FC2ブログ
「アリアドネって、確か危急を存じた時に発生する究極?」
「ええ、そうなのよ。法医学教室の危機だったかしら?女優の樹本ありさだったかな。満里奈の妹だったよね」

法医学教室のドラマで、看護士の田川伊都子とつくしは盛り上がっている。
看護士として、10年目のベテランで最近は外来患者の付き添いでつくしの室内に立ち寄る。
以前伊都子の祖母が、入院する事を不安がって駄々をこねた時につくしが応対した以来の縁である。
伊都子は不安定な状態に陥った祖母を、見抜けず看護士ながら落ち込んでしまった。
身内がその立場になると、穏やかに居られない時こそつくしが必要とされるのだ。
『愚痴外来』と揶揄される由縁だが、つくしに聞いて貰っただけでも救われたと伊都子は感謝している。
「あの刑事達に犯人がね・・・」
一頻り会話を終えると、見計らった様に藤原婦長がコーヒーの、入ったマグカップをトレイに乗せて来た。
藤原婦長「伊都子先生、一時期は大変だったみたいですね」
伊都子「もう落ち着きましたから、牧野先生。その節はお世話になりました」
つくし「いえいえ、あたしでお役に立てて良かったです」
藤原婦長「間名瀬准教授と、デートのお時間も大事ですよね」
つくし「あ、いやいや。でも・・」


つくしは白鳥達との引き継ぎを終えたら、メープルに併設されているトラットリアで待ち合わせていた。
過去はもう過去のままであり、未来では無いから。
終わっている事を振り返っても、出て来るのは後悔する事に苦しむばかりの自分だけだ。

「そうね、道明寺とはもう過ぎた話だしね。あたしには、あたしの分に叶った人生も有る」
「牧野先生、愁訴外来の患者さんはそれに励まされているものですよ」
「は・・・はぁ。あたしは能天気なだけですから」

藤原婦長の言葉は、能天気を装ってるようで実は的を得ている。
珠に皮肉が交じり、乾き笑いで茶を濁したりで誤魔化す事も有るが。
愁訴外来は確かに、困る事は無いのだ。
理学療法でも行き届きにくい、心のケアの更に必要とする患者や家族は大勢居る。
入院生活の愚痴から、看護士達とのコミュニケーションと多岐に渡るのだ。
自分よりも他人を優先するつくしには、天職では有るのだが。


そのつくしがダメな点は、お人好し過ぎて患者に入れ込む事。
もう1つが異性に、異常な程にモてる事を自覚出来てないのだ。
見た目は普通過ぎるのだが、つくしは患者やその家族は言うに及ばず。
偶々病院に来ただけの、面識すら無い男性をも惹き付けた事も有るから始末に終われた。
大臣の息子に見初められた時もあり、友人達が取りなして回避したのも昨日の様だった。
伊都子を見送って、藤原と談笑した後につくしは間名瀬からのLINEを確認するなり早足で室内を出て行こうとした。
「牧野先生、如何なさいましたか?」
「実は・・・」




白鳥は偶々つくしの好みではなかったし、既婚だったので難に遭遇しなかった。
栄転となったのは、渡りに船だった。
その後任として肩書きこそ違うが、つくしの事を知り尽くしている男は野獣の直感で感じ取っていた。
『なんで准教授程度のレベルに、キョトキョトするのか』
何年経ってもつくし以外の女は、判別すら付かない男が『道明寺司』なのである。
その司が煙草を吹かし、青筋を立て始めた。
運転手は死地への旅立ちな車中の雰囲気に、ハンドルを握りしめていた。

彼らの明日は何処に有るかは、着いてからの司の機嫌次第であった。



ランキングに参加しています。
良かったら、ポチって頂きましたら幸いです。
もうすぐ、つかつくにたどり着くかな。
何時もお越し下さいまして、有難うございます。
















人気ブログランキング
スポンサーサイト
Secret