短編

春の息吹き

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目が痒くなり、ふと大きな瞳を開けるときつい瞳で睨み付ける小さくも愛しき子。
あたしの顔を覗き込んでは、口をつぼめてる。
「お母さん、寝てばっかり・・・」
窮屈な車両のボックスで、オモチャに飽きた息子。
あたしはこの子を連れて、出張しているあの人に会いに行く。
事業のプロジェクトが長引きして、同じ国内なのに戻る事が出来ないと。
メールが来たのは、数日前だった。
会社を率いる立場となって、間もない日。
子供が生まれても、親らしい事をして貰えない息子。
妻としては認知されず、あたしは日陰の身で今も暮らしている。
日向の生活を望まなかったあたし。
今、会社の業績に影がチラついている。
社員が一丸となっている時に、あたしが日向に出る事が仇となりかねないから。
亮が生まれたのは、6年前。
あたしと彼は複雑な心境だった。
学生として終わる頃に宿った小さな命。
悩んで堕胎も頭を過った時。
メールで一文だったけど、『命を繋いでくれ』の一言が嬉しかった。
産みたいとは、思っていたから泣いた。
田舎でひっそりと産んでから、日陰の生活で自分の足で歩いて行ける様に。
『牧野亮』として、生きて行ける様に。
道明寺を頼る気は、更々なかった。
人を頼る事をさせず、自立出来る為に育てた息子。
それでも言わない息子の背中からは、
『パパに会わせて』と語っている。
景色を見ている息子は、涙の筋が顔に幾つも有る。
あたしの選択はエゴだったのかな?
雑草魂で生きて来たあたし。
でもあたしの人生と息子の人生は、全く違うもの。
押し付けにならないか、今も悩んでいたら・・・寝てしまっている現実。
「ゴメンね。ママ、考え事してたよ」
「疲れてるんだよね、ゴメンなさい」
物分かりが良くなり過ぎる息子に、あたしは危機を感じてしまう。
年相応に馴染めず、かつてのあいつみたいになるのだろうか。
一度あいつは死んだのと一緒で。
息子は同じ人生を歩んで、あの時と同じ事で刺されたりするのだろうか。
牧野の容姿は全く無かった。
目元があたしに似た以外は、あんたのDNAが殆どなんだよ。
あたしは見る度々、この子に申し訳ないと感じていた。
でもこの子を通して、あんたの想いが伝わって来るの。
あたしはあんたに伝えたい。
日陰で良いから、この子にだけは愛してあげて。
不憫さを感じさせない、想いをこの子に教えて欲しい。
あたしは頑張るから、あんたに恥じない息子を対面させるね。
「ボクはお母さんを守るから。お母さんの分も頑張るからね」
亮と対面する時、あんたはどんな顔をするんだろう。
会社の事を考えて、あたしは日陰に生きて行く。
愛しい子供とあんたが、会えるその時を神様に感謝。
あたしは沢山泣くけど、それを振り切って精一杯強く生きてね。

強さと優しさを兼ねた愛しい人へ。



すみません・・旅行先の移動中に、何をトチ狂ったんでしょうwww。
申し訳ございませんでした。




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