短編

White love 〜クッキーのリアルな意味〜

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南の島のコテージに付いてから、アタシは直ぐにスタンバイをしていた女性スタッフ達に拉致される。
エステやら、ヘアメイクやらのフルコース。
エステを受けている最中に、毎度のうつらうつらで記憶が消えている。
で、意識が戻った時。
アタシはブルーのイブニングドレスに、土星のネックレスと、パールのイアリングを纏ったお姫様へと変身していた。
アタシ確か台に俯せて、施術を受け始めた部分の記憶は有るんだけど。
少し高めのヒールを履いて、ビーチの前でタキシードを纏った司の元へふらつきながら歩いて行く。
「きゃっ」
中々慣れないのと、気分的に酔い始めたのかアタシの心臓はバクバクしている。
「おわっ・・・大丈夫か」
アタシの腕をしっかり掴んで組むと、司は硝子張りのテーブルへ誘導して行く。
目の前のグラスには、金色の液体が注がれている。
「一口だけ口にしてみてもいいかな?」
「介抱なら、後でゆっくりしてやるし」
アタシは、いきなりハイペースで空けてしまう。
「あはは、全然大丈夫だし」
それを合図に、フルコースの料理がテーブルに沢山敷き詰められる。
「ま、夜は長いしな」
アタシの顔は真っ赤に蒸発してしまいそう。
取り皿に分けられた料理を、フォークに刺して司がアタシの口に運ぶ。
「美味しい~っ。幸せだよお」
「未だ始まったばっかじゃね」
アタシは盛られる料理を、舌包みする。
そんな様子を司は、グラス片手にずっと観察している。
知らないうちに、白いスクリーンが運ばれて来た。
西田さんが、映画の機材らしき道具のセッティングをしている。
アタシは首を傾げながら、目を瞬きしている。
隣で腕を組みながら、時折アタシをチラチラ伺っている。
ジーッと、フィルムが回り出す。
タイトルは『white love』とキラキラしたタイトルで、上映会がスタートした。
今日迄の出来事を、簡単に纏めたミニ映画鑑賞。
アタシが回し蹴りした事、司がベンチを蹴った事、ドリンクまみれなアタシを抱き締めてキスした事・・・。
映画のような出来事に、10年待たされた淋しい日々を重ね合わせる。
アタシの顔は涙でぐちゃぐちゃに、なってしまう。
せっかくのメイクも、台無しなんだけど。
其れでもずっと、待ってた甲斐があったんだ。


つくしには本当に、辛い思いばかりさせて来た。
オレもつくしに会えなくて、仕事で見返して力を付ける事しか出来なかった。
その反面でつくしも、どんなに大変だっただろうな。
オレが何度プロポーズしても、断りやがるから。
『何時になったら結婚出来るんだ?』と最近は不安になっちまってた。
其れでもつくし以外の、女とは結婚なんざ考えられねー。
どんなに高価な物を送っても、断る女はつくしが初めてだった。
その度に『アタシは無印良品の女』と言ってたな。
英徳学園の思い出が甦って来たのか、つくしは俯いて感極まっているようだった。
「アンタ反則だよぉ、カッコ良すぎ・・・」
「オレを誰だと思ってやがんだ・・・・と言いてーけど、オメーの前では只の男だ」
オレは青いケースに入ったリングと、ネックレスをつくしの手に握らせた。
「司、此れって」
「オレの101回目のプロポーズ」
何故か、隣には焼きたて『つくしの顔型クッキー』が置いてある。
「ボクは死にましぇ~んって?」
アイツはゲラゲラお腹を、抑えるように笑い出す。
幾ら可愛くても、そんなに笑うんじゃねーよ。
「オメーは人が真剣にプロポーズしてんの茶化すんじゃねー」
尚且つアイツは、致命的な発言をしやがった。
「クッキーは友達の意味だよ。来年度に持ち越しって事だね」
万事休す、って思った時だった。
「でもアタシは、気持ちだけ友達で良いの」
「つくし?」
「アタシを幸せに出来るのは、アンタだけ」
「オレの此処が止まるのは、つくしが死ぬ時だ」
ハートの呼吸を止めるのは、つくしと別れる時。
其れでもオレは地獄迄追いかけて行くし、何度生まれ変わってもオレはつくしと添い遂げる。
「司、こんなアタシで良いの?何も無いのに」
つくしには、何も望まない。
オレはつくしの薬指に、リングを嵌めた。
プラチナとダイヤのリング。
土星のペンダントに、ピンクサファイアのリング。
ダイヤのリングは、本番迄お預けだからな。
「つくしに無い物は、オレが持ってるから。オレはつくしだけ居れば良い」
月明かりの下で、オレ達は抱き締めたのも束の間。


足を滑らせたアイツと一緒に、プールへ揃って落下してしまっていた。

10年後に又、落下とかカッコ悪いよな。
やっぱ『クッキー』の選択で、せっかくのプロポーズがコントになっちまったな。


再度着替えるとベッドルームから、照らされる灯りを眺めている。
「此れからも辛い思いさせちまうかもしんねーけど、オレのハートを止めるも動かすんもつくしだけだ」
「うん、アタシのもアンタだけだから」
互いの心臓からはドクンドクンと、鼓動が伝わってくる。


此れからの日々を、オレ達はずっと手を取り合って生きていく。
ホワイトデーは、そのきっかけだからな。
オレとつくしは、運命共同体。

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