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つくしはつかさから、突然された額へのキスに頭がボーッとしている。
東京へ連れて来られてからは、ジェットコースター並みに生活環境が変わってしまい驚きの連続だ。
牧野一家は貧乏一家の筈だが、二人の子供達に未来が掛かっている。
出世次第では、天下の『道明寺HD』へのエリート街道が約束されている。
進に関しては、早くも『エリート育成』へのロードマップが何パターン用意されているか分からない。
小学生のうちから、『デカルト』の哲学に関心と聞いた楓。
道明寺HDのブレーン最強集団が、牧野進の編入試験の結果を心待ちにしている。
肝心の進は泰然自若としていて、試験前とは全く思えない。
地元に有る全寮制の男子校で、思う存分理数系とドイツ語の原書を読破したい進である。
仙台市内のキャンパスには、地元の英雄でもある伊○政宗の移築された庵も設置されている。
(あくまでも、お話のみの話であり実在しません)
地元民なら誰しもが憧れる場所である。
その進の細やかな楽しみの裏では、姉が魂を抜かれた様に真っ白になっている。
「姉ちゃん」
ブンブンと片手を翳し、姉の顔面で上下させる。
も、ボーッとしたまんまのつくし。
進は耳元で少々甲高い声を上げてみた。
「姉ちゃん、男に振られたのかあ~」
いきなりのぶっ飛んだ発言で、つくしは進の頭をムンズと掴みバシバシと殴りまくる。
「オレが馬鹿になったら、父さん達失業しちゃうだろ!」
「うるさいよ~。いつから進は、オマセになったの?」
「姉ちゃん試験内容大丈夫だよな?」
「どうかなあ~」
つくしが何時も以上に、鈍臭いのか心配な弟である。
「トイレ行ったら、何とかなるんじゃね?」
「そうだねえ。すましてからいくよ」
車が正門を通り抜け、校舎の入口に到着した。
二人は運転手に先導され、螺旋階段の前に待機する試験官らしき男性二名から恭しく挨拶を受ける。
「初等科の主任教員の高畝と教頭の宮川です。お二方の試験官として、立ち合わせて頂きます」
つくしは直ぐに、化粧室を案内して貰い洗面所で洗顔した。
水を派手に流しながら、つくしは顔を軽く濯ぎ叩いて気合いを入れる。
「つくしガンバだっ」

化粧室を出ると、広い廊下に出て進んで行くものの。
試験会場を聞いた筈が、つくしの歩く方向は最初に見たのとは全く違う風景が広がっている。
『どうしよう、迷っちゃったよおー』
試験開始の時間は、刻一刻と近づいている。
道を戻れば、先程の風景とは又違ってつくしは焦り出す。
小さな体で必死に探すが、つくしの見た風景は万華鏡の如く変わるばかりで焦り始める。
『もう、つかさがあんな事するからっ』
思い出して顔から火を吹き出した瞬間、つくしは何かにつまずき転倒してしまう。
『いたあいよぉ~』
ベソを掻きながらも、頭を上げるつくし。
階段の壁に寄り掛かりながら、眠る少年。
その容貌はまるで『絵本から飛び出て来た白馬の王子様』そのものだった。

『うわあ~、王子様っているんだねえ』
つくしは遅刻してる事すら忘れて、王子様に魅入ってしまっていたのだった。
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