2018.03.19 春の息吹き
目が痒くなり、ふと大きな瞳を開けるときつい瞳で睨み付ける小さくも愛しき子。
あたしの顔を覗き込んでは、口をつぼめてる。
「お母さん、寝てばっかり・・・」
窮屈な車両のボックスで、オモチャに飽きた息子。
あたしはこの子を連れて、出張しているあの人に会いに行く。
事業のプロジェクトが長引きして、同じ国内なのに戻る事が出来ないと。
メールが来たのは、数日前だった。
会社を率いる立場となって、間もない日。
子供が生まれても、親らしい事をして貰えない息子。
妻としては認知されず、あたしは日陰の身で今も暮らしている。
日向の生活を望まなかったあたし。
今、会社の業績に影がチラついている。
社員が一丸となっている時に、あたしが日向に出る事が仇となりかねないから。
亮が生まれたのは、6年前。
あたしと彼は複雑な心境だった。
学生として終わる頃に宿った小さな命。
悩んで堕胎も頭を過った時。
メールで一文だったけど、『命を繋いでくれ』の一言が嬉しかった。
産みたいとは、思っていたから泣いた。
田舎でひっそりと産んでから、日陰の生活で自分の足で歩いて行ける様に。
『牧野亮』として、生きて行ける様に。
道明寺を頼る気は、更々なかった。
人を頼る事をさせず、自立出来る為に育てた息子。
それでも言わない息子の背中からは、
『パパに会わせて』と語っている。
景色を見ている息子は、涙の筋が顔に幾つも有る。
あたしの選択はエゴだったのかな?
雑草魂で生きて来たあたし。
でもあたしの人生と息子の人生は、全く違うもの。
押し付けにならないか、今も悩んでいたら・・・寝てしまっている現実。
「ゴメンね。ママ、考え事してたよ」
「疲れてるんだよね、ゴメンなさい」
物分かりが良くなり過ぎる息子に、あたしは危機を感じてしまう。
年相応に馴染めず、かつてのあいつみたいになるのだろうか。
一度あいつは死んだのと一緒で。
息子は同じ人生を歩んで、あの時と同じ事で刺されたりするのだろうか。
牧野の容姿は全く無かった。
目元があたしに似た以外は、あんたのDNAが殆どなんだよ。
あたしは見る度々、この子に申し訳ないと感じていた。
でもこの子を通して、あんたの想いが伝わって来るの。
あたしはあんたに伝えたい。
日陰で良いから、この子にだけは愛してあげて。
不憫さを感じさせない、想いをこの子に教えて欲しい。
あたしは頑張るから、あんたに恥じない息子を対面させるね。
「ボクはお母さんを守るから。お母さんの分も頑張るからね」
亮と対面する時、あんたはどんな顔をするんだろう。
会社の事を考えて、あたしは日陰に生きて行く。
愛しい子供とあんたが、会えるその時を神様に感謝。
あたしは沢山泣くけど、それを振り切って精一杯強く生きてね。

強さと優しさを兼ねた愛しい人へ。



すみません・・旅行先の移動中に、何をトチ狂ったんでしょうwww。
申し訳ございませんでした。




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