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オーナーは出し渋りをして来た。
あたしがその立場でも、そうしただろう。
海千山千とも付かない、個人の事業で。
ましてや、旬の実力は未知数だから。
それでも、旬とて自分の店を持ちたいと。
あたしの目の前で、何時も語っていた。
旬が遂には、土下座をした。
オーナーは未だ渋っていたが、アイツは2つ返事で承諾していた。
「ならば松橋さんの費用を、此方で負担しても構いません」
秘書らしき男性が、旬に提案をして来た。
「本当ですか?」
「松橋さんは、生活にもかなりご苦労が有るみたいですから。何なら全て、当社で面倒を・・・」
が、その条件は『牧野つくしを道明寺に出社させる事』の一点のみ。
オーナーは、目が点になっていた。
あたしのかつての名前、もう忘れたいのに。
アイツは勝ち誇った目付きで、あたしの前でほくそ笑んでいた。
『お前は逃れられない』と。
旬は一瞬顔付きが変わったものの、あっさり陥落した。
後で知ったのだが、旬には妻子がいた。
別れる気は更々なかった、つまりあたしは二股を掛けられていた。
どんだけあたしは、凶運ばかり呼ぶのだろう。
旬は事業で失敗しても、大金を手にする代償として呆気なくあたしを差し出した。
「そ・・・んなっ。旬はあたし・・」
「」
アイツの『生け贄』として。

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