する。
『◯◯線に快速特急◯◯前行が〜』女性特有の高いトーンで、つくしはガッツポーズを内心で上げまくる。
車両のドアが開くなり、つくしも乗り込むと座りながらバッグを開いて本を取り出す。
此処の路線は快速特急になると、椅子が個人で座れる車両になる事が稀に有る。
同じ乗車料金で、細やかながら得した気分になれるからだ。


隣に座る制服姿の学生が、携帯ゲームから流れる音に一喜一憂している。
つくしが取り出したのは、同じ境遇の女性が書いたエッセイだ。
作者はつくしより少し年上らしいが、仕事をしながら義母の介護する内容だ。
文章を数行読むも、自分の母とダブった境遇が逆にため息しか出て来ない。
「はぁ〜、気が滅入っちゃうなあ」
つくしは介護もだが、母親と弟夫婦に挟まれたりとでふと車両の網棚に目をやった。
新聞がしわくちゃに、網棚で置かれたまま放置されて占拠している。
『進も結婚したら、変わっちゃったもんなあ』
色々考えようと、ふと車窓を眺めた時だ。
『間もなく◯◯に到着致します』の車内アナウンスに、つくしは急ぎ車両ドアへ向かう。
「何か忙しないよねえ」
エッセイの本を、再度カバンに仕舞って駅の改札をくぐり抜ける。
それを終えれば、ルーティンワークから解放される。

何時も通りにPA◯◯Oのケースを、自動改札機に置いて通過しようとした時。
間抜けな音と、改札機が通過を阻む装置が作動しているではないか。
つくしの後ろでは、ニッカポッカの若い男性が「んだよ」と舌打ちしている。
よく見たら、つくしの定期は乗車期限が切れているではないか。
チャージの金額も殆ど入ってなかった事も、頭から抜け落ちていた。



急ぎチャージ機を探して並ぼうとした時には、長蛇の列が出来ている。
複数の機械がその時に限っては、『使用不能』の看板が掲示されていた。
有人改札も長蛇で、つくしは己の運の悪さを嘆かずには居られなかった。
『あのガキ、今度会ったら只じゃおかないんだから』
大人気ないのは分かっていても、八つ当たりせずには居られなかった。
イケメンよりは、素朴なイモ男だったなら納得したと頷くつくしだった。



もう一方、理不尽な女に八つ当たりされた口の悪い男は
駅に横付けされている車へ向かっていた。
隣にはサイボーグ秘書が、無表情でピッタリと離れない。
新幹線ホームから、VIP専用のEVに乗り換え改札を通過した。
要人専用の通用口から、車寄せに向かう若きカリスマ御曹司。
SPは後方から、最小限で付いて来ている。
運転手が恭しく敬礼し、車扉を開いて待つ。
御曹司を乗せ、秘書は隣で能面のまま隣に付く。
「司様に股がる女性にしては、珍しい方でございました」
司と呼ばれた青年は、訝しい表情で隣を睨むも。
其所は所詮は若造、秘書はスルーしながらも次のスケジュールを告げていた。
「年増だろうがっ」
「ですねえ」
秘書はつくしの印象を、面白く捉えていた。

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「お客様、終点になります。宜しいでしょうか?」
つくしはしかめながら目を開けると、周りに居るのは乗客ではなくて清掃員らしき作業者と車掌らしき制服姿の女性。
「は?あ・・急いで下ります」薄いブラウンのパーカーと、トートバッグを肩に掛けて荷物をまとめる。
グリーン車の座り心地に、熟睡していたつくしはフラフラしながら降車しようとタラップに足を掛けた時だ。
「キャッ」
バランスを崩して、ヒールの靴からずりおちる。
「危ねー」
つくしは寸でのところで、床に落下は防がれたようだ。
「ビックリしたあ」
「おい💢」
空耳でなければ、声は近距離から発されてるらしい。
トワレの匂いが、つくしを幻想の世界に引き込む・・と言いたいが。
つくしはしがみついたまま、目前で一人劇場にひたっていた。
つくしの周りをパパラッチらしきカメラマンや、追っかけや好奇の視線がグルリと囲んでいる。
「あはは」
目前には青筋を立てた、容姿端麗な若い青年が睨み付ける。
「おい、ババア。てめえは嫌がらせか?」
顔に似合わない言葉の悪辣さ、つくしは血が上りそうになる。
「悪かったわね。ババアは無いでしょ、顔は良いのに幻滅だわ」
「それが人の上に跨いでる女が言う事か。それともオバハン呼ばわりな方が良いか?」
見た目はモデル以上に美しいのに、口先の悪さに幻滅するつくし。
「だーかーらーあ。あたしは知らないガキにババア呼ばわりされたかないっ」
キッと睨むと、つくしは形の崩れたパンツスカートを、整えて立ち上がったものの。
靴はヒールがブラブラしていて、惨状を物語っている。
「しょうがないっ。カードで買うかあ」
「おい、待て」
「何?あたしは用無いからね。さようなら」


つくしはヒールの折れた靴を履き直すと、急ぎ新幹線のホームから走り去って行く。

改札を出て、近くのデパートに有る婦人靴売場を探す。
ローヒールを探すも、此れと言った靴が見つからず、移動に便利なスニーカーを購入した。
折れた靴をリサイクルで引き取って貰い、女性店員からの接客を受け流す。
袋に入れて差し出すと、今起きた事をリセットするかの如く階段を一段跨ぎしながらブツブツ呟くつくし。

『ついてないなあ〜』と思うも、世の中にはあれだけのモデル男が居るのかと振り返るつくし。

地下鉄の乗り換え、入口のドアに顔を手で覆い息を付いた。



何時もお越し下さいまして、有難うございます。

色々設定を考えながら、前のお話をアップしたりと攻めな姿勢で書いています。
分かりづらいお話ばかりですが、良かったら読んでやって下さい。

応援、宜しくお願い致します。














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「では以上を持ちまして、牧野様の入居の手続きは全て完了致しました」
ショートボブに切り立ての、白髪が車椅子の老女の首元をスースーと冷房の送風が吹きすさむ。

老女にしては、幾分若い女性が一点を見つめたまま微動だにしない。
車椅子を押しながら、中背の青年は女性に声を掛けるも彼女の視点はさ迷うだけなのだ。
「あ〜・・・う・・・あー」
言葉にならない呻きを発する女性に、介護士の女性が理知的な目線で会釈する。
「牧野さん、お部屋に行きましょうね。ゆっくり押しますよ」
青年から車椅子の押す役割を、交代して介護士の女性が一方的に話して部屋へと連れて行く。

青年と小柄な女性が、車椅子が遠くに押されて行く姿を忍び無い表情で俯いている。
「最後のお別れじゃないけど、やっぱり辛くなるよね」
ダークブラウンのパンツスカートに、低めのヒールでヨレヨレのシャツは日々の激務で顔も蒼白気味。

つくしは姥捨て山に連れて来た事に、罪悪感しかなかった。


牧野つくし、40歳。
母親を送り出し、晴れて?自由の身となった。
弟の進と一緒に、実母の千恵子を介護施設に入所させる為。
仙台でも有数の特養老人ホーム。
マンションと病院が一体化し、終日介護士常駐だ。
進は赴任先のマルセイユから、一時帰国して今日を見届けた。
進は『花沢物産』ワイナリー部署の、新規顧客開拓でヨーロッパと北米を又に掛ける敏腕な営業マン。

上司でもある『谷村』の妻の友人との結婚を機に、海外へと赴任し永住権も獲得した弟。
最初は進夫婦と同居していた千恵子。
しかしながら、言葉の壁と習慣の違いは軋轢を産んでしまった。
日本語を話せない弟の嫁。
折り合いが悪くなり、つくしと同居する事になった千恵子。
進は後悔したが、嫁は一人娘で彼女の両親に説得された。

つくしは英徳学園大学を卒業し、一度は当時のゼミ仲間と結婚した。
夫は風俗の女と懇ろになり、あまつさえ子供迄設けていた事が発覚して離婚した。

この夫にケチを付けたのも、千恵子だったのだ。
見合いを何度も勧めたが、頑なに断ったつくし。
ゼミ仲間とは、同窓会で再会したのであるが。

「ノブさん、とは今日会うの?」
ノブとはつくしの元彼で、駅前でジムを経営しながら飲み屋のオーナーも勤めている。
「どうすっかなあ。一応、LINEは入れてるから」

スマホをタップしながら、つくしはブツブツ呟くも。
「あ、ヤバい。新幹線の時間ッ」
「マジかよ?オレが送ってく」
「あんた、時間有るの?」
「オレは明日の飛行機だからさ」
つくしは進とタクシーに乗り込み、急ぎ仙台駅の新幹線ホームに向かう。


かつて仙台の地は、千恵子達に見送られて進学した場所だった。
今度は千恵子を見送る為に戻った場所を、後にした。
「もしもし、分かった。3時間後に、何時もの飲み屋ね」

つくしは携帯をバッグにしまうと、幾分広い座席に身を下ろし目を閉じた。


長い1日を振り返る余裕も、無いまま。

このお話はお友達サイト様の設定に刺激を受けまして、逆設定で書いてみました。
内容は全く違いますが、つくしがかなり年上。
一回り以上離れた設定、大いに有りかも。

尚、不快に感じましたら、申し訳ないです。
良かったら、不定期ですが宜しくお願い致します。












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あたしが見たいと思っていた、海外アーティストが今、手に届く距離で見えてる・・・それを見に来たのが当初の目的だった。

キャンパスライフの楽しみにしてたのに、道明寺つたいの熱はあたしの熱中する事を一緒に波を迎える事へ変えてしまっていた。

既定路線に乗せられ、気付いた時にはシーツの上で生まれた時の格好。
あたしは一体、何しに来たんだあ〜と全身から叫びそうになった。


道明寺が目の前で、あたしをがんじがらめにして膨らみに触れている指。
目前で見るのも嫌になっちゃう、恥ずかしくて。
ライヴどころか、あたしの中がライヴの真っ最中みたいで。


もう貴重な時間を返してよ、バカ男。


数日後。
キャンパスの館内で、ニマニマする滋さんと桜子に掴まる。
桜子「先輩、隅に置けませんね」
滋「フェスの会場で、ラブシーンなんて。司もつくしも隅に置けないんだから。ライヴより盛り上がって、会場も再生回数もうなぎ上り」

つくし「再生回数?」
桜子「YouTubeに上がってます」
あたしは桜子のタブレットから、YouTubeで行ったライヴ配信を見てひっくり返った。

アーティストの音楽に合わせて、映画仕立てに作られたあたし達のブースでの出来事。

熱に浮かされたあたしは、まさかのされるまま。
非難どころか、モノクロ映画みたいでぼかし入り。
ライヴが入って来るどころか、道明寺と一緒に居る事しか考えられなくなってるみたいで。
一組のカップルのラブストーリーを、フェスに絡めて撮影してるみたい。
滋「これはあきら君達に今から言い訳、考えときなよ」
桜子「キスマーク、隠して下さいよ。ファンデーション、濃い目にしても汗で無理でしょうけど」

あたしは急いで、更衣室に走って行く。
長めの服装に変えて、汗だくの1日。


あの後に美作さん達から、根掘り葉掘り弄られて大変だった。

最後には、
「どうせ司の事だから、仕込んだんだろうね」
と類の何気なしの爆弾発言に、頭が真っ白になった。


フェスの出来事も忘れたあたしが、フェスでまさかのプレゼントが妊娠じゃ洒落にならないよ。

本当に確定した時、邸では帰国した椿お姉さんにボゴられる司を横目に。
あたしは紅茶を飲みながら寛いでいた。


確信犯だけど、何かやっぱり憎めないんだよね。
何の取り柄も無いあたしを、こんなにも好きでいてくれるから。
フェスの記憶は、道明寺と過ごした以外が見事に無い。


穏やかな日々を過ごし、あたしの中ですくすく育つ新しい命。
お腹を擦りながら、隣の道明寺があたしに寄り掛かる。

今、一番幸せかもしれない。
ベビーグッズが溢れ返る邸で、妄想してみようかな。





あのフェスでの出来事を。 Fin





短めなグダグダ話でしたが、毎回すみません😣💦⤵️。
繁忙期で更新が遅れがちになってます。
不定期になりますが、皆様の応援が何よりの励みになります。
宜しくお願い致します。




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明日も普通に会えると信じてたあの日から、心

も時も止まってしまったその子をオレは背中を押

すきっかけになったのだろうか。

あの日から眠りに付いていた彼女の心を、ほぐし

たのはオレじゃなかったけど。

どうか、幸せを掴んで欲しい。

其れに変わりはないのだから。

大きな瞳に写る奴と、幸せを掴んで羽ばたいてい

く君を仲間として愛しく感じる。





世間て物で言う夏期休暇の真っ只中、バケーションを満喫していたオレは大変な状況に置かれて困り果てていた。
「あきら君、悪いんだけど」
「お袋、悪いんだったら言わないでくれ」
「そんなぁ、あきら君だけが頼りなのよう」
いい年をしてフリル付きのエプロンとか、あり得ねーだろ・・・と言いたいのは山々なんだが。
違和感全く無いから、困ったもんなんだよなあ。
オレ美作あきらの母親は、二十歳前に親同士で決めた許嫁つうんで嫁いで来た・・らしい。
戦前じゃあるまいし、今更ながら何言うんだと思うんだが。
オレの親父は違和感無しに、そのまんま結婚したつうから今思うとやっぱりぶっ飛んでいる。
お袋が大学生の時にはオレが生まれて、10年後には双子の妹が生まれた・・つうから凄いんだな。
未だお袋は、50に届いてない。
だからデパートやら、街を歩くと所謂ナンパをされるらしい。
最近のはコブ付きでも、関係無いらしいから世間てのはよく分からないんだわ。



新しいサイトになってから、初のお話公開です。
此れ、読みたいって思ってくれる方居ますかね?
色々あった頃、ふと空っぽになった時に書いてました。


ユーミンの歌から、ヒントを得たお話。

あきら目線から、のつかつくで若干つくしのお話。

ドラマのテーマに器用された、歌です。




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