当然ではあるが、楓は大激昂している。
見た目では分からないが、邸中は蜂の巣をつついた以上の騒ぎだ。
楓の部屋には西田とSP達が呼び出され、今回の水難事故で更迭論も吹き出した。
西田はつかさ付きでは有るが、楓の懐刀に匹敵する位に絶大なる信頼を寄せていた秘書。
つかさに付いてるとは言え、それなりの責任は重いのだ。
つくしの両親は『私達の娘なんぞで、クビにするなら自分達が先になるべきです』と土下座をして楓に懇願している。
楓「西田は監督不行き届きで、クビは免れないわね」
西田「私は弁解致しません。今回は自分達が牧野様の行動を、把握出来てなかった事ですから」
春男「いいえ。悪いのはつくしです。つくしが起こした事でクビにするならば、私をクビにして下さい」
千恵子「つくしがこんな人騒がせな事をしたのに、私達が仕事をする訳には・・・」
借金生活は懲り懲りと思うが、つくしがしでかした事は想像以上だった。
マスゴミやメディアで散々取り上げられ、沈静化していたつくしの過去や『道明寺』の暴露話等があちこちで騒がれる。
又しても株価が乱高下を起こし、臨時の株主総会迄をするべきだと役員達から痛くも痒くもない腹ばかり探られる。
楓「只でさえ、海外案件が暗礁に乗り上げてるのと言うのに。頭の痛い話だわね」
楓はレアメタルの採掘を、独占的に行える様日本政府や経団連に働きかけをしていた。
それが暗礁に乗り上げ、株主達から非難の嵐を受けている。
支社の役員達にも、泣き付かれ頭を抱えているのだ。

つかさ「おい・・・この、くそババァ。つくしが死にかけてんだぞっ」
西田「司様・・死ぬレベルなら、それだけ・・・」

言い掛けた西田を、つかさは強烈な足蹴りで腹にお見舞いした。
春男「坊っちゃま、お止め下さい。つくしが、全て悪いのですから。西田様は坊っちゃんのお目付けです、どうか・・・」
つかさ「悪いのはオレなんだよっ。・・・つくしがるいの名前出しちまうと・・オレが・・」
千恵子「道明寺様に其処まで・・・想って頂ける・・なんて、つくしは・・・」
楓「与太話は勘弁して頂戴。この子には相応しい子を用意する準備も有るわ」
つかさ「ババァに指図されたくねえっ」
つかさは近くにあった、花瓶を楓に向けて殴り付けようとした。
西田が駆け寄ろうとした・・・その時。
抑えが聞かないつかさに、周囲は一瞬シンとなった時。
つかさの暴走を、止めたのは小さく華奢な少女だった。
「つかさ・・・ダメ・・・だよっ」
つくしが這って、か細い声でつかさに立ちはだかる。
「つくし、起きるんじゃねえっ。熱下がってねーだろ」
つかさが楓に詰め寄る事に、心を痛めるつくし。
「ご・・・め・・・ん・・なさ・・・・」
華奢な少女の何処に、そんな力があったのだろうか。
「つ・・・・く・・・・・し」
「お・・・かぁ・・・さ・・・ん・・だいじ・・・」
つくしはつかさを止めようと、熱の下がりきらない身体で張った。
「つ・・・・か・・・さ。だ・・・すき・・・」
自分は居なくても困らないが、楓やつかさは今居なくなれば世界中の大人達が困るから。
つかさは道明寺の大切な御曹司で、キズを付ける者が居るだけで大変な事だ。
つくしは力尽きて倒れ、西田が駆け寄る。
つかさ「つくし・・・っ」
西田「ドクターヘリを呼んで下さい。急いで」
西田がつくしを用意した担架に乗せ、つかさと千恵子が付き添って行く。
飛行場にはヘリが待機し、小児科医師のスペシャリストで名高い女医の『加藤晶』が拝礼している。
つかさ「つくしをたすけて・・・くれ 」
つかさは悔し涙をしながら、晶に頼み込む。
晶「必ずお助け致します」
つくしはボソボソと晶の耳に向けて言った。
つくし「あたし・・・だい・・じょぶ?」
晶「坊っちゃんの為にも、頑張りましょうね」
晶はつくしの診察をしながら、足早にヘリの中へ入った。
つかさはつくしの手を、繋いだまま付き添って行く。
つかさ「つくしっ。死ぬのだけは、ダメだっ」
つくし「つ・・・・かさ・・」
千恵子もお辞儀をすると、足早につくしの元へ向かう。
タマ 「奥様株価云々とか、言う連中は可哀想だねえ」
楓「あたくしとて、相手にしたくはないものよ。現実は残酷なの・・・全てカネが無ければ、で判断するものだから」
楓の手元には、つくしが死にかけた原因の麦わら帽子が残されていた。
春男はそれを見るなり、涙を流しながら懐かしんだ。
「つくしは、本当にじいじからの帽子を・・・」
春男の突然の発言に、楓は何を感じ取ったのか。

タマと楓も車に乗り込み、邸ではつくしが無事に戻る事を祈る使用人達だった。
つくしは『道明寺邸』にとっての、最後の『希望』であった。


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